株式会社うるる 代表取締役社長 星 知也

好奇心をエネルギー源に、世界へ向けて挑戦し続ける。

株式会社うるる 代表取締役社長 星 知也(ほし ともや)

在宅ワーカーを活用したビジネスで成長を遂げている株式会社うるる。「労働力不足解決」をビジョンに掲げ、現在複数のSaaSを展開する注目企業だ。しかし創業までには、星社長の数多くの経験や困難が背景にあった。今回はそんな異色の経歴を持つ星社長に、うるるの強みや魅力について熱くお話いただいた。

高校時代から新聞配達を中心に多くのアルバイトを経験し、お金を稼ぐ大変さを身に沁みて感じていました。面白そうなアルバイトにはどんどん挑戦していたので、当時から好奇心旺盛な人間だったとは思います。そして、早く社会に出たいという気持ちが強くあったので、大学進学はせずに、高校を卒業することになります。その後時給の良さに惹かれてビルの窓拭き清掃の仕事を始めたのですが、だんだんとスーツで働くことに憧れを持ち始めて(笑)。求人誌で次の職を探し始め、見つけた先が営業会社でした。

社名の由来となったワーキングホリデーでの出会い

入社した企業は、訪問販売を行う営業会社で、「売れば給与や階級が上がる」というとにかくシンプルな昇級方法でした。結果、当時19歳で次長にまで昇格し、関わる人や仕事の幅も広がっていきました。また好奇心のまま赴いたワーキングホリデーでは、非常に刺激的な経験をしました。私はオーストラリアに 1年間滞在したのですが、中でもエアーズロックの景色は今でも忘れられません。オーストラリア大陸の中心に位置するエアーズロック。実はオーストラリアの先住民であるアボリジナルの聖地であり、彼らはこの場所のことを「ウルル(※ウルル(Uluru)はアボリジナルによる呼び名(ピチャンチャチャラ語)で、イギリスの探検家によって名付けられたエアーズロック(英: Ayers Rock)も広く知られた名称です–引用:Wikipedia」と呼ぶのです。「自分たちの会社も、世界の中心のような存在になっていきたい」。その想いから、当社を「うるる」という社名にしました。

20代で選択したMBOという決断

帰国後は、主婦に教材を販売する会社へ就職することになりました。当時、その事業は単に教材を販売するだけだったのですが、私は販売するだけでなく、顧客にプラスαの付加価値を与えたいと考え、商品を購入した方々のアフターフォローという位置づけで仕事の斡旋を始めました。ただ、会社全体の業績が振るわず、既存事業の存続が危ぶまれてしまったのです。そこで私が選択肢として選んだのが、MBO(自社買収)をして独立することでした。もちろん客観的に見ても、他の選択肢の方が妥当で現実的だったかもしれません。しかし、いくつか選択肢のある中で最も困難な道を選ぼう、そう決めていました。ここでも持ち前の好奇心が働いたのかもしれませんね。結果、会社経営をする中で多くの苦労や困難もありましたが、2017年には東証マザーズ上場も果たし、当社は成長し続けることができています。

変化し続けながら辿り着いた、CGSというビジネスモデル

MBOをする前から、事業については構想を練っていました。特に、2007年当時は団塊世代の定年退職が叫ばれ、今後の労働力不足が問題となっていたのです。また当時はインターネットサービスが増え始め、ビジネスでも活用しようという動きがありました。社会課題である「労働力不足」、生産性向上に今後欠かせない「インターネット」、そして既存事業のターゲットであり、今後の労働力創出の対象ともなる「主婦」。この3つのキーワードを掛け合わせてスタートしたのが、主婦の労働力(在宅ワーカー)を活用したBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業です。
BPO事業では企業から受託したデータ入力等の業務を在宅ワーカーへ委託していたのですが、利益率が低いこと、何より社員が疲弊してしまうことが1番の問題でした。業務委託まではスムーズなものの、企業が満足のいくクオリティを担保するために、委託した業務を完璧にチェックするなど、当社側が行うべきことが非常に多かった。「これでは労働力不足解消どころか、自分たちが壊れてしまう」。そう思い、次にクラウドソーシングを始めました。しかし、在宅ワーカーと企業のマッチング事業を当社が行うものだったのですが、実際在宅ワーカーを積極的に活用しようという企業が当時少なく、上手くいきませんでした。
そして最終的にたどり着いたのが、BPO事業とクラウドソーシング事業を掛け合わせた「CGS(Crowd Generated Service)事業」です。これまでは在宅ワーカーの労働力をそのまま企業へ提供していたのですが、簡単にいえばCGSとは当社の在宅ワーカーを活用し、SaaSサービスを多くの企業で利用してもらい、利益を拡大するというビジネスモデルです。その結果、入札情報を一括検索する「NJSS」や幼稚園や保育園向けのオンライン写真販売サービスの「えんフォト」、会社・事務所の電話の一次取次を代行する「fondesk」など、様々なビジネスが生まれました。こうした試みは、在宅ワーカーを多く保有し、その活用ノウハウをBPO事業にて蓄積している当社だからこそできたと自負しています。
また、在宅ワーカーを活用することは労働力のコスト削減にも繋がっています。例えば、終日多くの派遣アルバイトを活用すると、彼らに給料以外の手当、具体的には交通費、そして働く場所を提供しなくてはなりませんよね。しかし在宅ワーカーはオフィスに出社する必要がなく固定費がかからないため、その分のコスト削減が叶います。人間の仕事がAIやロボットに取って変わると言われて久しいですが、ITが進化する度に、人力だからこそ価値が高まる仕事というのも増えていきます。今後は主婦以外の労働力創出の仕組み化も促進し、労働力不足解消にますます寄与していきたいです。

大学生へのメッセージ

当社はとにかく企業カルチャーを大切にしている会社です。社員をファミリーだと捉えているからこそ、指摘しづらいことも指摘し合ったり、包み隠さずノウハウを共有したりすることで、ビジョンの達成を目指しています。会社にはそれぞれのカルチャーがあり、会社の数だけその色が異なると思っています。だからこそ、しっかりとカルチャーフィットした人材を求めていますし、ぜひ学生さんには本気でフィットする会社を選んで欲しいです。ビジネスの世界で成功したいと思っている学生さんがどれほどいらっしゃるか分かりませんが、断言できるのは「学歴」は全く関係ないということ。この通り、私が証明していますから(笑)。学生時代はインプットの多い期間だと思いますが、社会に出たら知らないこと、やったことないことも、とにかくアウトプットの連続です。そのエネルギー源はきっと好奇心だと思うので、色んなセンサーを働かせて、楽しみながら成長してくださいね。

学生新聞オンライン2023年5月24日取材 慶應義塾大学4年 伊東美優

慶應義塾大学4年 伊東美優 / 上智大学2年 網江ひなた / 専修大学4年 竹村結 / 立教大学4年 須藤覚斗

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