亀田製菓株式会社 代表取締役社長COO 髙木政紀
“ライスイノベーションカンパニー”として米の未来を切り開く

亀田製菓株式会社 代表取締役社長COO 髙木政紀(たかぎまさのり)
■プロフィール
1972年2月11日生まれ、新潟県出身。小学生のころの夢は「亀田製菓に入ること」。その夢を実現し、1990年4月に入社。その後、工場長や経営企画、総務部長、営業本部長など多岐にわたる業務を歴任し、2022年6月代表取締役社長COOに就任。“現場出身のリーダー”として、従業員との対話を重視した経営の舵取りを行う。プライベートでは最近孫が生まれたので、孫の写真が届くことが楽しみのひとつ。
1975年から40年以上にわたり米菓業界を牽引してきた亀田製菓。亀田の柿の種やハッピーターンなどの米菓を通じて、人々の暮らしに喜びを届けてきた。現社長・髙木政紀氏は幼い頃から亀田製菓への入社を夢見ていたという。そんな誰よりも会社に対して深い愛情を持つ髙木氏に、亀田製菓の魅力やこれからの米菓産業について伺った。
幼い頃から、亀田製菓に入ることが夢でした。1975年、私が3歳の頃、亀田製菓は日本一の米菓会社になりました。私は亀田製菓が創業した町に生まれたので、近隣の方々や親族で亀田製菓に関わっている人が多く、「あの会社いいよ」と言われて育ってきました。印象深かったのは、会社を推薦する大人たちが亀田製菓について話すとき、いつも楽しそうですごく幸せそうだったことです。そんな環境から、「あの会社に入ると、僕の人生はハッピーになるんだ」と自己暗示をかけ、その思いは決して薄れることなく、小学校の卒業文集にも「亀田製菓に絶対入る」と書くほどでした。
■憧れの「亀田製菓」
高校を卒業したらすぐに亀田製菓で働きたいと思っていました。その想いが届き、卒業後すぐに入社することができました。入社してからも、幼い頃に抱いていた亀田製菓へのイメージは変わらず、むしろ更に大好きになっていきましたね。働いている人たちも、みんながフォローし合う温かい会社だと感じています。入社後は、多くの工場と職場を経験し、チームのマネジメントや、工場長、営業所長、人事、さらには会長のおつきなど、さまざまな経験をしました。大好きな会社で、色んな部署に携わり、様々な方々とお話をしながら、喜びを分かち合うことは、私にとっては大きなやりがいでした。社長に就任したのも、こうした経験があったからだと思います。
■お米の魅力を米菓に込めて
私たちは、常にお客様のニーズを第一に商品を作っています。市場環境を捉えたり、トレンドを察知したりしながら、独自価値を創造する企業として、皆さんに驚きを届けられるように工夫しています。具体的な商品開発は、マーケティング戦略部の企画開発チームと技術開発チームが協力して行っています。市場から情報を得てお客様にどのような商品がヒットするのかを考える企画開発チームと新しいネタを研究開発する技術開発チーム。この2つのチームが、それぞれの知識を共有し、常に対話することで、商品を開発しているんです。良い商品を生み出すには、自社で持っている技術力をはじめとした財産をどのように生かすかが大切で、社員の皆さんが思う存分アイデアをだせる環境を経営陣がつくることが必要だと考えているので常にその環境づくりに徹しています。
亀田製菓の一番の強みはお米の加工技術力です。お米には日本産、タイ産、アメリカ産など沢山の種類があり、それぞれに特徴があります。その特性を分析した上で、技術条件を工夫しながら品質を向上させ、クオリティの高い商品を作ることができる技術力こそが、亀田製菓の宝です。たとえば、近年では米不足と言われていますが、やはり日本のお米を使い続けたい思いは変わりません。近い将来、日本の皆さんが食べるお米の量と日本の農家が作る量は逆転してしまうと言われています。しかし、お米がとれないからといって、商品を終売するわけにはいきません。様々な国のお米を、適切な配合条件等に変えながら、培った技術を駆使して、美味しい商品として提供していきます。
また、お米はアレルギーが少なく、宗教も年齢も関係なく食べられるなど、たくさんの可能性があると思っています。ただ美味しいだけでなく、そうしたメリットも生かした活用を進めていきます。
■次世代の米菓産業を作る
私たちは、これからも人類の健康をサポートする、ワクワクする美味しい食品を作り続けていきます。そのなかでお米の効果について日夜研究する一方、最近では農家の方と共に地元新潟の持続可能な稲作に寄与する取り組みを始めました。我々は、お米を用いて成長してきた会社です。将来、お米の収穫量が少なくなる状況を考えた時に、私たちが農家の皆さんとともに米づくりを行い、知恵を出し合いながら稲作の生産性を高めることができると感じています。今後もアグリビジネスを通じて、日本の大切な稲作が衰退せず、持続可能な未来へ導く一助となれるよう取り組んでまいります。そして、日本を代表する“ライスイノベーションカンパニー”として、米業をリードしていきたいですね。
亀田製菓で一緒に働きたいと思う人材は、純粋に会社の未来について一緒に語り合える人です。また、会社は人生の一部なので、会社と共に家族や自分の人生をハッピーにしていこうと思える人が素敵です。それらの探求心は自身やチームを成長させ、会社を動かすことができるはずですから。
■大学生へのメッセージ
学生時代の今しかできないことが沢山あります。是非、学生生活を全うしてください。今できることに精一杯取り組み、やりきる。その結果よりもやりきった経験こそが自分の成長の糧にもなります。そして、自分と周りと比べず、自分の個性を大切にしてください。新入社員の中には、同期と自分を比べて落ち込んでしまう方がいます。しかし、みなさんは自分のカラーが認められ、入社する会社からオファーをいただいていますので、そのことを誇りに思い、自身の強みにするべきです。周りと比べてしまうと、自分の個性が揺らいでしまいます。ぜひ、自分のカラーを大切に進み続けてください。
学生新聞オンライン2025年2月18日 国際基督教大学2年 丸山実友

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