芸人・童話作家、脚本家、映画製作総指揮、プロデューサー 西野亮廣 / 『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』
コントロールできない未来を「待つ」という勇気。

芸人・童話作家、脚本家、映画製作総指揮、プロデューサー 西野亮廣(にしの あきひろ)
■プロフィール
『映画 えんとつ町のプペル』(2020)では原作・脚本・製作総指揮を務め、196万人を動員する大ヒットを記録。日本アカデミー賞をはじめ、多数の映画賞を受賞。ブロードウェイでは、『Cats: The Jellicle Ball』にも共同プロデューサーとして参画し、第79回トニー賞3部門を受賞。2026年3月に最新作『映画 えんとつ町のプペル ~約束の時計台~』が日本全国で公開された。
2026年春に公開された『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』。 脚本・製作総指揮を務める西野亮廣さんが、この物語に託した真摯な想いと、「20代前半で勝負は決まる!」という、これからを生きる若者への本気のメッセージをお聞きしました。
■“感情の針が振れた”原体験から描く、信じて待つ強さ
実は、続編の制作当初、僕の中に「どうすればヒットするか」というマーケティング視点が先に立ってしまっていました。物語の本質よりも「どうすれば当たるか」を優先して脚本を書いてしまったため、そうして出来上がったものは、僕自身にとっても全く面白くないものでした。迷った結果、10ヶ月かけて書き上げた脚本を、白紙に戻すという大きな決断を下しました。
そこから改めて、「なぜ前作がヒットしたのか」という原点に立ち返りました。前作は、僕自身のバッシングの経験を形にした、個人的な物語でした。だからこそ、続編ももう一度、自分自身の人生の中で最も「感情の針が振れた」経験を基に物語を作ることを決意しました。
その経験は、僕がキングコングとしてキャリアをスタートさせ、人気絶頂だった21、2歳の頃に起きた、相方(梶原雄太)の失踪事件です。心身症になり、姿を消した彼。全てのレギュラー番組が一日で無くなり、僕は部屋で一人、ポツンと座っていました。吉本興業から「一人でいくか」という選択を迫られた際、僕は「待つ」という道を選びました。いつ戻るか分からない、コントロールできない未来を信じて待つ。それは、僕の人生の中で最も勇気が必要な「挑戦」でした。今回の映画は、僕自身のこの経験に基づき、「待つ」という行為に込めた、信じ抜く強さと勇気を描いた物語です。
■「小学校2年生の自分」に届ける、パッピーエンドの冒険ファンタジー
僕が作品作りをする上で、チーム全体と共有している重要なルールがあります。それは、時代に流されない、普遍的な魅力を追求することです。今の時代、「どうすれば見られるか」を考えると、どうしても刺激的な内容になりがちですが、僕たちはそれを絶対にやらないと決めました。僕たちが目指したのは、誰もが安心して楽しめる、ハッピーエンドの冒険ファンタジーです。その背景には、僕が子供の頃に見たかったもの、心からワクワクしたものを形にしたいという、純粋な想いがあります。そして、その想いを伝えるための具体的なペルソナとして、僕は「小学校2年生の西野亮廣君」を設定しています。
田舎の兵庫県川西市に住んでいた、小学校2年生の自分に届けることだけを考える。あの子が何が好きで、どんな未来を期待していたかは、僕が一番よく知っています。時代が何を求めているかではなく、彼に届けることだけを考える。このブレない姿勢が、プペルらしさ、ひいては僕の作品の大きな魅力となっているのです。これは若者たちへの「寄り道をしてほしい」というメッセージにもつながります。効率性やコスパだけを追求するのではなく、勇気を持って未知の世界へ踏み出し、多くの「寄り道」をしてほしい。僕だって、最初からやりたいことがあったわけではありません。まずは走り出してみて、そこで探るしかない。計画を立ててから動き出すのではなく、まずはガチャを回し続けること。それが、将来のやりたいこと、夢につながるのだと、僕は伝えたいです。


■家にはまっすぐ帰らない。友達と「おもろいこと」を追求し続けた青春時代
「学生時代に力を入れていたことは?」と聞かれたら、僕は「部活と、友達と毎日絶対に面白いことをすること」と答えています。高校時代は、友達とずっと一緒にいるのが重要だったので、未経験でしたが廃部寸前のハンドボール部へみんなで入部しました。三年生がいなかったので一年生から試合に出られたし、当時は人気のないスポーツだったので、少し運動ができれば勝ててしまう。それがただひたすら楽しかったですね。でも、一番の思い出は部活の後です。家にはまっすぐ帰らず、夜な夜な友達と集まって「今日何する?」と遊んでいました。高校三年間、毎年12月になると、男三十〜四十人で夜の学校に忍び込み、裏山から木を切り出して運動場のど真ん中に巨大なクリスマスツリーを建てる、という完全犯罪を計画・実行していました。
そして進路に関しては、迷いはありませんでした。小学校二年生の時、近所のスーパーに来たプロレスの巡業を見て、ブルーシートの向こう側から聞こえる、とてつもない歓声とエネルギーに圧倒され、「僕もあっち側(エンターテインメントの世界)に行きた_い」と心に決めていたからです。だからこそ、今でも日常生活で大切にしているのは「小学校二年生の僕が悲しむようなことは絶対にやらない」ということ。どれだけ利益が出ようが、あの子がワクワクしないものは作らない。ペルソナが明確だから、僕は迷わずに挑戦を続けられるのだと思います。
■大学生へのメッセージ
「20代前半で人生の勝負は決まる」と思った方がいいです。人生の努力の総量が100なら、20代で80はぶち込まないと負けてしまいます。最初の打席で勝てないと、その後も勝てない人と組むことになり、負けが込んでいく。これが世の中の理です。だからこそ、皆さんがやるべきは、圧倒的な「量」です。ペース配分など考えず、勉強も情報収集も、とにかく量をこなす。そして、お金の勉強として、一度自分で商売をしてみてください。メルカリでも何でもいい。商売を経験すれば、「他者目線」が身につきます。「自分目線」から早く脱却し、他者目線を手に入れて社会に出る。25歳までに勝負を決めるつもりで、今すぐ動いてください。
学生新聞オンライン2026年7月10日取材 慶應義塾大学1年 古賀夏音
■『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』上映会
あなたの街にも、『えんとつ町のプペル』を。
全国のイベント会場にて、『映画 えんとつ町のプペル』『映画 えんとつ町のプペル 〜約束の時計台〜』の上映イベントが実施されます!

◾️川西市キセラホール
日時:8月8日(土) ①13:00〜 ②17:30〜
8月9日(日) ①12:00〜 ②16:30〜
https://chimney-ticket.jp/event/group/3b0d21df-b159-4149-9531-cb9698f8db28/8d87d8ec-15ff-43ad-badb-7b8a2e7bcd09
◾️柏市 さわやかちば県民プラザ
日時:8月11日(火・祝)①13:00〜 ②15:30〜
https://chimney-ticket.jp/event/ticket/3b0d21df-b159-4149-9531-cb9698f8db28/1014984d-fe40-48ac-ba91-78493dd1e0b7

法政大学2年 渡辺碧羽/東京都立大学4年 坂倉彩月/情報経営イノベーション専門職大学2年 山田千遥/城西国際大学3年 渡部優理絵/慶應義塾大学1年 古賀夏音


この記事へのコメントはありません。