新潟ベンチャー協会(NVA)ピッチ本選

新潟ベンチャー協会(略称:NVA(Niigata Venture Association))では、起業家や社会人、学生等を対象に、ビジネスプランを募集し、2021年6月25日にNVAピッチオンライン予選を開催しました。
NVAピッチオンライン予選通過者等が登壇した「NVAピッチ」本選が2021年12月8日に開催されました。

※新潟ベンチャー協会とは・・・
次世代の高成長なベンチャーや第二創業者の輩出を目的に、新潟県に縁のある若手経営者等が集まり、経営者間の人的交流及び連携の模索、ベンチャーやスタートアップの支援等に関わることを企画するために設立された団体。

≪第二回NVAピッチコンテスト出場者発表概要 4名≫

■株式会社DMM Agri Innovation 佐藤和輝(会社員・起業準備者)
「チート農業」 
窒素固定細菌という微生物を利用した特別な栽培で肥料を使うことなく、農産物の生産量をあげ、食料不足・耕作放棄地・有機農業普及の遅れといった社会問題解決を目指す。窒素は植物の体を作る材料であり、吸収には肥料なしで数年、ありで数週間かかる。しかし、微生物付きの植物であれば、空気から窒素を栄養として吸収することが出来、期間は1~7日と非常に短期間である。この作用を利用することで窒素肥料の依存から脱却し、環境面・経済面・生産面において農業現場の改善が期待できると語る。

■通院サービス株式会社 代表取締役 白井紀夫
「ドアtoドアの通院サービスを3ヶ月で導入できる目的地公募型相乗りタクシー」
高齢化社会が進むことで、通院のためにタクシーに乗りたい高齢者は増えていくが、運転できる年齢層が減ることで運転手不足になる問題を解決するビジネス。利用者が通院先を指定し、相乗り客を募集する。集まった希望者でグルーピングし、通院日程を調整してから定期的にタクシーを手配して、相乗りで通院する。メリットとしては、募集から三ヶ月までで導入が可能という速さと、ニーズに基づいて利用者がグループを作っていくことで、相乗りグループが自己増殖すること。今後は通院目的の高齢者だけでなく、ターゲットを広げていくことが目標。

■HUB SAUNA株式会社 代表取締役社長 冨田翼空
「HUB SAUNA」
テントサウナを通じて、ありのままを大切にする世界を創る。そのビジョンを掲げている。このビジョンは自分本来の心をテントサウナで取り戻したという冨田さんの大切な経験をもとにしている。現在サウナストーブはサウナストーンの重さに耐えられず変形してしまう場合や灰の受け皿が変形し取り出しができないなど安全性も低く、死亡事故が起きてしまう可能性さえある。そうした背景から安全なテントサウナを実現させるため国内メーカーのものであり、素材と中の構造を改善することでプロダクトの耐久性を従来の4倍に引き上げると共に、携行性を向上させる。そうした商品を開発し、主に初期はレンタルを軸として販売開始3~5年で4億円の売り上げを見込む。

■株式会社Riparia 代表取締役CEO 室田雅貴
「ともるい 新潟県の企業と都会で働く人とのマッチングサービス」
都市の副業ワーカーと新潟県の企業を「ともるい」のサービスでマッチングする。都市副業ワーカーの地方に関わりたいというニーズを満たし、新潟県は企業のピンポイントで実働部隊を獲得することができる。また、地方で暮らす若者に魅力的な県内企業との出会いを与え、キャリアの選択肢を広げる。そして、副業人材を抱えている「ともるい」によって採用ブランディング事業の採用強化、PRパートナー事業の売上増加と雇用の拡大を手助けする。

今回の第二回NVAピッチ本選では、コンテスト以外にも第1回のグランプリ・準グランプリのお二方による事業の現状や今後についての成果発表や審査員の推薦者による事業報告が特別講演として行われた。

≪特別講演 3名≫

■前回グランプリ SIIG株式会社 CEO 谷川奨
「Fish Ranker」
 ゲーミフィケーション×釣果アプリ『Fish Ranker』は釣果情報をゲーム感覚で楽しく投稿し、他の釣り人が集めたデータを集めたデータを分析、提供。Fish Rankerでは、メダルやランキング、クエストといったゲーム要素を取り入れている。加えて、従来の魚種や大きさといった釣果記録は平均24秒かかり継続の障害となっていたがAIによる画像認識で記録までの時間を3秒まで短縮。ゲーム要素とAI技術を掛け合わせ世界初のユーザー体験を提供している。今後、ARグラスへの応用やアプリを利用した大会などを主催し、釣りを通じた自然の中での体験の魅力が次のプレイヤーに伝わるサービスへ。

■前回準グランプリ 株式会社プロッセル CEO 横山和輝
「Prossell」
オンラインでのビジネスコンテストを通じて企業が学生を知ることができ、採用のオファーができるサービス。学生と企業それぞれに注目度の格差があることが課題だったが、このサービスによって企業名や学校名でなく、本質から採用に繫げることができる。1日のビジネスコンテストを企業がテーマを決めて簡単に開催し、toB企業の母集団形成が利用可能。学生向けオンラインビジネスコンテスト日本最大級であり、学校との単位認定などで集客活動の構築を進めている。

■株式会社サケアイ 代表取締役社長 新山大地
「Sakeai」
新たなお酒に出会える日本酒記録購入サービス。日本酒において最も情報量の多いデータベースを保有。競合と比較しても圧倒的詳細なデータ。また、ユーザー投稿によってデータベースは自動で拡大する。20〜30代男性は比較的高級志向でたくさんの銘柄から選べないことが課題であったが、AIによるレコメンドシステムとタイムライン上の質が高い口コミから気になる日本酒をみてけることができる。今後は日本酒以外のお酒にも取り扱いを拡大予定。

ピッチコンテスト終了後、今回登壇された方や審査員の方にピッチコンテストの感想や事業の展望、大切にされている想い等ざっくばらんに伺った。

≪コンテスト後インタビュー≫

■株式会社Riparia 代表取締役CEO 室田雅貴
まず、今回のピッチで優勝することができて本当に嬉しいです。優勝を経験すると「やっと認めてもらえたんだ!」という達成感がありますね。ビジネスを進めていくときは、方向性に不安を抱えることもありました。しかし、今回優勝を手にしたことで、今までの軌跡を一定数は認めてもらえたのではないかと喜びを感じてました。今後もさらにビジネスを成長させていく中で、迷いや不安がでてくると思いますが、いい意味で自己中心的にしっかりと軸を持って進んでいけたらと思います。「自己中心的に進んでいく中で、結果的に人のためになってた。」そんなビジネス展開が夢ですね。

■HUB SAUNA株式会社 代表取締役社長 冨田翼空
 私は元々サウナが嫌いだったのですが、新潟ベンチャー協会の理事の方からお誘いいただき、サウナにどっぷりはまってしまいました。そこから今回優勝した室田さんや他の先輩方の刺激を受け、テントサウナを事業化し、今回のピッチ参加をしました。今回参加して自分の準備不足を痛感しました。

■SIIG株式会社 CEO 谷川奨
第1回大会優勝者として今回登壇させていただきました。前回から基本的にプロダクトの質を向上させるため動いていたため、ユーザー数の劇的な向上といった結果は提示できなかったですが、今後は地方部での大会運営を通じたプロモーションなど本格化させ、ユーザー数を増やしていきたいです。

■株式会社プロッセル 代表取締役 CEO 横山和輝
僕は第1回目のピッチで準優勝をしていて、今回のピッチではゲストスピーカーとして参加させていただきました。就活生と企業のマッチングサービスがビジネスモデルなのですが、このビジネスモデルを思いついたきっかけは留学でした。大学2年生の8月から大学3年生の8月まで留学していたことで、就活にエントリーすらできないという経験をし、「どうして留学先で経験を積んだ人たちが就活にエントリーすらさせてもらえないんだろう。」という疑問が生まれました。そのことから「もっと多くの人に学生が見てもらえる場を作ろう!」と考え、今のオンライン上で就活生と企業が繋がることのできるプラットフォームを作り上げたのです。

■ 株式会社サケアイ 代表取締役社長 新山大地
 今回、予選に参加できず参加者としてではなかったですが、資金調達をしている段階にあることから特別にピッチ内でプレゼンテーションをさせていただきました。私どもの提供するsakeaiは、日本酒に特化した購入履歴記録アプリですが、私自身日本酒が元々好きだったわけではなく、長岡に移住してから様々な日本酒と出会いハマりました。そのおかげか以前よりも15キロ太ってしまいました。今後アプリでは利用者の方が自分に合ったお酒に出会えるように、そしてより使いやすいアプリになるよう努めていきます。

集合写真
優勝  室田雅貴
準優勝 白井紀夫

≪審査員インタビュー≫

■KDDI株式会社 理事 経営戦略本部 副本部長 地方創生担当 宇佐見典正
我が社は通信会社であるので、通信関係の新しい技術で問題を解決したいという思いが常にあります。その思いから、各自治体のスタートアップ企業を応援していくことで、新しいビジネスイノベーションを推進していきたいとも考えています。各自治体が盛り上がっていくためには、ひっぱっていってくれる人材が欠かせません。だからこそこのような場のお手伝いをさせていただき、新しく生まれたビジネスを応援する活動をしています。ビジネスイノベーションの発展で、色々なものがより便利に、そして身近になることを願って活動しているんです。

■フラー株式会社 代表取締役会長 渋谷修太
実は新潟県は起業率が低い県です。「これはなんとかしていきたい!」そんな思いから今回のピッチに審査員として参加をしました。まだコロナの影響がある世の中ではありますが、みんなで一緒に協力して新潟のベンチャー企業を成長させていけたらなと考えています。ベンチャー企業を成長させていくためには企業の人たちのメンタリングや、ピッチのような発信できる場を作るなどの応援が必要です。やっぱり誰かからの応援があると、人って頑張れるし、成長できますよね。

■株式会社START 代表取締役社長 中俣博之
僕は自分のことを“ビジネスオタク”だと思っています。4社の代表と5社の役員をしていて、投資先には投資をするだけでなく、必ず役員として内部に入り、一緒に成長していきます。会社の内部に入ることで、色々な種類のビジネスを深く知ることができて楽しいんですよね。そして、そのような自分の性質を活かし、県全体として活性化できるための会社を増やしたいという思いから考えのピッチへ参加しました。スタートアップ支援、既存の活躍している企業の支援を通して新潟のみんながハッピーになることをしていきたいんです。

■パートナーオブスターズ株式会社 CEO 星野善宣
新潟県から「起業率が全国下位の新潟をより良くするにはどうするべきか」相談を受けていました。そこで一緒に相談を受けていた中俣などの仲間と、スタートアップしやすい環境整備を進めると共に、既存企業のより一層の成長、そしてイノベーティブ企業の誘致といった取り組みを始めました。こうした取り組みをできるのも県が真剣に取り組んでいるがゆえだと思っています。

■上杉
アルビレックス新潟というサッカーチームがあります。この「アルビレックス」というのは一般投票で決まったもので、私は別候補を推していました。自分の推しの名前が落ちたことで落胆するとともに悔しく思いました。そこで、その別候補の名前を社名とするゲーム会社を設立。現在は手放してしまいましたが、そういった事業をしていました。
 このピッチに審査員として参加していて、出場者には時には厳しい意見も飛びます。それで折れることなく、1つ1つ吸収をして成長しているのを見ると心から嬉しく思います。

■新潟県 産業労働部 創業・イノベーション推進課長 田中健人
僕は東京都出身なのですが、転機をすることは自分の生活に合っていると感じていて、新潟へは転勤を希望してやってきました。最初から新潟をよく知っていたわけではなかったのですが、いざ新潟で暮らしてみると人柄の良い人が多く、新潟はとても良い場所だと思っています。また、いい意味で大人しい人が新潟には多いと感じているのですが、もっと新潟の人が前へ出ていって、その魅力を発信してほしいとも考えています。だからこそ、今回のようなピッチを通して新潟を盛り上げていきたいですね。

■新潟県 産業労働部 創業・イノベーション推進課 政策企画員 佐々木淑貴
 新潟県の開業率は、厚生労働省の発表で最下位から2番目、経済センサスだと36位とばらつきはあるものの“下位に”位置しています。しかし、創業100年を迎える老舗企業の数は全国3位に位置し、製造業・卸売業・小売業が高い比重になっています。その強みの企業をこれからも発展させ、新潟も活気づけるにはIT企業や新規企業の新しい風が必要不可欠です。そうした背景からベンチャー企業の見本となるようなイノベーティブ企業の誘致やベンチャー企業の支援を通じ、既存企業へ刺激を与え、持続的に発展していけるよう取り組んでおります。また、駅直結のコワーキングスペースの設置や大学との連携を通じて、改革を進めています。

取材 明治大学3年 山本真人 / 津田塾大学2年 佐藤心咲

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