JRA日本中央競馬会 騎手 武 豊

目の前のレースに勝つために、今できることを全力でやり続けたい

JRA日本中央競馬会 騎手 武 豊(たけ ゆたか)

■プロフィール
1969年京都府生まれ。1984年JRA競馬学校へ入学。1987年3月1日、騎手としてデビューし、3月7日にダイナビショップに騎乗して初勝利をあげる。1995年、史上最速・最年少で通算1000勝達成。2002年、史上最速・最年少で通算2000勝、JRA新記録(世界タイ記録)となる1日8勝を達成。2005年、ディープインパクトとのコンビで皐月賞、日本ダービー、菊花賞を制し、史上2例目となる無敗での牡馬3冠を達成。その後も勝利を重ね、2018年には前人未到の通算4000勝を達成し、現在も活躍し続けている。

■騎手を目指されたきっかけは何ですか

父親が騎手だった影響で幼少期から騎手を志していました。競馬学校に入学してからは、競馬の仕組みやプロの騎手としての役目など、競馬の奥深さをたくさん学びました。
勉強を続ける中で、「騎手一本で生活しよう」とすんなり覚悟も決まりました。

■長年、最前線で活躍できる秘訣は

今年で騎手生活38年目を迎えますが、ここまで長く続けられたのは、やはりこの仕事が好きだからだと思います。
多くの競馬関係者がいる中で、馬と一緒にゴールを駆け抜けられるのも、勝ったときに何万人ものファンからの声援を浴びられるのも騎手だけの特権です。その瞬間は何事にも代え難いですね。
もちろん、人気の馬に騎乗する際は緊張しますが、プレッシャーがマイナスになることは一切ないです。プレッシャーを感じるほど人気の馬に乗れるのは期待されている証拠ですし、アスリートとして緊張感をもてるのは素晴らしいことです。もちろん、時には成績が振るわない日や怪我をして騎乗できない日もあります。でも、この仕事をやめようと思ったことは一度もありません。その理由は、馬を用意してくれる馬主さんや調教師の先生、そして応援してくださる競馬ファンの皆様が自分を待ってくれているからです。多くの人に支えられているからこそ困難なことも乗り越えられるのだと思います。

■メディアにも積極的に出演される理由は

競馬はファンの存在があってこそ成り立つものです。ファンの獲得のために、メディアへの出演オファーがあれば、積極的に受けるようにしています。ただ、残念なことに日本には競馬人口はそんなに多くありません。まだ競馬を見たことがない方や競馬場に行ったことがない方、そして競馬に対して良いイメージを持っていない方もたくさんいらっしゃいます。そういった方たちのために、まずは「競馬を見に来て、楽しんでほしい!」という想いとともに、目の前のレースに勝つために、今できることを全力でやり続けていきたいと思っています。

■学生へのメッセージを

若いうちに夢を持ってほしいと思います。夢を持つとワクワクすることが増えます。
すべての夢が叶うとは思いませんが、努力すれば夢に近づくことはできます。その過程でいろんなことを学んでほしいです。

学生新聞2024年4月1日発刊号 武蔵野大学4年 西山流生

中央大学2年 亀井義和喜/国際基督教大学1年 若生真衣/武蔵野大学4年 西山流生

撮影:伽賀隆吾

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