日本大学 学長 酒井 健夫
学生の夢や希望を実現、これから求められるのは「総合知」
日本大学 学長 酒井 健夫(さかいたけお)
■プロフィール
昭和41年本学農獣医学部(現生物資源科学部)獣医学科卒。東京大学医科学研究所、厚生省、台糖ファイザー薬理研究所を経て、56年農獣医学部専任講師。58年助教授、平成5年教授。11年学部次長、評議員。17年学部長となり、理事、大学院生物資源科学研究科長、同獣医学研究科長。19年副総長(総長代理・代行者)となり、平成20年第12代総長に就任。令和4年第15代学長に就任。農林水産省獣医事審議会会長、内閣府食品安全委員会座長等を歴任。
■どのような学生時代を過ごしてこられましたか
私の学生時代は高度成長期の真っただ中でした。これからの日本をどう発展させていくのかという議論の中で勉学に努めていました。当時の大学は学生と教員が一体となって社会を変えていこうという雰囲気があり、学生と先生の距離が非常に近く、知らないことは教員から直接聞いて覚えるといった毎日でした。また、学生の自主性を重んじる大学でしたので、私は常に好奇心を持って物事に接し、社会の仕組みを見つめ、自分自身の感性を磨くことができました。
■学長の役割と取り組みについてお聞かせください
大学は学生の夢や希望を実現させるための学び舎であると思っており、そのサポートをするのが私の役割です。私たちは学生にさまざまなことを体験してもらうために、質の良い教育を提供するという「教学優先」を意識しています。そのための取り組みとして2つ上げられます。1つ目はオーダーメイド型サポートの実現です。学生がこれまで過ごしてきた環境や背景はそれぞれ異なりますので、一人ひとりの資質、目的、夢を十分に把握し、満足のいく大学生活を送れるように取り組んでいきます。2つ目は日本大学ルネサンス計画です。教育改善や改革にチャレンジしていくためには、学生や学部を「個」、大学を「全」として捉え、この「個」と「全」とのつながりを明確にしてサポートしています。
■大学生へのメッセージをお願いします
これからの学生は既存の枠にとらわれずに、多様な知識を吸収して物事を俯瞰的に捉える能力が求められます。そのために大学の役割も変化していく必要がありますし、皆さんも「総合知」を身に付ける必要があります。現代は、気候変動や環境汚染、地域紛争といった国際情勢の問題や多様な考え方などを理解する必要があります。「総合知」によって、いろいろな難局を乗り越えることができ、社会で活躍するチャンスが得られると考えます。
また、学生時代は自分が描く目的や実現したい志を立て、それを実行するための実力を身に付ける時期だと思います。
知的好奇心を求めて接すると社会の仕組みや動向が自然と分かってきますし、感性も磨かれていきます。まず、目標や志を立てていただきたいですね。
学生新聞2023年4月1日発刊号 日本大学3年 和田真帆
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