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俳優 松谷鷹也 / 俳優 前田拳太郎 映画『栄光のバックホーム』

“日々成長”を胸に、一歩一歩進んでいってほしい

前田拳太郎 / 松谷鷹也

■俳優 松谷鷹也

1994年1月22日生まれ、神奈川県出身。小学校3年から本格的に野球を始め、高校時代は学法福島で投手として活躍。身長185cm、体重74kg、左投げ左打ち。読売ジャイアンツにドラフト2位指名された元プロ野球選手の松谷竜二郎さんを父に持つなど、横田慎太郎さんとの共通点を多く持つ。天性の感性と素直な性格が魅力で、本作の脚本を務める中井由梨子が率いる野球型俳優エンターテインメント集団「東京モザイク」では4番ピッチャーとして活動。本作の役作りのために福山ローズファイターズの練習生として体重を94kgに増やして野球に打ち込んだ。また、本作の監督である秋山純のもとで制作・助監督としての経験も積み、スタッフとしての知識も深めている。生前の横田慎太郎さんと親交があり、彼から譲り受けたグローブで劇中の“奇跡のバックホーム”をリアルに再現する。

■俳優 前田拳太郎

1999年9月6日生まれ、埼玉県出身。2021年に俳優デビュー。同年には『仮面ライダーリバイス』(テレビ朝日)で初主演を務めている。主なドラマ出演作に、『トクメイ!警視庁特別会計係』(23/関西テレビ)、『君には届かない。』(23/TBS)、『女神の教室~リーガル青春白書~』(23/フジテレビ)、『君とゆきて咲く~新選組青春録~』(24/テレビ朝日)、『PJ~航空救難団~』(25/テレビ朝日)がある。映画では『劇場版 美しい彼~eternal~』(23/酒井麻衣監督)に出演。また、劇場アニメ『ふれる。』(24/長井龍雪監督)では主人公の声優を務めた。
 

2025年11月28日公開の映画『栄光のバックホーム』。この映画は、元阪神タイガース・横田慎太郎さんの実話をもとに作られた感動作。主演を務めるのは松谷鷹也さん。そして、横田慎太郎さんのライバルであり親友である北條史也役を演じるのは前田拳太郎さん。お2人に、映画『栄光のバックホーム』の見どころについてお話を伺った。

■出演が決まったときの想い

松谷:4年ほど前、秋山監督が『20歳のソウル』という作品を撮った時に、制作スタッフとして関わっていました。その2か月ほど後、「次の作品で横田慎太郎さんの作品を撮りたいのだが、鷹也を主演に考えている」と聞いたときは、信じられない気持ちが大きかったですね。僕自身の感覚としては、主演を務めるというより、慎太郎さん役を演じるという気持ちが強かったです。そのときはコロナ渦だったので、リモートで秋山監督と脚本の中井さんと一緒に脚本づくりをはじめました。当初は、慎太郎さんも2回目の闘病を終えてお元気なタイミングだったので、鹿児島での講演会にも行きました。その途中でホスピスに入ったという話を聞き、お見舞いにも伺いました。そして訃報を聞きました。それまでは慎太郎さんが講演会を頑張っていたので、「映画が完成したら講演会を一緒にできたらいいな」と思っていました。でも、お葬式にお邪魔した後、「沢山の人に慎太郎さんのことを伝えないといけない」とより一層覚悟を決め、自分の中でのギアが上がった気がします。

■実在する方を、作品の中で演じること

前田:僕自身は、実在する方の役を演じることは初めてでした。実写化とも違いますし。大切にしたのは、「北條選手を真似て演じることはしない」という想いです。監督ともそのようにお話しさせていただいて。北條選手のYouTubeなども拝見しましたが、見すぎるとご本人に寄せてしまうと思い、作品の中で必要な北條選手を演じるよう意識しました。僕は、今回この作品を通じて横田選手の立派な姿を知りました。“沢山の人に届けていきたい“と思いました。”誰かの背中を押す作品”になると思うので、「この作品をみんなに届ける、という思いでやらないと」と思っています。

■印象に残っているシーン

松谷:10年ほど野球をやっていましたが、肩を壊してやめました。10年ほど野球から離れていたので、最初は投げることができませんでした。でも、初めに話を聞いた時点で、「肩が壊れてもいいからやるしかない」という想いが強かったです。慎太郎さんの引退試合での奇跡のバックホームについてはご存じの方も多いです。秋山監督はこの映画の野球シーンには一切CGを使わないと最初から言っていました。だから、その言葉を聞いて「奇跡のバックホーム」を投げることだけを考えて4年間やっていました。撮影の日は、普段の撮影よりも気合が入り、「ついにこの日が来た」という感慨深さもありました。

前田:最初お話を頂いたときは、野球のシーンはないと言われていました。僕は野球の経験がないですし。でも、いざ始まると「北條、ここ入って」と言われ、撮影が始まって……。地方に泊まりでの撮影でしたが、鷹也さんが練習を手伝ってくださって、休みの日も2人で練習所に行って練習をしました。北條選手の重要なシーンは素振りをするところだと思います。最初は2人で、最後は1人で素振りをします。横田選手とのつながりが感じられるシーンで今でも鮮明に覚えています。

■映画に携わる中で変化したこと

松谷:僕は作品に長い間関わっていたので、慎太郎さんのことを調べ尽くしました。最近では甲子園でファーストピッチをして、その後、甲子園歴史館に行きました。そこで、阪神の選手が入団した際に書く、サインと一言を添えた直筆の色紙を拝見しました。慎太郎さんは“日々成長”という言葉を書かれていて。この言葉は、彼が子どもの頃から目標を立てて少しずつ前に進み、病気になったときも一個一個目標を立てて、少しでも前に進んでいたことの象徴であると感じ、とても感動しました。まもなく映画が公開するので、一人でも多くの方に慎太郎さんのことや映画のことを知ってもらえるように、できる限りのことに取り組んでいます。

前田:作品を通じて、実話であることが身近に感じられました。映画を撮る前と撮った後では台本の見え方が変わりました。ノンフィクションだからこそ、台本が自分のものにできるようになりました。お芝居に対する考え方が変わり、お芝居と自分の距離感も縮まったと思いました。

■今まで生きてきた中での挫折と立ち直り方

松谷:小学校2年から大学に入ってからの半年まで、ずっと野球をしてきました。大学に入ったときに肩を壊して野球をやめる決断をしたときは、本当に悲しかったですね。小さい頃から野球のことだけを考えて、プロ野球選手になりたいと思っていました。その夢がなくなり塞ぎこんでいましたが、兄の助言で役者になりたいと考え、なんとか立ち直ることができました。

前田:このお仕事をはじめてから、何度も心が折れていますが、そのたびに立ち直っています。毎回作品が終わると一人で反省会をしています。自分の中に理想があるのですが、そこまでたどり着けず、またチャレンジしての繰り返しです。苦しいこともありますが、これを続けていくことで、未来の自分が理想の自分に近づいていけると思います。挫折は味わうものですよね。

■映画『栄光のバックホーム』の見どころ

松谷:全部が見どころです。全編通して慎太郎さんの28年間、家族の絆、そしてファンの方や球団の方など支えた方々の生き様が詰まっているので、全部見ていただいて、そのすごみを感じていただけたら嬉しいです。

前田:横田選手が諦めずにまっすぐ取り組んだこと、家族や仲間などみんなで頑張ってきたことが素敵だと感じました。誰もが挫折を味わったことがあると思いますが、横田選手を見て「自分も頑張ったら周りも支えてくれるんだな」と思えることが、この作品の魅力です。

■大学生へのメッセージ

松谷:大学生の方も大変なことがあると思います。ぜひこの作品で描かれる慎太郎さんの生き様を通して、“日々成長”すること、一歩一歩自分がやりたいことや目標を考えてもらいたいなと思います。夢や目標はなかなか見つからないかもしれませんが、「何がやりたいのか」を考えるだけでも成長していると思います。日々成長していなくても「毎日成長したい」と思うことで生活も変わると思いますし。この映画を通して、受け取ったものをぜひ実践してほしいです。

前田:大学生のとき、夢や目標がないことがコンプレックスでした。小さい頃、将来の夢を語ることが恥ずかしくて。空手をしていましたが、「空手選手にはどうせなれないだろう」と思っていました。大学3年生のときに役者を目指しはじめ、夢を持ったことで生活が変わりました。僕が当時この映画を見ていたら、影響されていたと思います。「自分の夢はなんだろう」と思っている人に、是非このメッセージを届けたいです。「これは難しいかな」と思ってもしっかり目標を持って頑張ってほしいです。

学生新聞オンライン2025年11月1日取材 東京薬科大学3年 庄司春菜

幻冬舎フィルム 第一回作品
『栄光のバックホーム』
11月28日(金)より、TOHOシネマズ日比谷 他 全国ロードショー
製作総指揮:見城 徹 依田 巽
原作:「奇跡のバックホーム」横田慎太郎(幻冬者文庫)
「栄光のバックホーム」中井由梨子(幻冬舎文庫)
脚本:中井由梨子
企画・監督・プロデュース:秋山 純

出演:松谷鷹也 鈴木京香
高橋克典 前田拳太郎 伊原六花・山崎紘菜 草川拓弥
主題歌:「栄光の架橋」ゆず(SENHA)
配給:ギャガ
制作:ジュン・秋山クリエイティブ
©2025「栄光のバックホーム」製作委員会

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