初代デジタル大臣 衆議院議員 平井卓也
WEB3.0時代における学校教育と経済圏構築!

初代デジタル大臣 衆議院議員 平井卓也(ひらい たくや)
■プロフィール
1958年香川県高松市生まれ。上智大学卒業後、株式会社電通勤務、西日本放送社長を経て、2000年第42回衆議院選挙で初当選。以来、連続8回当選。IT担当大臣、内閣府特命担当(科学技術・知的財産戦略・クールジャパン戦略・宇宙政策)大臣、デジタル改革担当大臣、初代デジタル大臣など歴任。現在、自民党デジタル社会推進本部長としてデジタル政策を推進している。
今や、一人1台はスマホやタブレット端末を持ち、インターネットを通じて瞬時に世界とつながる時代に我々は生きている。初代デジタル大臣として日本のデジタル政策を推進してきた平井卓也議員に、WEB3.0やメタバースで実現しうる新たな経済圏や、AIネイティブに必要とされる教育について伺った。
■WEB3・0時代の新たな経済圏構築と教育改革で日本のデジタル化を推進
WEB3・0時代の新たな経済圏構築と教育改革で日本のデジタル化を推進皆さんもご存知のとおり、日本のデジタル化が遅れていることは周知の事実です。日本のデジタル競争力は世界で29位ですが、日本の競争力そのものも34位でタイやマレーシアといったアジアの国々からも遅れを取っていることを認識しなければなりません。
私が2000年に政界に出た理由も、デジタル化が遅れている日本に危機意識を抱いたからです。日本人は、変化に対して消極的で失敗を極力避けようとしますが、海外では失敗の経験値が評価されます。私は「失敗を価値あるものとする社会に変えたい」と考え、政界に出たのです。そして、新しい国づくりを国家として進める司令塔として、初代デジタル大臣を任されました。
デジタル庁はビジョンとして「Government as astartup」を掲げています。新しくスタートアップとして日本を立て直していく。つまり、過去の経験上の政策では限界があるため、新しい道を切り開こうという想いでデジタル庁は設立されたのです。今や、インターネットは社会インフラの中で最も重要となっており、皆さんのスマホは世界につながっています。
今年一躍話題となったチャットGPTも、スマホを通じてアメリカのコンピューターリソースから答えを得ていますよね。常にインターネットは世界とつながっているのです。そのため、デジタル政策も日本に閉じたものではなく、世界に開かれたものとして進めています。
■WEB3・0で創る新しいデジタル経済圏
WEB3・0とは「価値をデジタル化してやり取りする、新しいデジタル経済圏を創ること」です。従来の経済は、実物を何かの媒介としてお金という価値に変えて流通させるものでした。しかし、インターネット社会において、この実物経済は限界に来ており、何らかの価値をデジタル化し、流通させる新しいデジタル経済圏が必要です。そこで大きな可能性を秘めているのが「メタバース」です。
今までは人間同士が直接会ってコミュニケーションしていましたが、メタバース空間ではより広く多くの人とコミュニケーションができます。メタバース空間上でテクノロジーをシームレスにつなげることにより、新たな価値を生み出すことができます。
たとえば、ANA(全日空)のメタバース空間。メタバース空間を活用することで、海外旅行に行かなくても世界中の人たちと交流や旅行ができる。非常に大きな新たな未知の可能性を秘めています。このように、メタバース空間をシームレスにつなぎ、新しいデジタル経済圏を創るWEB3・0が今後の主流となっていくでしょう。
■AIネイティブに必要な教育とは
WEB3・0時代に求められる力は、生成AIでプログラムを上手く早く作り、世の中に新しい価値を提供するスキルです。第4次安倍改造内閣時、2019年に人間中心のAI社会原則を閣議決定しました。そして、2020年から国家によるデジタル教育推進のために、約50万人の大学生と高専生に対して、数理・データサイエンス・AIを必修科目としました。チャットGPTに関しても、利用する大学生が多いことはAIに対して基本的な認識ができる世代が増えてきたことの表れです。いわば、デジタルネイティブからAIネイティブの時代になってきたと言えます。
AIを上手く扱うには、プログラムとは何かをまず理解することが重要です。学校教育現場では、AIを使うか使わないかの議論が起こるでしょう。ただ、今の生成AIは、いわば平気で嘘を言う物知りです。大事なのは、「AIは新たな価値を生み出すための一つの道具」だと認識することです。新しいテクノロジーには善も悪も意思もありません。道具は使う側の倫理観が必要であり、使い方次第です。
これは、包丁や自動車と同じです。包丁は極めて危険ですが、正しく使えば美味しい料理を作る道具になりますよね。自動車も事故を起こす可能性がありますが、馬車よりも明らかに生産性や利便性が高い。使う代わりに、運転免許証や保険が作られたことで世の中に普及しました。つまり、新しいテクノロジーを社会実装するために、AIを積極的に活用し、なおかつコントロールできる人に育てる、プログラミング教育が必要なのです。
■小学生へのメッセージ
日本の未来は明るいと信じています。これまでの歴史を振り返ってみても、日本人は困ったときは、とことん本気になります。きっちりやる真面目さとクリエイティブ性は国民の強みです。
AIネイティブの皆さんに大事にしてほしいのは、「“なにかやってみたい”という冒険心」です。これからの時代に求められるのは、知識だけを詰め込み平均点を取れる力ではなく、新しいことを思いつく創造性や独自性、個性をとことん発揮する多様性が求められます。数理データサイエンスやプログラムを学ぶことで、自ら主体的に新しい発想でゲームや社会貢献ができるプログラムを作成できます。皆さんの本気モードの実行力とクリエイティブ性が日本を救うのです。
小学生新聞2023年9月号 専修大学4年 竹村結
情報に流されずに自分で考えてみること。とんがった若者に期待したい!
■初代デジタル大臣としての取り組みを教えてください
2000年に政治の世界に足を踏み入れましたが、当時から日本はデジタル化が遅れていると感じていました。デジタル化を目的とせず、手段として使いこなさなければなりません。デジタルは目に見えないので先延ばしにされがちです。しかし、改革を怠ってはプラスの変化も見込めません。私たちデジタル庁では、ビジョンとして「Government as a startup」を掲げ、国民一人ひとりに寄り添いながら改革を進めています。
今やインターネットはインフラとしても欠かせないものです。しかし、掌の中にあるスマートフォンが世界につながっていることは忘れがちです。チャットGPTは、アメリカのリリースですし、もはや日本国内だけで完結するなどと考えるべきではありません。そのため、Web3ホワイトペーパーなどを作成する際に英語でも発信するなどグローバル視点が基本です。
■ICT教育の現状について教えてください
ICT教育にも力を入れています。2019年第4次安倍内閣にて、2020年から大学生と高専生には数理データサイエンスを必修にすると閣議決定をしました。これからは、デジタルネイティブから、AIネイティブの時代になります。チャットGPTは、文章の添削や校正、分析や予測ができますが、プログラムとは何かを知らない、基礎知識がない人が使うと間違ってしまいます。
一つの道具であると認識した上で、使いこなす知識を身に付ける必要があります。学校教育現場ならば、AIの善悪だけではなく、どう使うかというところを考えてもらいたいです。たとえば、包丁や自動車はコントロールできれば便利ですよね。それと同じく新しいテクノロジー自体には善悪はないのです。使い手の倫理観が問われる時代だからこそ、社会実装してもテクノロジーに使われてしまわない人材を教育することが求められます。
■学生へのメッセージを
情報に影響されやすい時代なので、まずは自分で考える時間を持ってください。また、平均点を取るよりも、とんがった若者に期待しています。
冒険心を持ちながら、個性を活かしてほしいです。日本人は本気になったら成果を挙げられます。クリエイティブと本気モードの実行力が日本を救うことになるはずです。日本の明るい未来のために、一緒に本気になりましょう。
学生新聞2023年10月号 駒澤大学4年 三上山明里



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