株式会社 DD ホールディングス 代表取締役社長 グループ CEO 松村 厚久
飲食業という枠にとらわれず、フィールドを越えて新たに挑戦を
■プロフィール
1967年高知県出身。(株)ダイヤモンドダイニング創業者。東証一部上場企業社長。高知県観光特使。2001年飲食業に参入。都内を中心にエンターテイメント性に溢れる個性的な店舗を展開し、2010年業界初の“100店舗100業態”を達成。その後、業態ポートフォリオを広げ、アミューズメント事業やウエディング事業も行っている。2017年9月より持株会社体制に移行し「DDホールディングス」を設立、グループCEOに就任。
「100店舗、100業態」という飲食業界の想像を超える偉業を成し遂げたDDホールディングス。ここに至るまでの道のりはどうであったのか。何をモットーとしているのか。次に求めるものは何だろうか。全身全霊で将来に向けて取り組む松村社長にその意気込みを伺った。
東京への憧れがあって東京目指して進学しましたが、進んだ先は千葉県でした。生活の中心は、授業以外は主にアルバイトでした。バイト先はサイゼリヤの前身、マリア―ヌ商会。ここでの仕事が今の自分を作っているといっても過言ではないと思います。かつてのサイゼリヤ(マリアーヌ商会)は、ファミレスではなくイタリア料理店という感じでした。当時からコーヒーゼリー、ミートドリアが人気でコーヒーゼリーはビーカーを用いて作ったコーヒーの残りを利用し、ミートドリアは余ったご飯を利用していました。この体験がコストカットについての学びとなり、そこから飲食業界への興味が広がっていきました。サイゼリヤでは仕事がこなせたこともあって時給もどんどん上がり、社員にならないかと打診もされたのですが、もっとお金が動いている業界を見てみたいと思い、別の業界に行くことにしたのです。
学業では今の仕事とは全く関係のない生物の研究をしていました。親が自営業だったので、自分もやがて独立したいと常に思っていました。
■異業種の経験が 今の事業に生きている
大学卒業後はディスコを経営の柱に置いている日拓エンタープライズという会社に就職しました。当時、エンターテイメントに関わりたいと思って就職したのですが、そこではPRの重要性を学びました。しかし、バブルが崩壊してディスコブームも陰りが見えてきたときに、このままここで働くことに疑問を持ち始め、退職しました。
これを機に独立を考え、飲食店経営をしようと動き出しましたが、肝心の資金がなく、お金を借りることもできませんでした。そこでお金を貯めるために自分がよく通っていた日焼けサロンの経営を思い立ち、始めることにしたのです。それは他店でおろそかになっているサービス、つまりホスピタリティをしっかりやれば必ず当たると考えていたからです。結果は見事に予想が的中し、大爆発!すぐに飲食店経営への目処が立ち始めました。そんなときに世界一恐いと言われているアメリカにあるお化け屋敷を訪れ、本物の武器を持って追いかけてくるお化けにとてつもない恐怖を覚え、ここまでリアルに細かくこだわるのかと感動しました。
こういった経験もあり、私は“ワクワク”をコンセプトとした楽しいレストランを作りたいと考えるようになりました。そして銀座にオープンしたのが『VAMPIRE CAFE』です。これこそが自分の飲食店経営のたどり着いた先であり、ここがスタート地点でした。正直、このときはこんなに大きくなるとは思ってもいなかったのですが、 号店目のときにベンチャーキャピタルがやってきて、上場しないかと持ち掛けられ、意識をし始めました。翌年の8店舗目のときに、「100店舗、100業態」という目標が生まれました。目標に到達するまでたくさんの苦労がありましたが、よくよく考えてみると通過点に過ぎなかったと感じます。たとえばリーマンショック。弊社も影響は受けましたが、逆にライバル企業が守りに入っているからこその攻めの精神で飛躍につなげられました。苦労の中での上場であり、「100店舗、100業態」の達成であったとも思います。
■やる気のある社員は どんどんフォローする
社員たちには好きなことをやりたいようにさせるのが基本です。もちろん徹底した指導は行いますが、頑張っている人には仕事を任せていきたいと思っています。大事なのは気合と根性です。やる気のある社員はどんどんフォローしてあげたいですね。そのような方針もあり、他の企業から声がかかってもここがいいからと言って働き続けてくれる社員がいます。それは純粋にうれしいですね。
また、仕事だけでなく仲間どうしでも楽しんでもらいたいので、社員たちで「よさこい」を作り、高知の大会に参加したりしています。
新卒採用の人たちはインターンや合宿などのカリキュラムを通してDDホールディングスの理念をしっかりと受け取ってもらえるようにしています。その中でチームワークも生まれているようです。最近はコロナの影響で小規模になっているのが残念ですね。
■フィールドを越えて仕事がしたい
弊社はエンターテイメント性を大事にしている企業ですので、他の外食産業とは少し立ち位置が違います。今は他の業界への進出を考えていて、ダーツや卓球、ビリヤードなどの遊びやスポーツを意識したビジネスもあります。異業種の人たちとも一緒に仕事をしたいと思っていますので、やはり“フィールドを越えた”というのがキーワードになってくると思います。
また、新しい事業を展開していくなかでは客層に合わせたサービス提供が重要になってくると思いますので、情報集めは大事です。自分自身でアンテナを張って、一般の方の意見を聞き、流行りもの、トレンドには敏感でありたいですね。
■message
大学生っていいですよね。恋愛を含めてキャンパスライフを楽しんでほしいです。自由に生きるのが一番です。「親はなくても子は育つ」というのを私自身実感しています。
学生新聞2021年10月号 埼玉大学 2年 成田裕樹
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