参議院議員 藤木眞也

日本農業を守り、日本国土を守る

参議院議員 藤木眞也(ふじきしんや)

■プロフィール
【経歴】
昭和42年2月生まれ(59歳)
熊本県上益城郡嘉島町出身
熊本県立熊本農業高校畜産科を卒業
昭和61年 就農(当時19歳)
平成17年 全国農協青年組織協議会(JA全青協)会長
平成26年 上益城農業協同組合(JAかみましき)代表理事組合長
平成28年 参議院議員選挙で初当選
令和4年 参議院議員選挙2期目当選
【現在の役職】 農林水産副大臣

長年の農業従事者としての経験を経て、平成28年より参議院議員として食料安全保障確保を掲げている藤木眞也氏。今後、日本国民の多くが農業について正しい理解や日本の農業を守っていくために行うべき政策について、伺った。

私の家は家業で農業と畜産をしていて、小学2年生の頃から自分は農業経営をするというビジョンを持っていました。のちに農業高校へ進学しますが、学校で学んだことの大半は、小さいときから身近な内容でした。それくらい小さい頃から農業とは深い関わりを持っていました。

■周りの熱意に押されて入った、政治家の世界

私は熊本農業高校を卒業して、昭和61年に就農しました。その後、平成17年に全国農協青年組織協議会(JA前青協)会長、平成26年にはJAかみましき代表理事組合長の役職に就き、農業に従事するだけでなく農家を支える仕事も長年続けてきました。その頃は政治家になることに全く関心がなかったのですが、ある時、JAかみましきの組合長として熊本県農業者政治連盟の会議に出席する機会がありました。そこでは、国会議員の公募が行われていたのですが、「私を推薦したい」という声が挙がりました。私は猛反対していましたが、当時の熊本にあった全ての農業協同組合の組合長に懇願され、半ば熱意に押される形で議員に立候補することとなりました。とはいえ、小さい頃から父親の影響で国会議員と関わる機会があった上に、全青協時代にも国会議員に対して要請活動をしていたこともあり、国会議員になってからも、臆することなく仕事ができています。

■再生産可能な価格を目指す

農業を長年経験している私から見て、国民の皆様にもっと日本農業のことを理解してもらえるとありがたいなと感じます。その例として、米の販売価格があげられます。昨年、米の価格高騰が世間を騒がせました。一方で、「茶碗一杯のご飯にいくらまでならお金をかけられるか」というアンケート調査では、実際に茶碗一杯にかかる値段が高くなってからの値段でも約77円であるのに対し、多くの方々は100円と答えたのです。近年、農業機械の価格が上がり、農業生産にかかるコストも上がっているのに、農家の収入に価格転嫁されていない状況を、私は問題視しています。もし米を含め農産物が適正な価格で取引されていれば、農家は政府に補助金を申請することなく、自立して農業を行うことができます。だからこそ、私たちは食料システム法などの制度を通じて、農家が生産コストを考慮に入れた適正な価格で、より安定して農業を行うことができる政策を進めています。

■中小家族農業経営にもスポットを

農業政策を推進する中で、「日本の農業は規模をより大きくして、競争力を高めていくべき」だと言う意見もいただきますが、それだけでうまくいく程、日本農業は単純な構造ではありません。仮に日本で300haを超える規模の農業を行ったとしても、日本の高湿な環境から、収穫後には乾燥作業が待ち受けています。アメリカなど、乾燥した気候で、かつ日本と比較できない程、広大な農地を持っている国々と競争するということ自体が現実的ではないと思っています。
一方で日本の農業の特徴は、農業に適した平坦地から、農業の条件が悪くなる山間地域まで、様々な環境のもと農業が行われていることです。また農業には、水田に雨水を貯水する機能があり、この機能によって日本の土壌は集中豪雨などの自然災害にも耐えてきました。しかしながら近年、比較的規模の小さい農地では耕作者がいなくなることで荒廃し、その結果、貯水できなくなるケースが増加しました。これが影響して、しっかりとした田んぼまで洪水被害を受けてしまうことも見受けられています。このことから、日本の農業は単に規模を広げていくのではなく、規模の小さい農家も守り、日本の国土を安全に保ち続けることが必要なのだと考えます。

■農業を守るためにも、新しい形の農業を求める

農業をめぐる問題の中でも、深刻なのが「新規で就農する人が少ない」という問題です。そして、その理由は「農業では十分に稼げない」ことです。実際に現時点で、4人家族経営の農家における平均所得はおよそ600万円弱であり、農業だけで生計を立てていくには少々厳しく、これでは後継者もなかなか現れません。私は、この金額が1000万円を超えることで、農家は自立した生活を送ることができ、後継者は現れると考えます。
そのためには、従来の理想的な農業の姿を追い求めすぎてはいけません。というのも、伝統的な日本の農家には、一度育ててきた作物の品種を変えることなく生産し続けるという特徴があり、新しく他の作物を育て始めることに前向きではないのが現状です。しかし、主食で例えるならば、今や米に匹敵するほど多くの小麦が消費されていて、この小麦消費量のうち83%は輸入に頼っていることも事実です。実は日本でも、群馬県や栃木県などの一部地域で、米と小麦を同じ農地で生産する「二毛作」が可能です。その上、国としては水田活用交付金という、米以外の作物を生産する際に補助金がもらえる制度があるにも関わらず、ほとんどの農家がこれを行わないことも課題として捉えています。そのため、今後は農家の収入を増加させ、農業従事者を確保するために、このような政策に農家を誘導していくことが求められています。

■学生へのメッセージ

少子高齢化で、日本の人口、ないし産業は、少なくとも大きく発展を遂げることが困難になるでしょう。しかし、せめて横ばいにはすべきだと考えています。そのためには国民一人ひとりが、多様な職業分野について少しだけでも知っていただく必要があります。皆さんが聞いたことの無いような多くの職業によって日本は支えられています。だからこそ、皆様が多様な職業を知っていただくことが、日本を守っていくことにつながると思います。

学生新聞オンライン2026年9月10日取材 早稲田大学3年 中澤京平

法政大学3年 佐藤海都/青山学院大学2年 松山絢美/早稲田大学3年 中澤京平/東京薬科大学4年 庄司春菜/津田塾大学4年 山下さくら/日本女子大学1年 大池絵万里

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