高田夏帆 過去をいいものにできるように、今を走り続ける

女優/タレント 高田夏帆(たかだかほ)

■プロフィール

1996年生まれ。東京都出身。2014年より女優・タレントとして活動。『仮面ライダービルド』ヒロイン(2017年テレビ朝日)、『恋より好きじゃ、ダメですか?』主演(2019年中国放送)、『スナイパー時村正義の働き方改革』ヒロイン(2020年CBCテレビ)

全日本忍者選手権大会優勝、横浜マラソン完走、けん玉道7級など、女優業のみならず、多才な分野で才能を発揮している高田夏帆さん。「さんまのからくりTV」で一瞬ワイプに映ったことを契機に、芸能界へ進出。「人生何が起こるかわからない」ということをリアルに体感しているという高田夏帆さんに、話を伺った。

■ごく普通の女の子だった学生生活

 昔から明るく社交的で、常に笑っているような性格でした。運動神経がいいほうで、ドッジボールは最後までボールを避けて逃げ切れるような、お転婆で活発な女の子でした。小学校の頃はずっとリレーの選手だったこともあり中学校で陸上部に所属し、短距離走と走り幅跳びをしていました。同じグラウンドの隣で練習している野球部を横目にしながら、少し気になっている子を探すような普通の学生生活でしたね。高校では、学校の部活の中で一番厳しいといわれていたダンス部に所属し、先輩後輩の上下関係の重要さや15分前行動、報・連・相(報告・連絡・相談)の基礎を学びました。クラスも部活も同じ仲良しグループがいて、誕生日には、1人1つホールケーキを作って持ってきては、授業の10分間休憩にみんなで食べたりしていました。
 印象に残っているのは文化祭です。おそろいのクラスTシャツを着て、推しの先輩と写真を撮るために行列に並ぶようなこともしていました。力を入れていたダンス部の発表では、私が登場した時、「かほちゃ~ん!」という先輩からのコールたくさんいただいて、「人生最大のモテ期かな?」と思ったほどです(笑)。高校時代から芸能活動を始めてはいたものの、こういった普通の学生生活を過ごせたのは、ある意味私の強みでもありますね。

■人生が180度変わった一瞬のワイプ

 芸能界に入ることになったのは、高校2年生の時。制服で友達と原宿を歩いているところで、『さんまのからくりTV』のインタビューに声を掛けられたのがきっかけです。これを機に、番組から出演のオファーがあり、ほかの女の子20人くらいと一緒にひな壇に座って出演したら、私が一瞬ワイプに抜かれたところをたまたま今のマネージャーさんが見て、スカウトしてくれました。
スカウトを受けたときは、進路について悩んでいたこともあり、芸能界の道に進むには不安な部分も多かったです。しかし、事務所の方に当時大人気だったAKB48のコンサートに連れて行ってもらい、「芸能界ってこんな素敵な世界なの?」ととても感動し、芸能界に進むことを決めました。
 芸能界に入った後、最初の頃はひたすらオーディションを受ける日々でした。そして、私の初めてのお仕事であり、レギュラー番組にもなったのがNHKの『Rの法則』です。この番組は、スタッフさんが愛をもって育てていた番組だったので、毎日がとても楽しかったです。現場には同世代の男女も多く、学生生活とはまた違った青春を送ることができました。今の高田夏帆がいるのは、『Rの法則』があってこそ。とても感謝しています。

■みんなが楽しいと自分も楽しい

 お仕事をしている上では、辛いことも大変なこともあります。でも、私の性格なのか、すべてを珍道中として楽しめてしまいます。たとえば、コロナ禍でお仕事が減ってしまったとき、どうやってプロ意識を保とうかを考えたとき、思いついたのが「メイク」でした。
 そこで知り合いのヘアメイクさんやカメラマンさんに、インスタのDMで自分から連絡をして、撮影会を企画しました。自分からみんなに声をかけて動くことは初めてでしたが、それぞれがやりたいテーマやコンセプトを持ち寄って、みんなが好きなことができる場になって、みんな楽しそうでした。みんなが楽しいと自分も楽しい気分になれて、とても思い出に残る撮影会になりました。

■理想を持たず、自分を信じて上を目指し続ける

 日頃から、理想を作らないようにしています。なぜなら、「誰かになろう」と思ったところでなれないものだから。自分の良さは自分が一番よくわかっているので、何かにとらわれないようにしています。動きを止めると死んでしまうマグロのように、常に上を目指して、自分を信じていこうと思いながら過ごしています。
 また、常に心掛けているのは、目の前のことを全力でやるというもの。たとえば、全日本忍者選手権大会での優勝や、横浜マラソンの完走、けん玉道7級の取得などは、全部最初はテレビの企画でお声がけいただいたからなんです。まったく未知の領域ではありましたが、根性と努力で乗り切れたのは、自分を信じて、全力で取り組んだおかげだなと思います。

■次につながったときに、自分を誉めてあげる

 ドラマ『恋より好きじゃだめですか?』でカープ女子を演じ、その数か月後に広島銀行のCMに起用された時は、とてもうれしかったです。他にもアーティストデビューをして、レコード大賞をいただいたりと、自分の仕事が次の仕事につながる瞬間がとても嬉しいです。
 褒められることが多い世界なので、仮に「また一緒に仕事をしよう」と言われても、本当にそれが実現するのはほんの一握りです。だからこそ、次の仕事につながったときは、自分を褒められるようないい仕事だったんだなと思うようにしています。でも、「失敗だったな」と思うことがあっても、それを糧に目の前のことに全力で取り組んで、過去の反省が生かすようにしています。

■若いうちは「自分はすごいんだ」と勘違いしてもいい

米米CLUBのカールスモーキー石井さんが「若さは“馬鹿さ”だ。いつ馬鹿になるの? 大人になると、常識に縛られちゃって世界を自分で狭めちゃう」とおっしゃっていて、その言葉がとても響きました。若いうちは、若さにひたひたに甘えて、走ればいいと思います。少しずつ大人になって色々なことに気づいてくると、怖くて動けなくなってしまうので。若いうちこそ、感謝とリスペクト、ユーモアさえ忘れなければ、「自分はすごいんだ」と少しくらい勘違いしてもいいんじゃないでしょうか。

学生新聞オンライン2021年2月16日取材 共立女子大学 3年 北之原真奈

明治大学 2年 山本真人 / 青山学院大学 2年 鈴木理梨子 / 共立女子大学 3年 北之原真奈

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