HOUSEI株式会社 代表取締役社長 管祥紅

大学卒業後も、人生で大切なのは常に学び続けること

HOUSEI株式会社 代表取締役社長 管祥紅(カン ショウコウ)

プロフィール

中国湖北省出身。

北京大学電子工学部情報通信学科卒業後、来日。 1996年に方正株式会社(現HOUSEI株式会社)を設立、代表取締役社長に就任、現在に至 る。日本のメディア業界のシステム開発を手掛け、直近では、ITノウハウを生かした顔認証システムを筆頭に、メディア業界のみならず、医療、教育などの業界において、DX推進に奔走する。

日本のメディア業界のシステム開発を手掛け、現在、その市場占有が日本トップシェアであるHOUSEI。その勢いはメディア業界にとどまらず、医療や教育のDX推進サポートなど、様々な業界にも及んでいる。時代のトレンドを見事につかんだ新規上場企業として注目される同社の代表取締役社長・管祥紅さんに、学生時代から現在に至るまでのお話を伺いました。

■若いころから自分の将来と向き合った大学時代

学生時代は、勉学と運動にいそしんでいました。私は北京大学に通っていましたが、中国の大学は日本の大学と似ており、学生が厳しく管理されることはありませんでした。大学生活では時間に余裕ができ、インターンなどの課外活動などにもたくさんいろいろ取り組んできましたね。ただ、中国のインターンは、日本のインターンとは少しイメージが異なるかもしれません。中国では、政府が将来の社会を担う人材育成の一環として、学生が田舎地方の会社に出向き、地元企業や地域の悩みを聞いて問題解決するというプログラムがありました。私もそのプログラムに参加しました。実際、地方の企業に入って様々な社会の出来事を現場視察する目的を持ち対応したことで、様々な面で効果的な学習ができたと感じました。

■ご縁で日本へ、そしてHOUSEI株式会社設立

あるとき、大学で「日本企業と協同でソフトウェア開発を行う人材を募る」という募集を目にして応募し、開発に参加できました。そのことがご縁で、大学を卒業してから「日本プロセス株式会社」に就職することとなり日本にやってきました。3年ほど同社にて、その後、住友金属工業株式会社へ転職しました。私はIT分野の新規事業に配属され、コンピューターを使って印刷物の作成を行うソフトの開発を担当しました。そのご縁で北京大学の先生がたと交流ができ一緒にビジネスを進めることになり、方正(現HOUSEI)株式会社の立ち上げに至りました。

■文化の違いを受け入れれば、苦労はなくなる

実は私は仕事での達成感をあまり感じたことがないのです。いい意味で、常に欲の塊です(笑)。永遠に「これで満足!」ということが無く、常に良いものを生み出したいと考え、物事を俯瞰してみています。
会社経営においても「更に良くなるのでは?」という向上心を持ち続けた先に、「HOUSEIといえばこれ!」というものができる。そこで、初めて達成感が得られるのではないのかと思っています。
同時に、「あれが大変だった」などと語るような、苦労も少なかったと感じていますね。若い時に色々な文化に触れてきたので、ハプニングや意見の相違も抵抗なく受け入れられるようになったと感じています。実際、苦難が起きたときは、毎回メンバーと共に腹を割って語り合い、問題解決にあたってきました。また、来日したときも、若い頃の渡米経験があったので苦労も少なかったと感じています。世の中にはいろいろな人間がいますが、基本はみな同じです。異なる意見や考えが生まれるのは、言ってしまえば環境や文化の違いだと思っています。だから私は地域毎の文化を受け入れ、その文化に興味を持つことを大切にしています。そうすれば、異なる意見の相手であっても、受け入れ許容できることが多いです。

■多様性を通じて、世の中に新しい価値を生み出したい

HOUSEI株式会社と他社との差別化は多様性を尊重することです。尊重することで世の中に新しい価値を生み出すことができます。また、個人の許容量や情報量が増えれば、それが発想の豊かさやuniqueness、物事を深く思考する力につながっていきます。そのため、弊社では、様々な国籍の人を受け入れたり、海外と積極的に交流したりすることで、視野を広げて、お互いを理解し合うことを大切にしています。
また、多様性を生み出すことは、その人本来の魅力を引き出すことと同じだと私は捉えています。そのため、弊社は社員のアイディアを活かすことを大切にしています。具体的には、社員が自身の構想を発表する場を頻繁に設け、実際にそのアイディアにお金を投資し、プロジェクトとして進めていくことも多々あります。様々なものが溢れる世の中で、多種多様なことを組み合わせてみんなで力を合わせて伸ばし、新たな価値を生み出すことを意識しています。それには、情報の共有も大切です。どんな情報も社員にすぐ開示し、社員自身が会社や自分にとって正しいと思うことを判断し、行動できるように意識しています。

■スキルよりも成長意欲のある人を

弊社は、様々な面でチャンスをつかめる環境を用意しています。私たちが職場で求める人は、勉強し続ける向上心のある人、情報に対して吸収力がある頭の柔らかい人、いろんな人と付き合える人、いろんな観点を受け入れられる人です。また、こうした素養を持った人こそ成長できる会社だと思います。学生時代に学んだ知識は、世の中の極々一部でしかありません。そこで学んだ知識だけが、世の中に通用することはありません。よって、常に世の中に対して興味を持ち、積極的に情報収集できる人はどんどんレベルが高くなり、最終的には世の中にとって必要不可欠で認められる人間になると思います。そして、弊社では、そうした素養を持った人材を、どんどん受け入れていきたいと考えております。

■大学生へのMessage

学生時代はただお金を稼ぐためだけに働くのではなく、自分が将来進みたい分野、あるいは自分がいま興味を持つ専門分野に近い仕事に関わるところで、社会勉強をした方が良いと思います。まだ、やりたいことが決まっていない人は、とにかくいろんなことにチャレンジしましょう。若いころはたくさんミスをしてもいいと思いますし、就職浪人や留年して様々なことを経験してもいいと思います! 自分が本当は何が好きなのか、何が向いているのかを見つけていくことが、これからの人生を生きていく上で大切だと考えています。

学生新聞オンライン2022年9月5日取材 日本大学3年 和田真帆

明治大学4年 酒井躍 / 日本大学3年 和田真帆 / 東海大学4年 大塚美咲

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