Aiロボティクス株式会社 代表取締役社長 龍川誠

起業そのものはゴールではない。もはやライフスタイルのようなもの

Aiロボティクス株式会社 代表取締役社長 龍川 誠 (たつかわ まこと)

◾️プロフィール
大学在学中にwebサービスや通販化粧品ブランドの立ち上げを経験したのちに、2013年に女性向けメディアを運営するロケットベンチャー株式会社(現4MEEE株式会社)を設立。サービス開始から8ヶ月で上場企業に会社を6億円でバイアウトし、メディア事業に参画。2016年4月にAiロボティクス株式会社を創業し、2024年9月に東証グロースに上場。

独自開発のAIシステムである「SELL」など自社で培ったAI技術を活用したD2Cブランド「Yunth(ユンス)」の販売など幅広い分野に絶えずチャレンジし続けている龍川誠氏。まさに、起業家たちの次世代リーダー的存在である龍川氏に、現在に至るまでの道のりや今後の展望について伺った。

◾️“小学生”の頃から起業家という職業に関心を持つ

会社を経営しようという想いは、小学生の頃から抱いていました。小さい頃から僕は世の中で高い成果を出している人は何をしているのかを研究するのが好きなのですが、その人たちはだいたい経営者をしていたからです。

また、フォーブスランキングに載っている世界の長者番付ランキングなどを見ていくと、 上位にいる人たちは、エクイティ、つまり自社の株式を保有している人ばかりです。自分の株式の価値を高めることが、資産を形成する上での基本原則であり、最短の道だと思いました。そこで漠然と「将来は自分もエクイティに絡む必要があるな」と思うようになりました。

 そこで「株式会社とは何か」を学ぶため、ロバート・キヨサキさんの『金持ち父さん貧乏父さん』という本を読みました。その本を通じて、結局、「自分で働く場合は、得られる結果には限界がある。よって、起業家として、資本をベースに成長していくことが、成功者になるには一番早い道のりだ」と感じました。

 つまり、途方もない資産を作ろうと思ったら、 自分で作った会社を売るか、あるいは自分の作った会社を上場させるかの2つ以外に道がない。なので、まずは起業を進めていきました。

◾️事業をすることの本質

事業をすることの本質は、自分のためではありません。何か社会において不便だったり、誰かしらの困難だったりに対して、「こういう改善がある」「もっと便利にできる」という提案をする、すなわち課題解決です。起業そのものが本質ではなく、社会の課題に向き合い、それを解決することが自分たちの目的だと感じています。そのために、結果的には組織が必要になって、人を採用し、お金の流れが生まれていきます。一部の人にとって起業やバイアウトがゴールだと思うのですが、僕にとっては自分の生き様そのもの。いまや自然と息を吸うようにビジネスをするので、もはやライフスタイルの一部のようなものですね。

◾️AIの活用により増える選択肢

AIの力は、本当にすごいと思っています。通常のRPA (ロボティック・プロセス・オートメーション) にはAIは搭載されていないですが、僕らはそのRPAにAIを搭載し、独自のシステムを作り、それによって精度の高いオートメーション化を進めています。だからこそ、社名をAiロボティクスにしました。

AIを活用することで、人々の選択肢はかなり広がると感じています。まず、仕事がかなり効率化されるので、収入を増やせるでしょうし、これまでは100人、200人で成り立っていた事業タスクを、二十数名で運営することも可能になります。その場合、各社員に払う給与条件を高められるようになります。

そして、AIを導入するかどうかで生まれる経済格差が、今後、人々の選択の幅を広げていくのかなと思います。

選択肢の幅は、経済力にかなり左右されるものです。たとえば、お金があれば5,000円のランチを食べられますが、お金がなかったら100円のおにぎりしか食べることが出来ないし、所持金が0円だったら何も食べられません。ただ、どんなにお金があっても時間がなかったら意味がないとも感じます。AIを利用することで、これまで忙しかった人が時間を捻出できるようになります。AIを利用することで起こる変化はすごい。だからこそ、幅広い選択肢を届けることが、今のビジョンとなっています。

◾️大学生へのメッセージ

学生さんと話をするときによく思うのが、世の中を知らないがゆえに、自分の限界を勝手に決めてしまっている点です。この世の中は、何があるかわかりません。コロナ禍になることもあるし、未来も読めない。もしかしたら、5年後には宇宙人が街中歩いている可能性だってあります。そんな現代において、大学や就職先に違いはあっても、世の中の常識に囚われる必要は全くありません。自分の考えを狭めるのではなく、それこそ選択肢を幅広く考え、できる限り挑戦し、早く失敗することが大事だと考えています。多分、多くの人は成功したいと思うのですが、早く失敗した分だけうまくいくと思います。

周囲の人がみんな優秀で能力も高いという状況で、一番大事なことは、人に好かれることです。人に愛され、信頼されるような、真心を持った人がベストです。たとえば、相手を徹底的に分析して、徹底的に理解して、誰よりも、なんならその人自身よりもその人に詳しくなる。そんな状況になった場合、相手は必ずあなたのことが好きになると思います。

 幻冬舎の社長である見城徹さんが、よく「他者への想像力」とおっしゃられています。他者への想像力を働かせるということは圧倒的に努力しなければならないことなので、すごく大変です。でも、努力して、相手の心を動かすことが出来れば、仕事においてはできないことがなくなるので、この世では無敵だと思います。これは、Aiロボティクスの行動方針 (VALUE) として定めております。

 あと、大切なのは“人生無駄なし”というポリシーです。どんなことでも将来に繋がるのでやってみてください。また、「自分は周りより抜きんでていて天才だ!」と思う人がいたら、ぜひ我が社に応募してください。一緒に働きましょう!

学生新聞オンライン2024年11月8日取材 東洋大学3年 太田楓華

武蔵野大学4年 西山流生 / 東洋大学3年 太田楓華 / 法政大学4年 島田大輝  

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