文部科学省 官民協働海外留学創出プロジェクト 「トビタテ!留学JAPAN」 プロジェクトディレクター 荒畦 悟

日本の未来のために、「飛び立つ」留学生を官民で支援!

文部科学省 官民協働海外留学創出プロジェクト
「トビタテ!留学JAPAN」プロジェクトディレクター 荒畦 悟(あらうね さとる)

■プロフィール
上智大学外国語学部卒業後、人材事業会社、専門商社、外資系IT企業の3社で約13年間採用に携わり、2014年より官民協働海外留学創出プロジェクト「トビタテ!留学JAPAN」創業メンバーとして参画。現在はプロジェクトディレクターを務める。

学生時代から自分や組織が成長する楽しさを知り、社会人では人材育成の経験を積んだ荒畦さん。越境体験の重要性を考え、「トビタテ!留学JAPAN(以下、「トビタテ!」)」に携わる。「トビタテ!」のフラッグシップ事業である「日本代表プログラム」を通じて、座学だけでなくスポーツや芸術など多様な人材を世界に送り出している。そんな荒畦さんにお話を伺った。

学生時代に学生団体の活動をしていて、自分自身が成長できる楽しみを知ることができました。社会に出ても成長できる会社が良いと思い、リクルートに入社しました。在籍期間は3年ほどでしたが、企業の人事採用などさまざまな仕事をしました。その後、Googleで働いたことが人生の転機となり、「トビタテ!」につながっていきました。
Googleでは新卒エンジニアを採用する仕事をしていたのですが、そこで気付いたことがありました。エントリーするのは日本人よりも圧倒的に中国人やインド人が多かったのです。それを見たときに、エンジニアという特定の領域ではありますが、数でも勝てないしマインド的にもアグレッシブさも違うと感じ、グローバルという観点で日本の人材に危機感を感じました。
そのようなときに「トビタテ!」を知りました。自分がこれまでやってきた新卒採用等の経験を生かすことができ、国の人材教育に携われるというところにやりがいを感じ、2014年4月に「トビタテ!」に転職しました。

■教育の仕組みをゼロから作る

「トビタテ!留学JAPAN」は、留学計画を学生自身が作ることができます。また、国内でもインターシップが重要視されているなかで、海外留学においても座学だけでなくインターン、フィールドワーク、ボランティアなどの実践活動を重視し、支援しています。選考基準は語学力や成績よりも好奇心、情熱、独自性です。その理由はできるだけ多様な意欲ある人材を海外に送り出したいからです。
このように、今の日本に足りない新たな人材育成の仕組みを作ることは、本当にさまざまな苦労や葛藤がありました。民間から寄付を頂き、文科省と独立行政法人日本学生支援機構の中で事業を運営するという官民協働のプロジェクトです。支援対象者である大学生や高校生らとも直接接点を持ち、同窓組織(コミュニティ)も作っていくという他に類のない画期的なプロジェクトです。それをゼロから立ち上げるところに難しさがありました。結果としてトビタテ第1ステージでは約120億円という莫大な寄附金を集めることができましたが、年間約1500人を採用して海外に送り出すという規模感にも苦労しました。

■留学は自分を成長させる

私は高校生の頃に1週間のホームステイをしました。しかし、大学では留学するチャンスはあったのに、学生団体の国内での活動に夢中になり留学はしませんでした。そのことを今でも後悔しています。居心地がいいコンフォートゾーンから抜け出す越境学習は、新しい可能性が見出され、鍛えられるので成長することができます。その最たるものが留学です。語学ができる、できないにかかわらず、できるだけ早く留学することをお勧めします。
若いころは、さまざまな選択をしなくてはいけないことがあります。日本の常識が世界の常識ではないことに、できるだけ早く気付いた方が可能性が広がります。生まれた場所や所属している組織で息苦しさを感じたときに、世界に出てみるといろいろな生き方や考え方、働き方があると知ることができるのです。そうすることで生きる選択肢が広がるので、できるだけ早くそれに気付いてほしいです。留学の価値は、違う価値観や選択肢を知るところにあります。
大学で長期留学するためには、高校生の段階で留学した方がいいと思っています。しかし、高校生は大人の賛同や価値観の違いで乗り越える壁が大学生以上に高いのも事実です。そういう背景もあり、「トビタテ!」は高校生への留学支援を強化していきます。

■中高生へのメッセージ

中高生には「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム(2023年度からは新・日本代表プログラム)」に関わらず、選抜があるものに是非挑戦することをお勧めします。
プログラム等の合否は、もちろん気になることですが、それ以上の効果があると思います。自分の夢や目標を考え、応募用紙に書きますが、その経験自体が尊いのです。問われなければ何も考えず、時間が過ぎていってしまいます。自分の人生や将来のことを考えたりする良い機会になるのでぜひ挑戦してほしいです。
また、応募することをできるだけ多くの人に発信、共有することも重要です。発信し、自分の夢を聞いてもらうことで応援してくれる人が現れるかもしれません。一人でも応援してくれる人が見つかったら、それは人生の応援団を見つけたに等しいのです。こういうプロセスを通じて自分の夢を語ってフィードバックを貰うことはとても貴重な機会です。応援してくれる人から、自分の次の考えにつながるご縁を紹介してもらうことも実際にあるので、合否を気にせず是非チャレンジしてみてください。

トビタテ!留学JAPAN」って何!?

「社会にイノベーションを起こす グローバル探究リーダー」を目指す! 
そんな高校生のための海外留学支援制度です。
トビタテ! 留学JAPAN の「新・日本代表プログラム」では、返済不要の奨学金や研修等を通じて、高校生の自由な海外探究活動を産・学・官協働で支援します。
4月に新高校1年生、新大学1年生を募集中!

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中高生新聞2024年4月1日発刊号 日本大学2年 米満光里

慶應義塾大学4年 伊東美優/国際基督教大学1年 渡邊和花/国立音楽大学3年 岡部満里阿/日本大学2 年 米満光里/国際基督教大学1年 若生真衣

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