株式会社コメダホールディングス 代表取締役社長 甘利祐一

他者を思い、社会を想う。コメダが提供するのは、くつろぎの空間

株式会社コメダホールディングス 代表取締役社長 甘利 祐一(あまり ゆういち)

■プロフィール

1985年明治大学経営学部卒業後、株式会社三和銀行(現株式会社三菱UFJ銀行)入行。2006年セガサミーホールディングス株式会社入社、その後、サミー株式会社代表取締役専務、タイヨーエレック株式会社代表取締役社長などを歴任し、2019年株式会社コメダ入社。2022年より株式会社コメダホールディングス代表取締役社長ならびに株式会社コメダ代表取締役社長を務める。

提供価値は「くつろぐ、いちばんいいところ」。創業55年の今もくつろぎの空間を提供し続けるコメダを率いる甘利社長の熱い青春時代、意外な出会いから生まれた人生の選択とは。気さくで他者を思いやる心を大切にする甘利社長にお話を伺った。

応援団での活動に明け暮れる大学生活。東京6大学野球や箱根駅伝、相撲など、さまざまな競技の応援をしていました。私はそれを4年間全うしましたが、本当に厳しい組織でしたね(笑)。野球部が負けると、応援団の応援が足りなかったと上級生のお言葉。下級生は神宮球場の周りをうさぎ跳びしたりもしました。しかし、そうすると野球部の同級生が「俺たちのせいで応援団が大変な目にあっている……」と責任を感じ、段々と結束力が生まれてくる訳です。ただ、学校生活は部活動優先で、まさに応援に青春を費やしたと言えると思います。

4年生になり、自分では家業を継ぐつもりだったのですが親にその気はなく、就職活動をすることに。たまたま銀行員志望の同期がいたため、一緒に集団面接を受けることにしました。当時私は全く銀行に就職する気がなかったため、とてもリラックスして面接を受けました。それが良かったのか三和銀行に内定し、就職活動が終わったのです。

■偶然の出会いが人生の岐路に

三和銀行には21年間務め、その後セガサミーという会社に転職しました。きっかけは、たまたま取引先の人との会食の場でセガサミーの会長にお会いしたことです。そこで「あなたは銀行よりこっちの業界の水が合うと思いますよ」と43歳にして言われたのです。ちょうど合併によりUFJが三菱UFJ銀行に変わるタイミングでもあり、セガサミーに移ることを決めました。約10年営業をやり、最後は秘書室長など貴重な経験をたくさん積ませていただきました。その後、三和銀行の先輩であり、セガサミーの先輩でもあった当社の現会長にお会いしたのです。当時はセガを経てコメダの社長だったのですが、ある日食事に誘われ、そこでコメダビジネスの魅力を教えてくれたのです。そのときに誘ってくれたことがきっかけでコメダに移ることとなりました。私は、誘われるとすぐに行ってしまう性格なんですよね(笑)。学生時代からの他者を応援したい、世のため人のために働きたいという想いが今までつながっているのかもしれません。こうして、予期せぬ出会いや偶然によって私の人生は大きく動かされてきたのです。

■最高のくつろぎをお客様に

コメダはくつろぎの時間や場所を提供するビジネスです。よくスターバックスさんやドトールさんと比較されますが、業態が違うと思います。フルサービスの喫茶店であるコメダは、コメダ流おもてなしでお客様をお迎えし、どれだけくつろいで頂くかを大切にしているのです。さんかく屋根の外観や木の温もりが伝わる店内空間、ソファーや間仕切りは計算しつくされています。これらはコメダが創業以来50年以上かけて培ってきた大切な財産です。コロナ禍で増えたテイクアウトニーズやデリバリーについてはこの先も注力していきます。

■本気で取り組むサステナビリティ経営

プライム市場に上場している我が社にとって、サステナビリティ経営は必須です。しかし、コメダ本部だけが取り組んでもだめです。約950あるフランチャイズ店も含め、オールコメダで取り組まなければならない。それが一番大切だと考えています。そしてお客様にも我々の取り組みを知っていただくため、ホームページや店頭ポスター等でお伝えしています。まずは店舗の省エネ、そして本社や工場や直営店への再生可能エネルギー導入に力を入れています。昨年リニューアルした名古屋の本店では、再生可能エネルギーを使いながら太陽光パネルも設置しました。CO2を排出せず作られた電気をオール電化で使い、かなり徹底して環境に配慮しています。店内は木を多用し、旧本店で長年使われていた木材を再利用するなど「捨てない店舗」です。お客様ご自身もコメダに足を運んでいただくことでSDGsに貢献していただける仕組みになっています。また、私は自分で考えて行動する人が大好きです。人から指示されて行動するのはとても楽なことです。最終的な判断は社長や上司の仕事のときもありますが、さまざまな提案をして「自分はどうしたいのか」を伝えてほしいです。毎週のように試食会をするのですが、若い人が好むスイーツや流行のモノとのコラボなどは、我々世代にはわからないことだらけです。若い世代の意見は非常に重要なのです。

■message

学生時代にしかできないことをとことんやり切ってください。よく内定式で、「残りの大学生活でやるべきことは」と聞かれますが、仕事の事前学習は何もしなくていいんです。かけがえのない、二度と帰ってこない時間を大切にしてください。また、予期せぬ出会いを大切にしてほしいですね。私はこの出会いによって人生が大きく変わりました。そういった一つひとつの出会いを大切にし、学生時代を過ごしてほしいと思います。

学生新聞2023年4月1日発刊号 東海大学4年 大塚美咲

日本大学3年 石田耕司/専修大学3年 竹村結/南山大学1 年 田中友萌/学習院女子大学2年 小川莉実/東海大学4年 大塚美咲/東洋大学3年 濱穂乃香/日本女子大学4年 神田理苑/日本大学3年 和田真帆/津田塾大学4年 大川知/武蔵野大学3年 西山流生

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