東武トップツアーズ株式会社 代表取締役社長執行役員 百木田康二

「リアル」な価値観を通して、一生残る思い出に喜びを。

東武トップツアーズ株式会社 代表取締役社長執行役員 百木田康二 (からきたやすし)

■プロフィール

1964年生まれ、東京都出身。明治大学商学部を卒業後、1987年東急観光(現、東武トップツアーズ)に入社。1997年ヴィータU.S.A.CO.HAWAIIに出向し、帰任後は2007年よりトップツアー(現、東武トップツアーズ)社長室長、経営企画部長を歴任。2014年取締役に就任、東武トップツアーズ発足後の2016年からは営業統括本部を管掌し、2020年取締役常務執行役員営業統括本部長を経て2021年7月より現職。

2015年、東武トラベル株式会社とトップツアー株式会社が合併して誕生したのが、東武トップツアーズ株式会社。その経営理念である「ありがとうの連鎖」は、旅行事業にかける強い想いがこもっていることを感じさせる。コロナ禍で旅行業界が大きな打撃を受けるなか、どのような経験をもとに会社経営に携わってきたのかについて、先の見えない時代を生きる大学生に向けたメッセージとともに、百木田社長に伺った。

■アルバイトに学業に。全力で楽しんだ大学生活

大学生の時は、私も皆さんと同じく、いろんなアルバイトや学業に勤しんでいました。3年間、居酒屋で働きつつも、甲子園の宣伝でグラビアを撮るために多摩川沿いのグランドをひたすら走るといった一風変わったアルバイトもやりました。また、実家の家業が原木を製材する木工業だったことから、居酒屋のアルバイトが終わった後に、浅草から越谷まで木材の運搬作業をすることもありました。

もちろん学業もおろそかにはしませんでしたよ。大学のゼミのテーマに選んだのは「交通論」で、当時名古屋にできたバスレーンを見に行き、研究課題にしました。ゼミは自由奔放な雰囲気でとても楽しかったです。ゼミのメンバーと一緒に、明治大学のラグビーや野球の観戦によく行きました。真冬の時期に一週間徹夜で並んでチケットを取った大雪の中の早明戦は、いまだに強く思い出に残っています。

■直観に従って飛び込んだ、旅行業の世界

このご時世ですから皆さんも就活は大変だと思いますが、私が大学生の時も就活は楽ではありませんでした。就活は周りの友人の様子をみてから始めたのでスタートも遅かったです。就活中、私がフィーリングで心惹かれたのは旅行業界でした。在籍する商学部では、就職先として金融業界が人気でしたが、私は自分の直観を信じて、就職活動も旅行業界に絞って行い、たった4社しか受けませんでした。

受けた中の1社として内定をもらったのが、東武トップツアーズ(当時は東急観光)です。ただ、いざ入社して思ったのは「形がない“旅行”を売るのは大変だ」ということです。

仮に、旅行の内容が同じだった場合、当社を選んでいただくためには、ほかの旅行会社との差別化を図って、何かしらの価値をお客様に提供することが重要です。例えば、ツアー担当者が人としてお客様に信頼されたり、企画力を上げ面白さや価値を伝えたりすることが大切であり、大事なのは旅行の中身よりも、人柄や企画内容、面白さなのです。

また、私たち旅行業界は個人プレーでは成り立ちません。航空会社・旅館・ホテル・お土産屋などとも連携し、チーム一丸となって協力しあうことで「旅行」という商品が生まれます。「旅行」を通じてお客様に喜んでもらい、「ありがとう」という言葉をいただくことが、社員一人一人の励みになりますし、お客様に感謝されるような体験を提供し続けることで、自分たちも成長していく。こうしたお客様とのリレーションシップが、旅行業界の醍醐味だと思います。

■大変な時代だからこそ「地域を元気に、日本を元気に」

東武トップツアーズは、主に団体・法人様向けのB to Bでの旅行事業を展開していました。しかし、コロナ禍以降は、修学旅行の延期や海外旅行が中止になるなど、旅行需要が激減しました。

そこで私たちが目を向けたのは、旅行以外の新たなニーズです。東武トップツアーズならではの、人のために動くホスピタリティ精神やコーディネート力を生かして社会貢献をしたいという思いで、ワクチンの接種事業や困窮する飲食店の助成金の申請、安心安全のための合格マークを認定する事業などを新たにスタートさせ、国・自治体と企業を結び付ける役割を果たしました。

今後に向けては「地域を元気に、日本を元気に」をテーマに掲げ、地域ごとの課題の解決を目指しています。大きな視点で見ると、日本は毎年60万人ものペースで人口が減少していますが、地域によってその課題は様々です。当社は47都道府県すべてに店舗があるので、地域に根差した課題解決の提案が可能です。ワクチンの接種事業は、その引き出しの一つにすぎません。それぞれの地域の課題に柔軟に対応できるよう、さらに引き出しを増やしていきたいと思います。

また、この2年間、「旅行」の必要性が何度となく問われました。旅行の移動手段も飛行機や電車から車にシフトし、少人数で動くようになりました。リモートの良さもありますが、お客様の間でも旅行を通じたリアルな体験の良さに気づく方が増えています。そういう意味ではこの2年間は悪いことばかりではなく、旅行が持つ大切なことに気づくきっかけになったのではないかとも思います。私たちはこうした「リアル」の場を提供し、お客様の一生の思い出を作れるように、日々新しいことに挑戦していこうと思います。

■ほしい人材は、好奇心を持ってアンテナを張り巡らせる人

東武トップツアーズで成功している社員の特徴は、3つあります。それは、「(1)強い信念を持って仕事に取り組み」、「(2)今の社会で何が求められるのかをキャッチでき」、「(3)間違えたときや失敗したときは素直に謝れる誠実な人」です。

旅行という商品は形がないので、こういった人柄で他社との差別化を図っていくことが重要です。目まぐるしく変わる環境の移り変わりを察知し、その変化に対応でき、広くアンテナを張り巡らせられるような、好奇心旺盛な人を求めています。

■message

学生さんから「入社するまでに何をすればいいですか?」とよく聞かれるのですが、その答えは「何もやらなくていい」です。学生の皆さんには、今しかできないことが沢山あります。年齢を重ねてから後悔するのはもったいない。学生だからこそできることを見つけ、時間がある今のうちにやり抜いてほしいです。

あと、もう一つ大切なのが、健康です。大学生活の中で、ときにはストレスを感じることもあると思います。私たち旅行業界も、答えがない商品を取り扱っているためトラブルもあります。ただ、逆に言えば、こうしたトラブルに対応して解決できれば、次に繋げることが出来ます。大学生の皆さんにも、トラブルや失敗を糧にして、強い信念をもって前に進んでいって欲しいです。

学生新聞オンライン2022年6月24日取材 明治大学 4年      酒井躍

明治大学 4年 酒井躍 / 中央学院大学 4年 田根颯人 / 東海大学4年 大塚美咲/ 國學院大學 3年 峯松諒太

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