ミュージシャン DJ KOO
正解だけが正しい答えではない、自分に合った道を進む
■プロフィール
1961年8月8日生まれ、東京都出身。トータルCDセールスが2100万枚を超え、今なお多くの人に愛される続けているダンス&ボーカルグループTRFのDJ、リーダー。 ソロとしては、“触れ合う人々をエネルギッシュに!元気に!笑顔に!”をモットーに、ダンスクラシック、EDMから、J-POP、アニソン、ゲーム音楽まで幅広い音楽をDJスタイルにてプレイし、共感、賛同を得ている。 2017年から日本の文化である“お祭り”“盆踊り”とのコラボレーションをエンターテイメント型ジャパンカルチャーの発信として、国内外において精力的に活動を行っている。バラエティー番組にも多数出演。幅広い層のファンを獲得している。
TRFのDJとしてデビューしてから30年たった今もなお多くの人に愛されているDJ KOOさん。音楽だけではなくバラエティー番組やラジオなどマルチに仕事をこなしていく。今年の8月には健康本「DJ KOO流 心・体・脳の整え方」も出版。テレビなどではわからない仕事や音楽にかける思いなどのお話を伺った。
■自分の居場所として見つけたDJ
小学生の頃に沢田研二さんに憧れて音楽家を目指すようになりました。最初はギタリストになりたかったのですがこの頃は専門学校もなくプロへのなり方がわかりませんでした。自己流でも難しく、音楽でプロを目指すのが一番難しい時代だったんじゃないですかね。その後はギタリストを諦めてラグビーとロックが中心な生活を送るようになり、やりたいことを探すために専門学校に行きました。18歳になってから遊びに明け暮れるようになりクラブに行き始めたのですが、そこで初めてDJという職業に出会い、自分の居場所をもっているということに惹かれDJになりました。
■小室さんとの出会い
DJになったものの、当時はとてもDJだけでは生活ができず清掃業のバイトをしていました。ある時小室哲哉さんがイベントをするのにDJが必要ということで横浜ベイサイドからお話をいただきました。イベントで集められたメンバーと小室さんに挨拶に行ったとき自分の人生観がその一瞬で大きく変わりました。小室さんは「みんなが楽しんでくれるということがカッコいい」「どれだけ多くの人を感動させられるかが大事だ」という世界を強く持っていて、自分との大きな差を感じました。それから半年間毎日小室さんのところに通うようになり、小室さんの活動に参加させてもらうようになり、段々とTRFのメンバーとしての僕自身の認知も広がってくようになりましたね。
■自分のした選択に誇りをもって楽しく
コロナで活動が制限され、ヒット曲が生まれにくくなっています。イベントでどの曲をかけるか考える時は、自分のした選択に対して誇りをもつように心がけています。正解だけが正しい答えではありません。DJの仕事はスキルも大事ですが、時代やリアルタイムに寄り添うことも大切です。現場でDJをやることが基本だからこそ、感覚は危険です。クラブに来る人達の目的はDJではなく、遊ぶこと・楽しむことです。その時々の空気感やお客様は毎回違うので、ピークを作るタイミングなど、いろんな選択をしていかないといけません。だからこそいろんなものに触れたり、セッションしたりするようにしています。踏む込んでみるからこそ、うまれるものに気づくこともあります。あと、娘には流行りの音楽を教えてもらうようにもしていますね(笑)。主役はお客様だからこそお客様が「明日も頑張るぞ」という顔をしてくれるように、DJという仕事を日々行っています。
最近はバラエティーの仕事も増えましたが、最初はどこにいていいのかがなかなかわかりませんでした。でも、バラエティーはチームワークで作っているので自分もそのチームに入らないといけないと思い、自分から関わっていくようにしました。格好いいと思っていることがかっこ悪いことに気づかされましたね。そうした積み重ねから、人との繋がりが環境をつくっていくと痛感することが多いです。先生や友達、本心から話せる人がいる場所で勉強をしていく環境は、自分を成長するために非常に大切なものですね。
■新刊「DJ KOO流 心・体・脳の整え方」
一時期は不健康がカッコいいと思っていたのですが、五年前に脳動脈瘤をわずらった時に、家族と一緒に「いただいた命を大事にしないといけない」と感じました。それと同時に、自分の体を大事に管理することは仲間や仕事を大切にするのと同じだと気付かされました。そこで、みんなが元気になれるようにという思いから、本を出版することになりました。この本は全体を含めて、「こうしないといけない」のではなく、「こういうのはどうかな?」という提案ベースになっています。よくある自己啓発書とは異なり、すべてマスト的な感じではなく、「こういうやり方があるけど、とにかく無理しないでください」といった思いが込められています。無理をしすぎた結果、すべてを諦めてしまうより、無理せずに次のことを考えられる方が次の会話も増えますよね。正解はひとつだけではありません。みんなの考えや合うものは違うからこそ提案ベースの本になったのだと思います。
■一個一個の積み重ねが形になる
今は盆踊りを盛り上げたいと考えています。昔は海外にコンプレックスがあったのですが、今の時代は海外に対してコンプレックスがそこまでないと思います。アニメのように海外が注目している日本のコンテンツが沢山ありますよね。そこでこれから盆踊りを新しいものとして世界に発信できたら面白いなと思っています。日本人が愛してきた伝統文化だからこそ歴史を調べて、J-popをかけたり、若者が踊れるような振り付けを考えたりしています。しっかりと掘り下げながらやっていくと、次はこうしようというアイデアが広がっていくので、その積み重ねです。急ぐと取りこぼしがあるからこそ丁寧にひとつひとつ行っていきます。物事を形にしていくうえで、スケジュールや工程がおさまらなくても大丈夫です。はみ出てもブラッシュアップしてつくっていくことが大切になります。
■massage
コロナの影響で普段とは違う状況で大学生をやっているとおもいますが、コロナでも楽しむこと、元気になれることを見つけてほしいなと思います。また、社会に出るときは潔くしてみてください。社会の先輩たちは色々な経験者だからこそ、受け止めてくれます。周りの目を気にしたり、自分は大丈夫かと思うことがあると思いますが、自然体の自分をだせればきっと見方や接し方も変わってくると思います。失敗や不安、体裁とか自分の器とかも気にしなくて大丈夫です。自分の気持ちをぶつけてみてください。
学生新聞オンライン2022年8月10日取材 國學院大學3年 島田大輝
タイトル:あと10歳若くなる! DJ KOO流 心・体・脳の整え方
著者:DJ KOO(TRF)
発売日:2022年8月3日
発行:株式会社PHP研究所
池谷敏郎氏(医学博士)推薦!!「医師の理想とKOOさんらしさの絶妙な“落とし所“が満載!」“夜にウォーキング!?”“SNSを使いこなす”……バラエティーで大活躍・還暦超えアーティスト元気の秘訣。仕事/メンタル/食事/睡眠/人生/人間関係・・・全部に効く!54の「小さなルーティン」収録
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