コカ・コーラ カスタマー マーケティング株式会社 代表取締役副社長 藤原義樹

常に持つのは、現場の今を見る「眼」と前向きに挑戦する「心」

コカ・コーラ カスタマー マーケティング株式会社 代表取締役副社長 藤原 義樹(ふじわら よしき)

■プロフィール

1985年関西大学文学部卒業後、同年近畿コカ・コーラボトリング㈱へ入社。2010年コカ・コーラウエスト㈱執行役員を経て、2013年同社の取締役就任。2019年コカ・コーラ ボトラーズジャパン㈱ベンディング事業統括本部長に就任後、2022年3月コカ・コーラ カスタマー マーケティング㈱代表取締役副社長に就任。現在に至る。

世界有数の規模を誇り、日々の生活に寄り添ったコカ・コーラ社製品を扱うコカ・コーラ ボトラーズジャパングループ。同グループにおいてコカ・コーラ カスタマー マーケティング株式会社は全国チェーンなどを専門に、戦略的なマーケティング活動を行っている。3年で辞めようと考え入社したはずが、37年もの間、「コカ・コーラ」と共に歩んできた、同社副社長を務める藤原さんに仕事におけるやりがいやこだわりまで様々なお話を伺った。

■根底にあった商売への憧れ

学生時代、本心では大学に進学するのではなく、自分で商売をしてみたいという考えがありました。ですが、親からは大学にだけは行ってほしいと言われていて、最後の最後まで粘りましたが結局は進学することに決めました。大学生活ではあまり熱心に勉強せず、よく遊びバイトをする日々でした。
卒業後は、飲食業を東南アジアやハワイで経営したいという夢がありましたが、親は反対していたし、元手もありませんでした。それなら、まずは何年間かどこかで働きお金を貯めるのが良いと思い、当時ピザレストランでアルバイトをしていました。長く働くうちに責任者の方が認めてくださり、ビザレストランがグループ会社であったこともあり近畿コカ・コーラボトリング(現在のコカ・コーラ ボトラーズジャパンの前身ボトラー社のひとつ)を就職先として勧めてくださったんです。その出来事がきっかけで、この会社で働くことになりました。その頃はお金を貯めたら会社を辞めて、飲食店で独立するための修行をしようと考えていましたね。

■こだわりは現場主義

入社してからは自動販売機部門に配属されました。その業務ではトラックを運転し、自動販売機まで製品を運び補充することに加えて、契約更新の営業と新しい自動販売機設置場所の新規開拓もしていました。
そのうちに、取引はなくても自動販売機脇のリサイクルボックスの空容器を回収しに行くようになりました。お客さまの空容器を回収し、営業所に帰って広げてみて、何が売れているかを調べるうちに、どのような頻度、場所、職種で、どんな製品が売れているのか、自分の頭の中にデータが蓄積されるようになっていったのです。
「実際にあったリサイクルボックスからこういう物が出ているので、この製品がこれくらい売れる。」自分の眼で見てきた根拠があったので、お客さまに対しての設置場所の提案も説得力が出てきました。その結果、成果が出てきて、やがて社内でも評価されるようになりました。辞める気でいましたから、プレッシャーや失うものは無かったのです。そして給料も良かった。それに目がくらんだのでしょうね(笑)。飲食業の夢は引き続きありましたが、段々と「この仕事が面白い、続けてみたい」と感じるようになりました。3年程で退職しようと思っていたはずが、気付けば7年もの間、この業務を続けていました。
この時の経験から、「自分で見たものこそが事実だ」と考える癖がつきました。今でも現地・現物・現状を軸に、営業所や売り場にも視察に行き、お客さまからお話を伺うことが数多くあります。消費者と接点の多い商売なので、仕事をする環境からパッケージデザインまで、消費者からは何を求められているのか、我々には何が出来るのかを常に考え、現場の声をヒントに変えるべきところは改善するようにしています。

■先を見据えた人材育成

人の成長を見るのは、何よりのやりがいです。こだわっているのは、自分より二代後の人をしっかりと育てること。自分の代わりは育てられたとしても、その部下が上司を支えられる能力を持っているのかがとても重要だからです。実際に自分が若い年齢で抜擢され、上司との年齢差が15歳あり悩んだことがありました。上司も大変だったでしょうね、迷惑をかけました。自分がリタイアする時には、そのようなことなく企画でも営業でも、きっちりと求められるレベルの仕事が出来るように育てられていたのならとても嬉しいですね。こんな風に、自分がいなくなった先々まで見据えることを心掛けています。

■貫くのは挑戦し続ける前向きな姿勢

自動販売機市場は年々縮小しており、業績を達成することは厳しくなってきています。コロナ禍ということも加わり、人々が先を見通せない不安を感じながら仕事をしていることが伝わってきていました。そこで、モチベーションを上げて仕事に取り組んでもらうために、役職を与えて抜擢したり、奨励や報奨制度を作るように変えていきました。
コカ・コーラ ボトラーズジャパンでは成果を上げたら評価する加点式を取り入れています。人は誰しも、良いところを見つけてもらって褒められると嬉しいですよね。減点式では新しいことに消極的になってしまうので、失敗したとしても責めることはしない。
当社で大切にしているのは「お客さまに喜んでもらう」「市場で勝つ」ことなので、タブー視されているものへの挑戦もオープンです。僕が会社に務めてから37年の時が流れましたが、この精神は変わっていません。失敗を恐れず何にでも挑戦出来る姿勢が当社の魅力です。だからこそ、好奇心旺盛で前向きに仕事していただける方と一緒に働きたいです。「好奇心」と「前向き」この二つは大事なキーワードです!

■時代と共に移り変わる、これからの姿

最近では「Coke ON®」という自動販売機がオトクに楽しくなるアプリを展開しています。3400万ダウンロード(2022年3月現在)を突破するなど、多くの方にご利用していただき、サービス面での当社の強みになったと実感しています。「Coke ON®」があるからコカ・コーラ社の自動販売機を選んだと言っていただけることも増えてきました。将来的にデジタルに強い会社が我々の領域に入ってきても太刀打ち出来るようにしていきたいです。
これからは環境面や多様性などのSDGsにもこれまで以上に取り組んでいきます。特に当社では清涼飲料水を売るために、エネルギーや資源を使っています。例えば、コカ・コーラ社製品の中身以外にも、洗浄用や加熱用の水など、様々な工程で水を使っていることが挙げられます。そこで我々は、製品の製造に使用した水と同じ量の水を自然に還すための活動を実施しています。また、自動販売機の消費電力を削減することで二酸化炭素の排出量を削減することや、車両の排出ガスをいかに減らすか、といったことを、私たちが事業活動を行う上で果たすべき責務として取り組んでいます。

■学生へのメッセージ

今の時代は自分の将来に対して夢が持ちにくい、閉塞感が漂っているように感じます。これからも経済や政治などの分野で様々なことが起こり、右肩上がりのやさしい時代ではないかもしれません。
しかし、大きなイノベーションで世の中が変わっていって、これまでの年功序列や学歴など関係なく勝負出来るチャンスの時代がやって来ると思います。自分自身が志を高く持ち、好奇心旺盛に色々な事に取り組んでいくと、企業に勤めても自分で起業してみても夢があるのではないでしょうか。僕も、もう一度やり直してチャレンジしてみたいくらいです。前向きに生きていきましょう!

学生新聞オンライン2022年4月4日取材 日本大学3年 柴野桃七

日本大学3年 柴野桃七 / 日本女子大学4年 神田理苑 / 武蔵野音楽大学2年 大曲美南子

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