テリー伊藤 コラムVol.60 お宝1974年式VWワーゲンカブリオレ1303Sを購入
まさに奇跡の車。ワンオーナー、走行距離6,800km、世田谷二桁ナンバープレート。外装、内装、走りのコンデションも最高。運転席、助手席のシートだけはヘタリがあるので交換しようと考えている。VWビートル系は日本でも大人気なので古いパーツでも入手し易い。何と言っても嬉しいのは、前オーナーが私と同じ歳。しかも女性。1974年24歳の時にこの車を手にしたと聞く。大卒の初任給が7万円の時代、当時の経済環境を考えるとVWを販売していた正規代理店YANASEでのビートルカブリオレ車両価格は100万円位、だとすると現在の感覚では500万円位で販売されていたこの車を、24歳の女の子がマイカーとして所有するとはどれだけお嬢様なのか。更に凄いのは、当時の記録簿が全て綺麗に残っていること。整備は毎回販売店のYANASEで行われている。分厚い整備メモを見ていると何故か涙がでてくる。どれだけ育ちのいい車なのか。おそらく前オーナーは高齢にともない免許返上し売却することに。青春時代を過ごした車との別れの日「次に乗ってくれる方は大切にして欲しい。」と。そのお言葉しっかりと受け止めました。
興奮が収まった翌日、私、チョット悩んでいます。冷静に車を見ると、長年車庫に保管されていたので、ボディーやホイルにへこみや錆が出ていて車全体が色褪せている。お金を掛けてレストアすれば新車のようになるが、そんな厚化粧をしてしまえば別な車になってしまう。それでは前オーナーと街で出会った時に、以前自分が乗っていた車と分からないじゃないか。手も振ってくれない。失礼過ぎる。とは言っても錆は何とかしないと。その兼ね合いを思案中。恐らく今のイメージを壊さない手法で行く。実はこの期間が一番楽しい。
レストア完成後、最初にドライブに行く所はもう決まっている。車屋さんに紹介してもらった前オーナーが住むご自宅に挨拶に行きたい。「長年大切にしていたビートルカブリオレを譲っていただき感謝しています。」と伝えたい。私は半年も乗ると他の車に興味を示すダメ男だが、今回は違う、一生モノになる事間違いなし。この車を邪険に払ったら車の神様の罰が当たる。
横須賀に車、数十台置ける秘密基地を完成させて保管する事も出来るが、沢山乗ってあげたい。50年間ずっと車庫に居た箱入り娘。恐らく海も山も、高層ビルがそびえ立つ都会の変貌振りにもびっくりするだろう。車と話しかながらドライブを楽しみたい。タイムカプセルから飛び出してきたVWビートルカブリオレ。この車は映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のデロリアン号なのだ。

■インフォメーション
2025年7月からで新番組開始
「心配喫茶カノン」
FMヨコハマ
毎週日曜18:00~18:15

テリー伊藤(演出家)
1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。
2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。
テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。
その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。
著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。
演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。
YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ」
LALALA USAでコラム連載中
https://lalalausa.com/archives/category/column/terry
No comments yet.