株式会社Looop 代表取締役社長CEO 森田卓巳

“つながり”を意識し、広い視野を持つことが未来をつくる

株式会社Looop 代表取締役社長CEO 森田卓巳もりた たくみ

■プロフィール
ネットベンチャーの中国法人にて、システムエンジニア、プロジェクトマネジャー、総経理(最高執行責任者)などを経て、2012年、Looop入社。太陽光発電所のEPC事業、太陽光、風力発電による発電事業の事業本部長・管掌取締役、電力小売事業、経営戦略、財務戦略部門の管掌取締役を経て、2023年4月より現職。東京学芸大学教育学部卒。慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了。

再生可能エネルギーの普及を掲げ、太陽光発電や風力発電、電力小売事業等で挑戦を続けるLooop。電力市場の変動や資源価格の高騰を乗り越え、持続可能な未来の創造に挑む。エネルギーを提供するだけでなく、消費者のニーズを理解し未来世代に向けて重要視する取り組みとは? その魅力と新たな挑戦について、森田卓巳社長に伺った。

学生時代、私は他の学生と同じように、お金を稼ぐことに強い興味がありました。居酒屋やリゾートバイトなど、様々なアルバイトを経験する中で、「効率よく稼ぐにはどうすればよいか」と考えるようになりました。その結果、当時報酬が良かったプログラミングやIT関連の仕事に目を向けることとなりました。友人からの紹介や、「初心者歓迎」といった条件のアルバイトに応募し、Webアプリケーションの開発を行う会社に入ることができました。驚いたことに、その会社は社長や営業職以外のほとんどが学生で構成されていたのです。そこで、私は大学3年生のときからプログラミングのアルバイトを始め、技術を学びながら収益を上げる方法を模索していました。そんな生活の中、就職活動の時期を逃してしまったこともあり、大学院進学を決意します。大学院での時間を活用して新たな経験を積むことができました。その一環で、留学生のチューターを務めたことが、次なる転機を生むきっかけとなりました。中国から来た留学生との交流を通じて、キャリアや人生設計において新しい視点を得ました。「中国に行けば何かが分かるかもしれない」と考えた私は、大学院1年生の時に思い切って中国へ行くことを決めました。

上海での経験 ダイナミックな成長とLooopとの出会い

上海に渡った私は、日本の企業でオフショア開発を支援する仕事に関わることになります。当時の中国は経済が急速に成長しており、そのエネルギーとダイナミックな環境に圧倒されました。訪れた当初は2路線しかなかった地下鉄が、数年で20路線以上に増えるなど、目覚ましい発展を目の当たりにしました。しかし、2008年のリーマンショックが発生し、外部環境が大きく変わりました。日本からのオフショア開発の需要が激減し、現地の法人も急速に縮小していきました。最盛期には100人規模だった組織が、わずか数年で20人程度にまで縮小されるなど、経済的な厳しさを肌身で実感することになりました。その後、日本に帰国し、新たな挑戦を求めて動き出したとき、出会ったのがLooopです。創業者である中村とは上海でのフットサル仲間として知り合い、その縁が再び繋がった際、震災をきっかけに設立されたLooopの理念と挑戦に共感し、ここで再スタートを切ることを決めたのです。

■20兆円規模の市場で、再生可能エネルギーを浸透させたい

エネルギー分野のマーケットは非常に大きく、その可能性は無限大です。電力の供給事業だけでも7兆円規模、電気全体では20兆円規模とされており、脱炭素化やAI・デジタル化の進展により、さらなる成長が見込まれています。Looopでは、再生可能エネルギーを効率よく活用するためのサービスを展開しています。市場価格と連動する料金プランを採用することで、再エネが生む電力を無駄にせず、安価で消費者に提供する仕組みを構築しました。例えば、電力が余剰となり捨てられることを防ぐ「スマートタイムONE」というサービスは、再エネを有効活用する画期的な試みの一つです。また、私たちはただエネルギーを提供するだけでなく、消費者のニーズを理解し、多様なサービスを通じて「再エネっていいよね」と感じてもらえるよう努めています。未来世代に向けた教育活動や地域密着型の取り組みも重要視しており、社会全体で再生可能エネルギーを広げていくことを目指しています。

■大切なのは、自分の役割を把握して働くこと

Looopで共に働きたいのは、自分と、自分に関わる会社の役割をきちんと把握し、社会課題の解決に向けて行動できる人です。エネルギー業界は広範囲にわたる課題を抱えており、一つの企業だけで解決するのは難しいのが現実です。そのため、他の企業や団体と協力しながら、自分たちが果たすべき役割を見極める力が必要です。また、単にアイデアを出すだけでなく、それを実行に移し、社会に実装する行動力も求められます。ビジョンに共感し、自分の力を最大限に活かせる人材を歓迎しています。

■大学生へのメッセージ

大学生の皆さんには、とにかく行動することの重要性をお伝えしたいです。私自身、学生時代の様々な挑戦や経験が、現在のキャリアの礎となっています。物事のつながりを意識し、広い視野を持って動いてください。例えば、再生可能エネルギーに関しても、現在の取り組みが将来どのような影響を与えるのかを考える必要があります。地理的・時間的なつながりを理解しながら行動することで、将来的な可能性を広げることができます。最後に、多方面で経験を積み、つながりを意識することの大切さを胸に刻みながら、自分の可能性を信じて進んでいってください。

学生新聞オンライン2024年12月13日取材 日本大学4年 鈴木準希

城西国際大学1年 渡部優理絵 / 東洋大学2年 越山凛乃 / 日本大学4年 鈴木準希

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