テリー伊藤 コラムVol.56 遂に大谷翔平が投げた

遂にドジャース大谷翔平が本拠地でのパドレス戦に投手として先発した。2023年8月23日、エンゼルス時代のレッズ戦以来663日ぶりに上がったマウンド。振り返ってみれば、2023年8月23日レッズ戦に先発し「腕の疲労」が2回途中降板、9月には右ひじの手術を受け、昨年は野手としてプレーをする裏で懸命なリハビリを続けていた。ドジャース移籍後初のマウンドは1回28球を投げて2安打1失点、最速は161キロで二刀流復帰を果たした。試合後のインタビューで大谷は「結果的にはいまいちでしたが、自分の中でいいイメージを持って出来るいい一日だった。」と答えている。さらに「いいオフェンス、ブルペンもそうだけど、素晴らしい野球だった。皆で勝ち取った勝ち方だった。」と笑顔を見せた。

それにしても誰もがまさかの登板と思ったに違いない。早くてもオールスター明けとの大方の予想を見事に外させた。登板Xデイは当然ロバーツ監督、コーチ、ドクター、フロントとも多くの時間をかけて議論を重ねたと思われる。最後はマウンドで投げたいという大谷自身の情熱が押し切ったのだ。

冷静に考えると、先発ピッチャーが1回しか投げずにマウンドを後にする、オールスターの試合ならあるかもしれないが、公式戦では極めて異例な配慮なのでは。2番手投手もコンデション作りが大変なはず。次回からどう大谷投手を使って行くのかロバーツ監督の腕の見せ所となる。投手をやることによって本塁打の数も減少することも予想される。さらに故障の可能性も高くなることも。

それにしても大谷翔平はファンにも、チームメイトにも愛されていると改めて感じた。ドジャースに入団してからの功績をチームメイトもよく知っている。初登板は感謝の意味もあり、観客、選手の大谷をバックアップする熱意を感じた。残る今シーズン、二刀流がベストなのか正直言って私にはわからないが、これだけは言える。インタビューに答えていた「今日はいい一日だった」この言葉こそ全てではないか。大谷は野球が楽しかったのだ。私たちはメジャリーグに来てからの大谷の活躍でどれだけ幸せを享受されたか。日本では時差の関係上、ドジャースの試合が朝に放送されることが多い。そんな時、必ずホームランを打ってくれる。「よし大谷が打ったから今日も一日頑張ろう!」と思って学校、仕事に出掛ける。それだけではない。病気と闘っている人も元気を貰っている。結果がどうであれ、野球人大谷が楽しいベースボールをやれるのならそれでいいのだ!応援するしかない!

テリー伊藤(演出家)

1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。
2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。
テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。
その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。
著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。
演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。
YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ
LALALA USAでコラム連載中
https://lalalausa.com/archives/category/column/terry

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