キヤノンマーケティングジャパン株式会社 代表取締役社長 足立正親
“自発”“自治”“自覚”の三自の精神で挑む新しい価値提供

キヤノンマーケティングジャパン株式会社 代表取締役社長 足立 正親(あだち まさちか)
1960年生まれ。1982年、キヤノン販売(現キヤノンマーケティングジャパン)株式会社に入社。2007年、MA販売事業部金融営業本部長を経て、2015年取締役常務執行役員に就任。その後、キヤノンマーケティングジャパングループのキヤノンITソリューションズ株式会社代表取締役、キヤノンマーケティングジャパン株式会社取締役専務執行役員などを経て、2021年より現職。
物販主体から価値創造企業へ。社会の変化とともに新しい価値を創造し、社会課題の解決へと導く、キヤノンマーケティングジャパン。これまでの挑戦は、社員一人ひとりの努力が生み出した結果である。そう語る足立社長に同社の歩みと未来への展望について話を伺った。
大学時代は経済学部に所属していましたが、高校時代の野球部の経験を買われて、付属高校の女子ソフトボール部のコーチを任されていました。当初はソフトボールを始めたばかりの部員が多かったのですが、目標は高く東京都2部リーグの1位を掲げました。将来のチームのありたい姿を描き逆算して切磋琢磨し、3年後には優勝できました。このとき、人を育てることの難しさや面白さ、やりがい、チームのパフォーマンスの上げ方の基礎を学んだと思います。
就職活動では、金融系の仕事に憧れていましたが、就活を進めていくにつれてシステムや技術分野の方が合っていると思いました。最後は自分の感性を大事にして、実力主義だがアットホームな社風に引かれた当社(当時のキヤノン販売)に入社しました。
入社したときは東証2部に上場して間もない頃で、会社の規模は今ほど大きくはありませんでしたが、それでも社長になるとは夢にも思っていませんでした。仕事でチャンスをもらったときは、周りに何か貢献したいと考えていました。与えられた仕事をこなすのは当たり前なので、自らがワクワクすることを探し、常にチャレンジしていたことが今の自分につながっているのだと思います。
◾️ソリューションビジネスで新たな価値創造企業へ
当社は、昔と比べて会社の内容が随分と変化してきています。昔はカメラやプリンターなどキヤノン製品の販売が中心で、代理店を通じた販売が主流でした。しかし、2006年に社名を現在のキヤノンマーケティングジャパンに変更した頃からは、キヤノン製品事業とITソリューション事業を組み合わせたソリューションビジネスへとシフトが加速しています。
現在の当社は大手企業から中堅・中小企業、そして個人のお客様まで、幅広い領域でビジネスを展開しています。また、カメラ・ビジネス機器・半導体製造関連装置などお客様に合わせた製品の販売からSI(システムインテグレーション)サービス、BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)ビジネスに至るまで多種多様なソリューションを提供できることが強みで、他社との差別化になっています。
しかし、実現するためには、優れた人材が不可欠です。素晴らしい商品やシステム、技術があっても人材が揃わないと絶対に成功しません。だからこそ人材投資に本気で取り組み、ビジネス拡大のためにどのような人材とスキルが必要かを定義し、教育とスキル獲得を実施しています。
◾️顧客の課題解決を超えた先にあるもの
私たちが取り組むのは顧客の課題解決だけでなく、その先にある社会の課題解決です。「ここは任せたい」と言ってもらえる、期待される、愛される、魅力のある存在でなければなりません。そうした思いから2024年1月、「未来マーケティング企業」を宣言し、私たちの社会的な存在意義としてパーパス「想いと技術をつなぎ、想像を超える未来を切り拓く」を掲げました。重要なのは強い領域を持つこと。知見や技術、ノウハウなど、私たちならではの確かな強みを磨き上げ、発展させていきます。取り組みの一つとして、同じタイミングで発足したR&B(リサーチ&ビジネスデベロップメント)チームを中心に、ウェルビーイング、ビジネストランスフォーメーションの領域で、社会の構造的な課題に真正面から取り組んでいきます。私たちは技術とマーケティング力、そして熱意を武器に、社会に新しい価値を提供し続けます。選ばれる企業、期待される企業、そして社会と共に成長する企業を目指して私たちの挑戦はまだ始まったばかりです。
◾️失敗を恐れずに楽しみながら成長
一緒に働きたいと思うのは、私たちが大切にしている「自発」「自治」「自覚」の姿勢で前向きに仕事に取り組む「三自の精神」を実践できる方です。そして失敗を恐れずに挑戦してください。挑戦する中での失敗は成長の証です。
また、仕事には愉しさとワクワク感が欠かせません。まじめで頑張る社員が多いのは当社の良さですが、それだけでなく、もっと将来に向けた“夢”をふくらませてほしい。社員が愉しんでいなければ、お客様にもその愉しさや素晴らしい未来は伝わりません。そして、会社は馴れ合いではいけません。個がしっかりと強みを発揮しながらも相手をリスペクトし、思いやりを持つことで「和」が生まれます。和と思いやりこそが、強いチームを作る土台になるのです。
*message*
20代は可能性を広げる最高の時期です。たくさんのことを経験し、そして失敗を恐れないでください。失敗から学ぶ姿勢こそが最大の武器になります。新しいことへの挑戦、知らないことへの好奇心、学び続ける意志。これらが皆さんの未来を切り拓く力となります。私たちと共に社会課題に立ち向かい、未来を創造したいと思うなら扉は開かれています。皆さんの情熱と可能性を心の底から応援しています。
学生新聞2025年4月発刊号 明治大学大学院2年 酒井躍

明治大学大学院2年 酒井躍/東洋大学 3 年太田楓華/東洋大学 2 年 越山凛乃/日本大学 4 年 鈴木準希
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