テリー伊藤 コラムVol.63 日本に来る外国人観光客は増えたけど
来日する外国観光客の数は2024年は約3700万人で過去最高の記録となった。韓国人が最も多く約882万人。今年に入ってからもその勢いは止まらない。2025年1月の1か月間に380万人と去年の40%増となっている。この調子で行くと、日本政府の目標2030年6000万人も現実味を帯びて来た。皆さん円安の恩恵を満喫しているのでは。
日本を知って親しんで貰えるのは嬉しい事ではあるが、迎える我々側に問題もある。東京オリンピック誘致に必死だった数年前は、日本に来るお客さまを「“おもてなし”の文化で迎えよう」が流行語になった。日本人の総意でもあった。しかし最近は観光客の増加を良いことに、やたらと物の値段が高い。ホテル料金は2倍になっている。私の地元築地でも一口で食べられる和牛ステーキが3,000円~5,000円は当たり前、魚河岸名物「海鮮丼」5,000円と、銀座の高級寿司屋も真っ青な値段をつけている。さすがに高すぎる。同じ築地に店を持つ実家「丸武」の一口玉子焼きは150円と昔のままだ。老舗のお店は適正価格で頑張っている。こんな話は日本中の観光地ではよく聞くようになってしまった。荒れた商売をしていると、観光客の皆さんもいつかは気づくに決まっている。こんなことで日本に良い印象を持ってもらえるのか。心配なのだ。
心配ついでに・・・警察に届けられた全国の現金の落し物が増加しているそうだ。2023年約228億4500万円。都内だけでも2023年39億円、2024年44億9000万円と5億円以上も増加。警察に届けられていない現金を考えると凄い数字になる。その理由のひとつに外国人観光客の増加も関係している事が考えられる。キャッスレス社会になって来たものの、来日した際に多額の現金を両替し、お財布を持たずに札束をポケットやカバンに直接入れるケースも多く、ごった返したレジ辺りで落としたり、スマホをポケットから出した時に滑り落とすことも想像出来る。
もう一つの心配事は、繫華街で両手一杯の土産物を持って歩いている方を沢山見かけるが、そんな中で、疲れきった表情で道に直接座って休んでいる人を多く見かけることです。そうなんです、街中にひと休みするスペースが無さすぎる。ほっと出来ない。スターバックのようなお店はあるが混んでいて入れないのが現状。
よく日本は「綺麗な公衆トイレがたくさんあって素晴らしい」「おもちゃ箱みたいに楽しい」と言ってもらうが、それに甘えず、真の「おもてなし」とは何かを再び考える時が来ていると思う。元気で楽しく心地よく、また日本に戻って来てもらえる、そんな国にしていこう!

テリー伊藤(演出家)
1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。
2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。
テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。
その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。
著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。
演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。
YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ」
LALALA USAでコラム連載中
https://lalalausa.com/archives/category/column/terry


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