株式会社出前館 代表取締役社長 CEO 藤井英雄

フードデリバリーサービスで圧倒的なNO.1に!

株式会社出前館 代表取締役社長 CEO 藤井英雄(ふじい ひでお)

■プロフィール

2006年、楽天株式会社に入社。札幌支社の立ち上げに従事した後、事業戦略や海外戦略を担当。2015年、楽天子会社の楽天マート株式会社取締役副社長に就任。事業計画の再設計や物流/MDの改革に取り組み、売上を成長軌道に乗せる。2016年、LINE株式会社にコマース事業責任者として入社。2017年、同社執行役員に就任し、コマース事業、O2O事業の責任者として組織の立ち上げに従事。2020年6月、株式会社出前館の代表取締役社長に就任。

コロナ禍での巣ごもり需要もあって、フードデリバリーサービスが大きく伸びている。その中でも出前館は日本最大級の出前サイトだ。全国80000店舗以上の中から簡単に検索・注文・配達が可能だ。藤井社長は「日本で成功するためには、いかにローカライズさせるかだ」と語る。これまで歩んで来られた道のりを伺った。

 親が縫製工場の会社を経営しており、「社長は大変だから公務員になれ」と言われていました。学生の頃は子どもが好きだったため、教員免許をとって先生になることを目標にしていました。社会について学び始めたのは大学でのアルバイトでした。レンタルビデオ屋と家庭教師のアルバイトを通じて、チームでお金を稼ぐことや社会について勉強しました。そのときに働くことの楽しさや、働いたことによって対価がもらえる“社会 の仕組み”のようなものに気づきました。
 大学卒業後は給料が安定している公務員ではなく、小売業に就きました。

■IT業界への転職とヘッドハンティング

 小売業はとても楽しく、上司にも気に入られ、人気だった企画部に配属されました。 しかし、もっと自分の力で稼ぎたいと思ったため、プログラマーに転職しました。エンジニアは需要が多く、給料も高かったために個人事業主として仕事をするようになりました。そんな中、父が急死してしまいます。社長不在となった親の会社を潰すわけもいかず、2年半経営に携わりました。
 その後、会社が軌道に乗ったタイミングで、ITを学ぶため楽天に転職しました。楽天では新規事業や食品の責任者、ネットスーパー事業などを任されました。楽天マートの取締役副社長として経営に参画できたため、たくさんの経験を積むことができました。その後、ネットスーパーが軌道に乗ったときにLINEからヘッドハンティングを受 け、39歳のときにLINEに入社しました。
 LINEでは新規事業の立ち上げを任され、3年の間に5つの事業を立ち上げました。その中の一つに、後に出前館と統合するLINEデリマというサービスがありました。当時、中国ではフードデリバ リーが流行っていたため、日本でも流行がくると予想されていました。そこでLINEグループでは出前館がその役目を担うことになり、LINEでコマース事業の責任者をしていた私が社長に就任しました。
 以前は、45歳で仕事を辞めることを目標にしていたのですが、上場会社の社長の経験ができる機会などなかなかないと思い、43歳のときですが決断をしました。

■日本のフードデリバリーサービスでNO1に

 私たちフードデリバリーサービス事業では、競合他社はほぼ全て海外の会社です。海外の大きな企業に勝つためには、ローカライズがキーになっていきます。日本人は「食」に対しての感度が非常に高いため、海外のビジネスモデルをそのまま持ってくるより、日本の企業である私たちがサービスを展開する方がローカライズできます。これまで配達は全員自社のアルバイトスタッフでしたが、昨年からは本格的に個人事業主の配達員を受け入れ、面接や配達に関する交通ルールなどのテストを通してしっかりとした教育を行い、質の担保と向上を目指し、他社との差別化を図っていく予定です。
 人材については、意思を持っている人がいいですね。「将来は安定したい」とか、あるいは「主婦になって幸せになりたい」などでも構いまん。 明確な意思があれば、会社は成長のための手助けができると思います。また、向上心がある学生を採用したいですね。
「業界トップのセールスマンになりたい」などと言えるような、有言実行の人がいいです。
 私たちが相手にする競合他社は、私たちの年商の何十倍もの売上を上げる世界的な企業です。そんなダイナミックな環境に意思を持って参加し、 楽しみながら成長できる人と一緒に働きたいです。
 会社の目標としては、まずは日本で圧倒的なNO1になることです。今は他のデリバリーの会社とも一緒になって業界全体で課題を考え、教育や採用など業界としての統一化を図っています。デリバリーという業界が広がれば、必然的に私たちの会社も発展していきます。展望としては、デリバリーを日常化することを目標にしています。日本人が朝食、昼食、夕食、夜食を選ぶときに、デリバリーというものが自然と選択肢に入ってくる状態になると嬉しいで すね。日常化すれば、アジアや欧米で活躍している会社と同じ規模の会社まで発展することができると思います。

■message

 仮説でもいいので自分の将来像を考えるといいと思います。自分の将来像にたどり着くために、時間軸を考えた設計図を早めに準備してください。目標は逆算しないとなかなか達成できないと思います。
 「〇歳までに何をするか」だったり、「ということは〇歳までに何をしなくてはいけない」というように、将来像から逆算して時間と目標を明確化してみてください。あとから目標や時間軸は修正できます。 目標と意志を明確にして、今から何をやるべきかを考え、その目標を周りの人に公言してください。公言すると周りが応援してくれます。

学生新聞2021年10月号 日本大学3年 大橋星南

明治大学3年 酒井躍/早稲田大学3年 Nang Honey Aung /日本大学3年 大橋星南

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