株式会社JPホールディングス 代表取締役社長 坂井徹

こどもに寄り添う会社として人と社会を変えていく

株式会社JPホールディングス 代表取締役社長 坂井徹(さかいとおる)

■プロフィール
早稲田大学大学院卒業後、米国企業に入社。
その後、株式会社アトリウム執行役員戦略投資本部長に就任。
2011年以降、米国と日本に投資会社4社を創業し代表を務める。
2018年に株式会社JPホールディングス取締役、2019年に専務取締役、2020年より代表取締役社長に就任、現在に至る。

「すべてはこどもたちの笑顔のために」を経営理念に掲げ、全国で約300の保育園や学童クラブ・児童館といった子育て支援施設の運営、様々な子育て支援サービスを展開する株式会社JPホールディングス。事業内容は多岐にわたり、子育て支援プラットフォーム“コドメル”の運営などの新規事業にも熱心に取り組んでいる。保育業界の動向や会社の魅力について、坂井社長にお話しを伺った。

■自分で調べ、行動した学生時代

高校時代は機械工学の高等専門学校に通っていましたが、入った初日から「嫌いだな」と感じていました。ここで学ぶ内容は自分には向いていないとすぐに気がついたけれど、高卒の資格を取るまでは通おうと決めました。大学は海外に行きたいと思い、高校時代から留学を意識していました。親は応援してくれたものの、金銭の援助は一切行わないとのことだったので、高校三年間は資金繰りのためにアルバイト漬けの毎日を送りましたね。
その後、図書館で調べて見つけた全米で1番学費が安い大学に入学しました。ただ、実際に現地に行ってみると、その学校は自分の世界観が狭くなる環境だと感じたので、次に学費が安かった学校に転学しました。英語が話せなかったので最初は苦労しましたね。

■こどもたちに寄り添う生活

大学を出た後は、金融業界に入りました。そこでは貸出債権の買い取りの仕事をして、ビジネスは非常に上手くいっていました。会社の上場を経験することもできました。
しばらくして、自分のこどもが生まれました。35歳の時、一旦仕事を離れ、妻のサポートをしながらこどもに寄り添う家族中心の生活をする中で、こどもが様々な体験を通してどんどん変わっていくことを実感して、とても驚きましたね。次はこどもの成長に関わる仕事をしてみたい、と考えるようになったところに、JPホールディングスとのご縁がありました。

■こどもたちの笑顔のためにできること

こどもは周囲の環境が変わったり不安要素があったりするとなりたい自分とは違う方向に行ってしまうことがあるので、安心感のある中でいろんなことにチャレンジさせてあげることが大切だと考えています。
まず、快適な環境づくりのため、何事も「すべてはこどもたちの笑顔のために」をベースに考えることを従業員にも徹底してもらっています。また、身近な大人である従業員が常に笑顔でいることも重要なので、会社に大事にされているという自覚を持てるような職場づくりを行っています。
そして、こどもの「やりたい」という気持ちに寄り添い、様々なことに挑戦する機会を設けるために、保育園では日常の保育に加えて、体操・音楽・英語・ダンス・もじかず・STEAMS保育(Science、Technology、Engineering、Liberal Arts、Mathematics、Sports)などの幼児学習プログラムを実施しています。2023年4月にはバイリンガル保育園も開設しました。
当社では、乳児期・幼児期・学童期を通して、安全・安心の中でこどもたちの成長をサポートする環境が整っています。今後は学童クラブの運営数をもっと増やし、保育園との連携を強化したいと考えています。

■こどもたちが夢と希望を持てる環境をつくる

待機児童の問題や過去最低の出生率と過去最多のこどもの自殺者数、児童虐待の問題など、現代の子育て世帯を取り巻く環境には様々な課題がありますが、保育サービスを提供する我々のサポートによって、こうした課題を改善できると考えています。
当社が運営する保育園ではこどもの有無にかかわらず、地域の若い世代向けに出産や育児に関する悩みに保育士や栄養士が答えたり、保育所体験ができたりする「マイ保育園」という取り組みを実施し、子育てに関する様々な情報の提供を行っています。出生率の低下はもちろんですが、妊産婦さんのうつ病の発症や自殺率の高さは、特に重要な問題であると考えており、地域社会に向けた啓蒙活動として、全国で運営する200以上の保育園でマイ保育園を導入しています。
当社ではこの様な施策を実施する上で、現場の意見を積極的に取り入れることを大切にしています。当社の従業員のうち、本部スタッフはほんの少しでほとんどが保育園や学童クラブ・児童館で働いています。少数の本部スタッフが施策を一方的に決定すると現場の負担が増えてしまう場合があります。そのため、現場スタッフがメンバーとなる委員会を各種設け、委員会で施策を検討する仕組みになっています。
4月1日にこども家庭庁が発足し、「こどもまんなか」社会の実現に向けて動き出しました。当社は保育理念に「未来(あす)を生きる力を培う」、育成理念に「なりたい自分になる力を育む」を掲げ、こどもたち一人ひとりが興味・関心を伸ばす主体的な学びを提供しています。こどもたちが自分自身のやりたいことや可能性をもっと追求でき、夢を持って成長できる環境づくりを目指して、今後も様々な取り組みにチャレンジしたいと思います。

■学生へのメッセージ

みなさんが今できることはたくさんあると思っています。世界中の情報に簡単にアクセスできる環境を活かして、様々なことにチャレンジし、その楽しさを知ってください。そして、「世界って広くていろんな選択肢があるんだよ。失敗したってなんてことないんだよ」ということを小学生や保育園のこどもたちに教えてあげてほしいです。未来への不安を抱えているこどもたちの希望になってあげてください。

学生新聞オンライン2023年3月13日取材 上智大学1年 池濱百花

上智大学1年 池濱百花 / 都立井草高校3年 渡邊和花 / 明治大学4年 山本真人 / 國學院大學3年 島田大輝 / 武蔵野大学3年 西山流生 / 上智大学1年 白坂日葵/ 専修大学3年 竹村結

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