朝霞市長 松下昌代
「だれもが誇れる 暮らしつづけたいまち 朝霞」を目指して、対話で紡ぐまちづくり

朝霞市長 松下昌代 (まつしたまさよ)
■プロフィール
平成23年朝霞市議会議員選挙初当選。2期8年にわたって務める。その後、政治活動をしながら大学院を修了し、埼玉県議会議員を経て朝霞市長に就任。持続的発展を続ける朝霞市の未来に向け「つよく ゆたかな百年都市 朝霞をつくる」を掲げて市政に取り組む。好きなものは、日本酒、格闘技、落語。
都心へのアクセスが抜群に良く、利便性と豊かな自然が共存する埼玉県朝霞市。昨年就任した松下昌代市長は、市民との密接な「対話」を最優先に掲げ、DXを活用した行政改革や、子育て支援に日々邁進している。今回は松下市長に、ご自身の歩みや朝霞市の魅力と未来について伺った。
学生時代は外国語学部に在籍し、フランス語を専攻していました。当時は外国語への憧れもあって、将来はその言語を活かした仕事ができたらいいなと外資系企業等を志望していました。家庭教師やカフェ、イベント、本の校正など、色々なアルバイトも経験しましたし、勉強と遊びをバランスよく楽しむ、ごく普通の大学生でした。
自分の持っていた視点がガラリと変わったのは、結婚して子どもを出産してからです。それまでは自分の周りの家族のことばかり考えていましたが、出産後は「この子の未来はどうなるのだろう」「これからの社会はどうなっていくのか」と、次の世代の未来を真剣に考えるようになっていきました。将来への不安を消すための手段として、社会の仕組みをしっかりと勉強して理解を深めていくことをはじめましたが、当時は自分が政治の道へ進むとは思っていませんでした。
夫の故郷である朝霞市に初めて来た時、「とても穏やかで緑豊かな住宅都市」という印象を持ちました。交通の便が良く、公園も多くて素晴らしい環境ですが、何より心強かったのは「人」の温かさです。すでに義理の母は他界していたのですが、義理の母の知り合いの方々が「大丈夫?」と何かと気遣ってくだったおかげで、おおらかに子育てをすることができました。私にとって、子どもたちは活動の原動力であり、朝霞の温かい人々こそが活動の軸になっています。
■「聞く」を徹底する、対話とDXのまちづくり
市長に就任して以来、特に力を入れているのが昨年11月からスタートした「タウンミーティング」です。市民の皆さんの声に直接耳を傾け、対話を大切にする姿勢は絶対に崩したくないと考えています。できることは可能な限り実行する。もし現時点でできないことであっても、どこまでなら可能なのかを突き詰め、決して「聞きっぱなし」にせず、必ずフィードバックを行うことを徹底しています。私にとって市民の皆さんからいただく声は、とても大きなやりがいです。毎月発行している広報紙のコラムに対する反響をいただくと本当に嬉しく思います。また、最近ではDXの推進にも注力しています。例えば、生まれたばかりのお子さんは多くの予防接種が必要ですが、そのスケジュール管理が楽にできるよう、子育て支援アプリを導入しました。目指しているのは「来ない・待たない・書かない市役所」です。わざわざ市役所に足を運ばなくても手続きができ、来庁されたとしても待ち時間がなく、何度も書類を書く必要がない。そんなスマートな行政を追求しています。
そして朝霞市は、令和元年8月から居心地が良く歩きたくなるまちなかを目指す「ウォーカブル推進都市」になりました。街の中にベンチを設置する取り組みなどを進めているのは、少しでも「歩きたくなるまち」にしていきたいという思いからです。
■子育てに「居場所」を
朝霞市は子どもの数が多いからこそ、学童保育や保育園の待機児童問題、いわゆる「小1の壁」への対策が急務です。働いていない親御さんでも「預けたい」ときに預けられる、子どもたちの放課後の安全な「居場所」づくりを進めています。来年度からは放課後子ども教室の取り組みも拡大する予定です。
学校教育においては、子どもたちが自ら課題を見つけて解決していく「探究的な学び」に力を入れています。また、不登校対策も重要な課題です。校内にスペシャルサポートルームを設置して、教室に行きづらくなってしまっている子どもたちの居場所をつくりました。一括りの対策ではなく、それぞれの声を丁寧に聞き、一人ひとりが何を求めているのかを掴みながらフォローしていくことが大切だと感じています。
■「だれもが誇れる 暮らしつづけたいまち 朝霞」を、次の世代へ
今年度からは、朝霞市の最も根幹となる新たな「総合計画」がスタートします。掲げるテーマは「だれもが誇れる 暮らしつづけたいまち 朝霞」。子育て、教育、交通など、あらゆる側面から住みやすさをアップデートしていきます。
これからの街づくりにおいて避けて通れないのが、公共施設の老朽化問題や人口減少、そしてDXのさらなる活用です。人生100年時代、誰もが健やかに、そして学びたくなった時にいつでも学べる「生涯学習」の環境も整えていきたいです。生涯学習が進んでいる先進事例も参考にしながら、障がいのある方への対応も含め、長期的な視点を持って街づくりの根幹を見直していきます。これからもタウンミーティングをはじめとした市民の皆さんの声を聞くことを決して途絶えさせず、さらに深めていくつもりです。
■臆せず全力で今を生きる
私は学生時代、政治には全く関心がなく、ごく普通の生活を送ってきました。その後は専業主婦も経験し、今こうして市長を務めています。そんな私から皆さんに伝えたいのは、「今を全力で過ごしてほしい」ということです。
何かを始めるとき、躊躇せずに一歩を踏み出す勇気を持ってください。「失敗したらどうしよう」と考えすぎず、ちょっとやってみようかな、くらいの簡単な気持ちでいいんです。失うものが何もないなら、まずはやってみる。もし合わないと思ったら、その時にやめたり戻ったりすればいいだけです。実は私自身、50歳になってから大学院へ進学して再び学び始めました。思ったときにいつでも学べばいいのです。
一歩を踏み出してやってみた人にしか見られない景色が、そこには必ずあります。朝霞には本当に温かく、素晴らしい人たちがたくさんいます。皆さんも笑顔を忘れず、失敗を恐れずにたくさんのことに挑戦してください。
学生新聞オンライン2026年5月21日取材 青山学院大学2年 松山絢美

青山学院大学2年 松山絢美 / 情報経営イノベーション専門職大学2年 山田千遥


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