株式会社ドムドムフードサービス 代表取締役社長 藤﨑忍

39歳で働き始め、社長へ。大切にしてきたのは「他者の尊重」

株式会社ドムドムフードサービス 代表取締役社長 藤﨑忍 (ふじさき しのぶ)

■プロフィール
1966年東京都生まれ。39歳の時に就職経験ゼロの専業主婦から渋谷109のアパレルショップ店長を務め、東京・新橋で2店舗の居酒屋を経営した後、2017年ドムドムフードサービスに入社。2018年同企業の代表取締役社長に就任。

日本初のハンバーガーチェーン店であるドムドムフードサービス。独自性のある事業展開で地域の人々に愛され続けている。現社長の藤﨑忍氏は2017年11月に入社し、9ヶ月後社長に就任。21歳で結婚をし、39歳で働き始めた藤崎氏のキャリアや価値観、そして同社の魅力についてお話を伺った。

学生時代は、恋愛を頑張っていました(笑)。夢がお嫁さんだったので、短期大学の児童学科に入り、入学後すぐに12歳上の国会議員秘書をしていた夫と交際を始めました。夫との出会いは、私の実家が地方政治家一家だったことから、夫が私の父の事務所に出入りをしていたことがきっかけです。夫は所作やマナーにとても厳しく、婚約期間は結婚するか迷うこともありましたが、夫を支えたいと決意し、21歳で結婚をしました。学生時代はその傍ら、母校の高校のハンドボールのコーチや東京都議会議員である父とその後区議会議員になった夫の手伝いに奮闘していました。

■短大卒業後から居酒屋を起業するまでの経緯

23歳の時に息子を出産した後は、私立の幼稚園へ入学させたり、小学校受験させたりと育児に専念しました。しかし、2005年の7月、私が39歳の時に夫が落選と心筋梗塞を患い、私が働かざるを得なくなりました。翌月には、友人の紹介で渋谷109の店舗に入社をし、働き始めました。派手なファッションや過激な言葉を使う若者に驚きながらも、彼女ら付き合っていくうちに、誠実さや優しさに溢れていることを知り、自分自身が限られた観念の中で生きていたんだと感じました。ここで物事を多面的に見ることを学びましたね。さらに、頑張れば頑張っただけ数字として結果が出る商売に面白さを感じていました。具体的にやったことは、「年商何億円」という目標を掲げるのではなく、店舗の汚いところを掃除するなどですね。目の前の課題を、一つずつ解決することが、年商2億に繋がったと思います。

しかし業績が良くなったことで、44歳の時に経営方針の変更から辞めざるを得なくなりました 。私はビジネスについての知識はありませんから、料理好きを生かし、居酒屋でアルバイトを始めました。同時に就職も考えましたが、この居酒屋に就職は考えていませんでした。44歳の何のスキルも持たない私ではいただける賃金に限りがありますよね。それでは夫と子供を養うことができないと思い、居酒屋を起業することにしました。そして起業して1年後には来店を断ることほど満席が続き、隣に2店舗目を開きました。

当社に携わったきっかけから社長就任までの経緯

自分で居酒屋を起業して4年ほどたったときに、常連客のレンブラントホールディングス専務(現社長)から、ドムドムハンバーガーの事業承継するにあたり商品開発の手伝いに誘われたことで、当社に関わりを持ち始めました。2017年7月に顧問契約を結び、月に数回の会議と商品開発に携わりました。そして9月に正社員として入社し、3ヶ月店長を経験した後、東日本地区のスーパーバイザーを務めました。その後、一期目の決算結果が思わしくないこと、コミュニケーション不足の会議体、不明瞭な企業指針などの改善が必要と感じ意見の言える立場:役員になるしかないと考えました。申し出た時は勿論断られましたがその後アプローチを続け2017年8月熱意が届き社長に就任することになりました。

■大切にしているマインド

仕事をするときは、和をもってことを運ぶように意識しています。思いやりのある言葉がけをしながら、議論を重ねた上でことを運ぶ。他者を尊重し、自分のやり方が正しいと思い込むことなく、自分の価値観を押しつけないことを意識しています。

■当社の魅力と今後の展望

当社1番の魅力は、日本で1番古いハンバーガーチェーンとして、お客様や従業員から長い間愛されて育ってきたことでしょう。手の込んだ工程で作るハンバーガーの提供は、ドムドムだからできることだと思います。コアコンセプトである「美味しいのはお客様との最低限のお約束。」を守り続けているのです。それ以外の魅力は、枠にとらわれないお客様とスタッフに寄り添ったブランディング力だと思います。例えば、コロナ禍真っ只中には、従業員を守るためのマスクを一早く作り、店舗で販売しました。しかし、買いに来るお客様が長蛇の列を作ってしまい、密状態になったので、すぐに取りやめました。すると、ECサイトで売って欲しいと声が上がり、10日でECサイトを作りマスクを販売し、17万枚売り上げました。今ではぬいぐるみやアクセサリーの物販をしています。このように私たちはお客様やスタッフに寄り添いながらブランドを構築することに重きを置いています。これからもお客様にとってオンリーワンの店舗作りを目指し、日々お客様と従業員のご要望に応えながら、思いやりのある事業を展開していきます。

■どんな人と働きたいか

人は十人十色なので、決まって画一的なものを持った人を採用するという感覚はありません。多様な人がいた方が面白い会社になると思います。強いていうなら、自分がやりたいと思ったことをやる人と働きたいです。

■大学生へのメッセージ

自分の可能性は無限大だから、壁を作らず、まずやりたいと思ったことをやって欲しいです。高い目標を持たずとも 目の前のハードルを一歩一歩超え続けたなら いつの日かかつて想像できなかったところに到達すると思います。 また、「あばたぼえくぼ」を自分にも持って欲しいと思います。自分の悪いところばかりに着目するのではなく、例えば良い笑顔や良い友達がいるなどの長所を見つけ、自分を愛でて生きてほしいと思います。

学生新聞オンライン2024年2月28日取材 日本大学 1年 大森雨音

玉川大学 1年 川口英莉 / 慶應義塾大学 4年 伊東美優 / 上智大学短期大学部 2年 大野詩織 / 日本大学 1年 大森雨音/ 立教大学 3年 緒方成菜 / 慶應義塾大学大学院 2年 賀彦嘉

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