株式会社ブシロード 代表取締役社長 橋本 義賢
感謝と笑顔を世界に届けたい日本のエンターテインメントを世界へ発信
■プロフィール
慶応大学理工学部を卒業後、日本IBM株式会社を経て、1995年に株式会社コスパを設立、代表取締役社長に就任。2006年タブリエ・コミュニケーションズ株式会社(現コスパグループホールディングス株式会社)の代表取締役社長に就任。2012年1月から株式会社ブシロード顧問、2015年9月同社取締役、2017年10月同社代表取締役社長就任。
すべての人に“楽しい”という喜びを届けることを目標に掲げ、日本の強みであるアニメコンテンツを世界へと発信しているブシロード。商品の提供だけでなく、お客様を楽しませるイベントを提供し、「笑顔」と「ありがとう」がやりがいだという橋本社長。そのアニメ業界への熱い思いを伺った。
大学生の頃は社会経験を深めたいという思いが強かったため、イベントの企画やプロデュース、広告などを中心としたサークルに所属していました。学園祭で企画やビジネス、スポンサー営業などをやってきましたが、チケットを売らないと収益が出ないこと、スポンサーをつけることによって収益を増やせることなど、さまざまな活動を通して世の中の仕組みやお金の稼ぎ方を学び、実践することの大事さを感じました。
■始まりはヨーロッパで聴いた日本のアニメソング
私はいつか独立したいと考えていました。どんなモノやサービスを提供したいかということよりも、とりあえず起業したいという考えが先でしたが、まずは社会を学ぼうと思って日本IBMに入社しました。
独立するなら輸出できるものをビジネスにしたいと考えていたのですが、車のようなハードは資金がかかり、ベンチャー企業にとってはなかなか大変です。日本の強みを活かしたものをと考えていたこともあり、ソフト産業のアニメに行き着きました。ヨーロッパ旅行をしたとき、ロンドンでもパリでも日本のゲーム キャラクターはすでに人気だったし、聴いたことのあるアニメソングが流れており、現地の人たちが楽しんでいたのです。日本のアニメ、コミックというジャン ルにポテンシャルを感じました。そこでコスプレを楽しむ場としてのイベントを開催する事業を始め、その後、コスプレ衣装の事業も手がけました。
■お客様からの感謝と社員の成長がやりがいに
独立というのは、良くも悪くもやったことすべてがそのまま返ってきます。売上をあげればその分が手元に入りますが、在庫もすべて自分に跳ね返ってきます。しかし、それ自体が得難い体験です。イベントに参加したお客様から「ありがとう」と言われたり、差し入れをいただくことがあり、お客様たちが楽しむ姿や 笑顔を作り出す環境を提供できることに喜びを感じました。
社員数が400名を超えたことから、現場を任せること も多くなりました。すると、これを君たちだけで仕上げた の?と聞きたくなるような見事な成果を見せてくれることがあります。若い社員たちが 私の想像を超えた結果を出したり、私には思いつかないアイデアを生んで、成長している姿を見ることは、私にとってのやりがいとなっています。
■信頼される人、利他主義の人と仕事をしたい
社員や取引先、友人など周りの人から信頼されている人はすばらしいと思います。信 頼を集めることには長い時間がかかることもありますし、相手にとってメリットのあるものを提供しなければなりません。向上心がある人や、利己主義ではなく利他主義という考えを持つ人は周りから信頼も集まり、結果として仕事 も成功します。
社会に出ると自ら稼ぐ力を持たなければなりません。自分の手で仕事を作り上げ、協力した人に対価を払い、売上を生むというサイクルを構築できる人は尊敬に値します。
大事な点はお客様や同僚に対して付加価値を提供することが先で、自分が対価を得るのはその後ということです。親からお金を払ってもらっている立場から考えを切り替えられる人と働きたいです。採用を考えるときはそうしたところを見ています。
■伸びている業界からコンテンツを世界へ発信
ブシロードグループでは文系、理系を問わず、巻き込む力、プロモーション力、プロデュース力や企画力などにたけている人材を採用したいと考えています。
コンテンツ事業はメディア業界と表裏一体です。世の中はアナログからデジタルへの変化が加速しており、一般の方のライフスタイルもかつてアキバ系といわれたようなオンライン中心のコミュニケー ションに移り変わってきています。生活のオンライン化が進んだことは業界への追い風 になっています。
これからは2世代で楽しめるコンテンツや、お客様に飽きられないために新しいコンテンツ、サプライズを組み入れ、半永久的なモノを作っていきたい。また、日本のコンテンツが海外に受け入れられ、世界中にアニメファンが増えているため、グローバル化に重きを置き、IP(知的財産) を生み出して世界へ供給して いきたいと思っています。
■message
コンテンツ業界は若くないとできない仕事です。コアターゲットが10〜20代で、大学生は若者の情報や何が欲しいかわかるため、優位性が高い。しかしビジネスに変える力が足りない。この業界は作家やイラストレーターなどいろいろな職種の人と関わるため、人を巻き込む力が特に必要です。積極的に人と話し、相手にメリットを提供できる、利他的考えを持てるように頑張ってください。
学生新聞2020年10月号 駒澤大学 4年 如意太一
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