テリー伊藤 コラムVol.6 楽しい古着は面白い!

私の楽しみは仕事帰りに古着屋さんに寄ることだ。お酒好きの人なら帰りに一杯と行きつけのお店に行くところだが、お酒の飲めない私は古着屋さんに夜な夜な出没する。会社のある恵比寿から、中目黒の「ジャンテーク」に向かうのがルーティン。この辺りは洋服屋さんが乱立しているが、ここは別格!他のお店では絶対に手に入らない商品がたくさんある。オーナーの内田さんが変態過ぎるほどマニアック。2ヶ月に一度買い付けのためロサンゼルスからニューヨークまで飛び回ってくる。

商品がとにかく楽しい。例えばブロードウェーの舞台で使用していた西部開拓時代のカーボーイ衣装、貴婦の衣装、更にはピエロや囚人服、牧師の衣装、炭鉱で働く労働者のヘルメットまであるのだ。
普通の古着店は格好良く着こなせるアイテムをディスプレーするものだが、このお店は飾ってない。勿論一般受けする洋服も売っているが、私のお目当ては唯一無二の服、あまりに奇抜過ぎて街で着れないため売れ残っている商品だ。そうなると私の出番!心得たもので、担当の大塚さんが「テリーさん!抑えて置きました!」と出してきたのは童話の王子様が着ていそうなジャケット。確かにこれは誰も買わないだろう。しかし私、一瞬で気に入りました。「70歳過ぎてなに着ているんだ!」の声も聞こえてきそうだが気にならない。最高に面白い!
そうなんです、歳を重ねるたびに「変で、面白くて、楽しい服」がどんどん好きになってくる。カッコイイ服、女性に好感度が高い服、ブランド服に全く興味がないのです!

それより、時にはニューヨークで冬を過ごすホームレス、ある時はアラブの謎の大富豪、関西の怪しいおっさんになって街を歩きたいのだ。
先日も2サイズ大きな古着のツイードジャケットを購入して、いきなり洗濯機と乾燥機に放り込むこと3回。ボロボロになったジャケットを着てお出かけ!これが実にいいのだ。刑事コロンボのヨレヨレコートみたいで哀愁がある。
調子に乗って、結婚式の定番、燕尾服も洗濯機にぶち込んでみた。これまた最高の出来上がり。自分でもビックリ。後ろのクチャクシャになったペンギンテールが渋い。ヨレヨレ燕尾服姿はロンドンのパンクファッションを彷彿させる仕上がりになった!襟にユニオンジャックのワッペンを付ければ完璧!

私の勢いは止まらない。今後は各国の民族衣装を着たい。まずはドイツの山岳地帯の衣装から。英国、フランス、イタリアの民族衣装も楽しそう。パイレーツ・オブ・カリビアンでお馴染みの海賊ファションを絶対に着こなしたい。当分古着屋さん巡りはやめられそうもないね!

テリー伊藤(演出家)

1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。
2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。
テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。
その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。
著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。
演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。
YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ
LALALA USAでコラム連載中
https://lalalausa.com/archives/category/column/terry

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