株式会社日本M&Aセンターホールディングス 代表取締役社長 三宅卓
会社をつなぎ、人生をつなぎ、未来をつなぐM&A

株式会社日本M&Aセンターホールディングス 代表取締役社長 三宅卓(みやけすぐる)
■プロフィール
1952年神戸市生まれ。大阪工業大学卒。日本オリベッティを経て、1991年日本M&Aセンターの設立に参画。中小企業M&Aのパイオニアとして同社を牽引。数百件のM&A成約に携わった経験からノウハウを確立し、効率化を実現。東証上場時には営業本部を率いて業績拡大に貢献した。中堅・中小企業M&A実務の草分け的存在であり、豊富な経験に基づくセミナーは毎回好評を博している。
M&Aを通じて企業の「存続と発展」に貢献し、日本経済の活性化に取り組む日本M&Aセンターホールディングス。後継者不在や人口減少、円安、AI台頭により激変する時代の中で、同社が果たすべき真の使命とは何か。三宅卓社長に、同社の取り組みと圧倒的な実績を誇る背景、次世代のビジネスパーソンに求められる人物像を伺った。
私は新卒でコンピュータ会社に就職し、大型コンピュータ、小型コンピュータ、PCへと移り変わる激動期を“営業マン”として駆け抜けてきました。ITの世界で最前線を走り続けながらも、さらに新しい領域で挑戦したいと考えていた時に出会ったのがM&Aです。日本M&Aセンターの立ち上げの話を聞いた時、「これは面白そうだ」と直感し、即決でこの世界に入ることを決めました。
■今、M&Aが必要とされている理由
会社を売り買いするM&Aには、主に2つのパターンがあります。1つは後継者不在企業の「事業承継」です。現在、日本の中小企業約302万社のうち、約100万社が経営者年齢70歳以上の企業という状況にあります(※1)。後継者がいないために黒字であるにもかかわらず休廃業せざるを得ない企業が増加しており、昨年の休廃業件数は約7万件、倒産件数は1万件超でした(※2)。これまで日本で培われてきた素晴らしい文化や技術、そして従業員の雇用を次の世代へ引き継ぐために、後継者不在企業が中堅企業や大企業の仲間入りをして未来へ事業をつないでいく手段としてのM&Aが、1つ目のパターンです。
もう1つは、主に若手経営者に向けた「企業の成長支援」としてのM&Aです。今、日本では「後継者不在と廃業の激増」「生産年齢人口の減少による人材不足」「円安や物価高による利益の激減」「AIへの対応の遅れ」といった4つのパラダイムシフトの課題に直面しています。これからの時代、中小企業が独力だけで持続的成長を維持していくことは極めて困難です。そうした企業が他社と手を取り合い、お互いの強みを活かして生き残り成長していく手段として、M&Aが必要とされているのです。
■量・質ともに世界No.1を目指して
弊社は会計事務所の先生方の出資により作られた会社です。設立以来、全国の会計事務所や金融機関との間に強固なネットワークを築いてきました。全国の中小企業の多くは、この2つの機関の支援を受けています。私たちは全国1,118の会計事務所と300を超える金融機関と協力しながら、豊富なデータベースを礎に中堅・中小企業のマッチングを支援しています。
またそれだけではなく、M&A後のPMI(経営統合)も重視しています。中堅・中小企業M&Aで大切なのは、「お互いの相性」と「譲渡後の両社の幸せ」です。そのため私たちは、M&A後のPMIプロセスを徹底して支援しています。M&A成約後に大々的な成約式(調印式)を執り行ったり、経営者の自叙伝を作成したりするのもその一環です。特にM&A成約式は、売り手企業経営者のこれまでの歩みを称え、同時に買い手企業経営者が今後の成長に向けた決意を新たにする場でもあります。また会社を売却した経営者は、自叙伝によって子・孫の世代まで功績が語り継がれ、幸せが世代を超えて享受されます。もちろんこのような形式的なものだけに留まりません。
M&Aによって働く従業員やその家族が路頭に迷うことが決してないよう、雇用体系の維持や文化の融合までを支援し、徹底的にサポートします。この「譲渡企業への深いリスペクトと温かいサポート」といった質の面においても、私たちは最高品質を提供します。これらの取り組みを通じて、量だけでなく質においても世界No.1の企業でありたいと思っています。
■M&Aビジネスパーソンに求められる「ウォームハート」と「クールヘッド」
M&Aという大きな仕事を成し遂げるために、最も必要なスキルは「EQ(共感力)」です。弊社を志望してくれる学生の皆さんは元々とても優秀ですので、IQ(知能指数)に関してはあまり問題視しません。一方で、20代や30代の若手社員が、60代・70代の経営者が人生をかけて築いてこられた「想い」や「歴史」に寄り添うためには、高い共感力が不可欠です。
この共感力の土台となるのが感性です。しかし、感性は20代から30代にかけて急激に低下していくと言われています。だからこそ学生のうちに、具体的なイメージや答えが提示されていない小説を読んだり、絵画や音楽といった芸術に触れたりして、「目に見えない背景や他者の感情」を想像する訓練をしておいて欲しいと思っています。そうして培った感性こそが、他者の心に寄り添う共感力へとつながっていきます。
私たちは求める人材を「ウォームハートとクールヘッドを持っている方」と表現しています。温かく寄り添い共感できる心と、冷静で論理的な頭脳を持つ人材です。ただのビジネスとして会社同士を統合させるのではなく、「この会社にとって本当に幸せな未来とは何か」を本気になって責任を持って考え抜く、高い使命感が欠かせません。時には、お客様の未来のために「今回はM&Aをしない(破談にする)」という選択肢も提案する。その誠実さこそが、一流のビジネスパーソンには必要なのです。
■学生へのメッセージ
就職活動は、皆さんが初めて「自分の責任で将来を選択する」という、人生における大変重要な場面です。最初に入った会社のDNAは、その後の皆さんのビジネスパーソンとしての生き方に色濃く残り続けます。だからこそ、周りの意見に左右されず、自分の価値観に照らし合わせて真剣に会社を選ぶと良いと思います。
また、これからの激動の時代を生き抜くためには、一つのことをより深く追求していける「凝り性」であることが強みになります。勉強でも趣味でも構いません。学生のうちにしかできないことを、とことん深掘りする経験を積んでください。皆さんの熱い挑戦を、心から応援しています。
※1:中小企業庁「中小企業実態基本調査 令和5年確報(令和4年度決算実績)」
※2:帝国データバンク「全国企業『休廃業・解散』動向調査(2025年)」、「倒産集計 2025年報(1~12月)」
学生新聞オンライン2026年8月21日取材 早稲田大学3年 中澤京平

早稲田大学3年 中澤京平/成城大学2年 小澤実桜/慶應義塾大学1年 春木呼葉玖/国際基督教大学4年 若生真衣


No comments yet.