西垣 匠 走り始めることで夢や目標が見えてくる

俳優 西垣 匠(にしがき しょう)

■プロフィール
2021年、毎日放送『夢中さ、きみに。』でドラマデビュー。TBSテレビ『ドラゴン桜』、テレビ朝日『消えた初恋』『鹿楓堂よついろ日和』、テレビ東京『みなと商事コインランドリー』などに出演。現在、TBSテレビ「・ドラマストリーム『私がヒモを飼うなんて』」に出演中。

ミスター慶應2019グランプリを獲得し、現在は俳優として『ドラゴン桜』や『みなと商事コインランドリー』など様々な話題作に出演する西垣匠さん。TBSにて放送中の『私がヒモを飼うなんて』では主人公に思いを寄せる桐谷森生役を務める。本作についてのお話をはじめ、お仕事に対する想いや今後の展望などを伺った。

■目立つことが好きではなかった自分が俳優を目指した理由

僕は小さい頃から目立つのは好きじゃなくて、図書館で一人『スラムダンク』読んでいるようなタイプで、校庭でサッカーをするキラキラした人達を上から眺めていました。だから、ミスターコンもファイナリストになった時は正直「やったー!」ではなく「残っちゃった……」という戸惑いの方が強かったです。ただ、コンテストのハイライトともいえる最後のスピーチでは、あまり緊張せず恥ずかしさを感じませんでした。みんなが自分の話を聞いてくれていることが面白かったんですね。自分は話すことが苦手と思っていたけど、意外とそうじゃないと気付きました。苦手だと思い込んでいたからやってこなかっただけで、実際はできるのかもしれないと思った瞬間でした。
慶應義塾大学のミスターコンに出場したときに事務所に声をかけていただいたことが、このお仕事を始めるきっかけになりました。その後、1年半弱演技レッスンを受けていましたが、具体的な仕事のご縁はなかったものの、就活の時期に改めて「今やりたいことはなんだろう?」と考えて、この道を選びました。

■じわじわと実感した「これで食べていきたい」という覚悟

でも、すぐに“俳優になる”という覚悟を決めたわけではありません。3年くらいお試し期間で、芽が出なかったら普通に就活しようと思っていました。やってもいないのにプロでやっていく覚悟を決めるなんて無理だと思うんです。例えば、野球をやったことなくてグローブもないのにプロ野球選手になれるとは思えませんよね。覚悟というものは、まずその土俵に立ってから出来るものだと思います。僕自身もやっていくうちに「これで食っていきたい」とじわじわと覚悟が出来てきた感じです。今が限界なのか、100まで来ているか分からないけれど、やればやるほど楽しいなと思うし、辛いなと思うこともあります。今はこの仕事で生きていきたいと思っています。

■普通の幸せを10個捨てて、“カメラの前に立つ幸せ”を得ている

僕はすごくぬるい人間なので、誰かがお尻を叩いてくれないと頑張れないんですよね。だからあえて厳しい環境に身を置くようにしています。父親がとても優しい人なので、社会の厳しさを知らずに育ってしまったのかもしれません。ただ、この業界ほど厳しいものはないと思っているので、食らいついていかなければ!と頑張っています。
辛いことがあっても寝たら忘れます。ずっとフェンシングをやっていたんですけど、フェンシングは負けることが多くて。負けると辛いし「もうやりたくない」と思うけど、寝て起きたら、練習に行かないといけない。次の試合もあるから、無理くり切り替えなければならない。そうやって小さい頃から切り替えて生きてきたからこそ、今の仕事も出来るのかもしれません。
もちろん辛いことだけでなく嬉しいこともたくさんあります。出演した作品が評価されたり、「観ました」「良かったです」という声が届くと、やっていて良かったなと思います。
『薔薇とサムライ2-海賊女王の帰還-』で、スタンディングオベーションをいただいたときは、ダイレクトに感動しました。自分達がやってきたことに、観客のみなさんが立ち上がって拍手して評価してくださることがとても嬉しかったし、初めての舞台であんな景色を見せていただけたことはありがたいと思っています。
この仕事は、一般の方が得ている幸せを10個くらい捨てた上で、カメラの前に立つという1つの幸せと交換されているのではないかと思います。でもその幸せは、この立場の人にしか分からないもので、とても貴重なものだとも感じます。そして、その幸せが、僕にとっては大きなやりがいになっています。

■ドラマストリーム『私がヒモを飼うなんて』について

私がヒモを飼うなんて』の出演のオファーを頂いた時は、率直にすごく嬉しかったです。女性相手の恋愛モノで三角関係に巻き込まれるという経験がなく、初チャレンジでワクワクしました。原作も読んでいましたが、森生はすごくユーモアのある役柄なので、演じていてとても楽しかったです。
また、関係値を壊したくなくて告白できないという森生の気持ちには共感しました。告白の結果がどうであれ、今までの関係性には何があっても戻れないのなら、告白をためらってしまうだろうなと。あと、僕自身「犬系男子」とよく言われるので、犬っぽさは森生との共通点かもしれません。

■誰かが元気になってほしいとの想いでカメラの前に立つ

役作りは、赤の他人を心の中に置いて、その人物と自分の近いところや自分が共感できるところを探していく作業だと思っています。「役として何を伝えたいのか」をよく考えるようにしています。
本作では全編を通して「格好をつけるのはやめよう」と思って演じていました。森生はダサければダサい方が良い奴に見えるし、不器用で上手くいかずにモヤモヤしながらも、ずっと一生懸命な姿が格好良く見えると思ったんですよね。だから胸キュンシーンもカッコ悪くていいやと割り切りました(笑)。
現実社会で、もし恋愛に対して一所懸命になる場面があったら、客観的に見たとき当事者は自分が一番恥ずかしい瞬間だと思うんですよね。だから、それを綺麗に見せるのは正解じゃないなと。恋愛モノだからといって、胸キュンシーンで格好良く振舞おうとは思いませんでした。
僕はずっと、カメラの前に立つときは、「僕を見て一人でも元気になれればいいな」と思っています。それがこの仕事をする根本であり、演じる理由のようなものなんです。だから、この作品でも森生の姿を見て元気が出たり、同じような悩みを持つ人に寄り添ってあげられたらいいなと思います。

■様々な挑戦が日本アカデミー賞という夢に繋がる

デビューしてからずっと言い続けているのですが、映画の世界で活躍したいと思っています。日本アカデミー賞新人賞を受賞したいです。『わたしの幸せな結婚』や『薔薇とサムライ2-海賊女王の帰還-』で経験した殺陣がとても楽しかったので、そうした新たな挑戦もたくさんして、舞台・映画・ドラマなど幅広くエンタメの世界で輝けるようになりたいです。
役柄としては、先生役をやってみたいと思っています。親の家系に教師が多く、その背中を見てきたのも一因ですが、人に何かを伝える事と俳優の仕事には共通点も感じていて、憧れがあります。
あと、僕は小さい頃『ジュラシック・パーク』が好きだったため、将来の夢は恐竜の博士でした。実家のある石川県から隣の福井県の恐竜博物館に連れて行ってもらったのは、いまでもいい思い出です。また、恐竜図鑑を読み込んで、恐竜の名前をたくさん暗記していました。その頃から「将来は恐竜博士になる」と思っていたので、小さいころの夢を役で叶えられたらいいなと思います。
また学生時代、英語が一番得意だったのですが、いろんな場面で活かせるので、コミュニケーションツールとしても挑戦したいですね。

■大学生へのメッセージ

夢や目標を持っていない人の方が多い時期で、いきなり「進路を決めて!」というのは酷な話ですよね。今から数年くらい、何かやってみても大丈夫。自分の好きなことや、やりたいことだけ頑張っても取り返しがつくと思います。無理して自分がやりたくないことをやるよりも、本当に自分がやりたいこと・好きなこと、得意なことを見つけられる4年間になるといいなと思います。
夢や目標は走り始めてからじゃないと作れないと思うんですよね。頑張り始めて、応援してくれる人が出来て、一緒に目指す仲間が出来る。「これは無理だよ」と言ってくる人が現れるかもしれないけど、向かい風を受けて初めて前に進みたいと気付けると思う。好きなことがある人はそれに向かって頑張るべきだと思うし、ない人はとりあえず何かチャレンジしてみたらいいと思います。そんなに悩むことではないんです、後から振り返るとどんなことも大したことないので!悩まず気楽に進んでみてください。

学生新聞オンライン2023年3月24日取材 上智大学4年 八木彩花

(c) 『私がヒモを飼うなんて』製作委員会

ドラマストリーム『私がヒモを飼うなんて
TBS 毎週火曜 深夜0時58分~1時28分

1週間先行有料配信:「Paravi」「U-NEXT」にて毎週火曜正午配信
「TVer」「TBS FREE」にて無料1週間見逃し配信

<キャスト>
井桁弘恵、一ノ瀬颯、西垣匠、トリンドル玲奈 他

公式サイト:https://www.tbs.co.jp/drama_stream_tbs/
公式Twitter:@drama_streamtbs
公式Instagram:tbs_drama_stream
公式TikTok:@drama_stream_tbs

上智大学4年 八木彩花 / 学習院女子大学2年 小川莉実 / 慶應義塾大学3年 伊東美優

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