カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 髙橋誉則

社会の原動力は「人」。だからこそ、人を元気にする会社を作りたい

カルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO 髙橋誉則(たかはし やすのり)

■プロフィール

1973年東京都生まれ。1997年にカルチュア・コンビニエンス・クラブ株式会社(CCC)新卒入社後、FC事業本部で人事リーダー職を経て、2006年に自ら社内起業した株式会社CCCキャスティング代表取締役社長に就任。CCC執行役員、株式会社TSUTAYA常務取締役などを歴任。2018年3月末CCCを退社。3年間の主夫を経て、2021年4月にCCCに復帰。2024年4月よりCCC代表取締役社長兼CEO。

Vポイントによるマーケティング事業やTSUTAYAなどの書店運営、地域創生からヘルスケア事業まで、さまざまなビジネスモデルで名を馳せるCCCグループ。数々のサービスを通じて、新しいライフスタイルの提案を行なっている。新しい価値や場を提案し続けるCCCの髙橋誉則代表取締役社長に、ご自身の経歴やその価値観について伺いました。

■バイトに明け暮れた学生時代

大学生時代は、ほとんど学校には行かず、神宮球場の雑踏警備のバイトをしていました。1年間のうち、350日はアルバイトに時間を費やしていましたね。社員が少ない会社だったので、アルバイトを戦力化しないといけない。そこで、現場のリーダーを任されていたので、責任重大でした。「僕が行かないと野球場が開かない」とすら思うほどでしたから。今思えば、期待されて、適切な量やサイズの責任を与えられると、人の原動力になるのではないかと思います。このバイトを通して、人を率いるリーダーシップやマネジメントの根幹の部分に触れました。もはやサークルみたいな感覚だったので、仲間と楽しく仕事ができるし、学ぶ部分も多いし、お給料ももらえる一石三鳥のような場所でした。

■入社試験の時に感じた、CCCの自由な社風

就活は3社くらいしか受けませんでした。その中でも、CCCの入社試験は定型フォーマットがないのが印象的でした。「自分を表現してください」というテーマで白紙を渡されたとき、私は野球場の仕事について書いて提出したのですが、その入社試験を通じてCCCの自由な社風を感じ、波長があうと思いました。
入社後、約30年間のキャリアの中で、現場から人事、企業経営を約3分の1ずつ携わってきました。入社当時から人事に携わりたかったのですが、その理由は、CCCでの仕事を通じて、社会の動きは人が原動力だと感じるようになっていたからです。自分たちの仕事で人を元気にしたいし、それがCCCの根幹であってほしい。だから、人と最も関わる機会が多い人事を希望していたのです。

■娘と寄り添うため、主夫になってキャリアも中断

個人能力として優秀な人は沢山いる中で、心がけていたのは「何をやるべきか」を考えること。「このシチュエーションになった時に、何をやるべきか」を常に考えるようにしていました。
例えば、自分のキャリアを形成する中で、主夫になるため、会社を一度退いたことがあります。その理由は、娘がダウン症だと知って、娘に寄り添う時間を作りたかったからです。障がいに対してはいろんな支援が必要になります。娘が生まれた瞬間から、見守り環境、就労環境、さらには経済的に国に頼らず生きて行ける方法を考えるため、配偶者と役割分担しながら育てることを決めます。仕事のキャリアは自分でやり直せます。でも娘に寄り添わなかったら、その期間は戻ってこない。
その後、3年間の主夫生活を終えて、CCCに戻ってきました。他の会社に行くという選択肢もあったと思いますが、復帰前の自己分析を通じて、「やっぱり自分はCCCが好きだ」と感じたため、この会社で再び働きたいと強く思いました。

■自分ならではの「軸」のある人と一緒に働きたい

人は会社のエンジンだと思うので、人とどうやって信頼関係を築けるかが非常に重要な要素になります。一人ひとり違う中で、自分としての価値観や軸を持っている人と働きたいですね。社会でいろんな人に会う中で、自分の軸がないと影響を受けすぎてしまいます。しっかりした土台がないと、その上に2階、3階と家を建てることはできません。自分の新たな付加価値を積み上げていくためにも、基礎となる強いバックボーンを持ってほしいです。
そして、過去の経験から何を学んだか、という体験や経験を言語化できる人が望ましいです。抽象的なものをいかに構造分解し、再現性を持たせることは、仕事において極めて大切だと思います。また、環境に依存しすぎず、他責にせず、自分や社会と対峙することも重要な要素だと思います。

大学生へのメッセージ

社会にでると多様な人たちや価値観とたくさん出会います。学生時代より、自分を守ってくれる存在は少なくなるので、心配になるかもしれません。でも、その中で、多くの仲間に出会うでしょう。その中には、尊敬できる人や志高い人たちとも巡り会えます。心細いことがあっても「自分一人じゃないんだよ」と伝えたいです。
現在できることとしては、アウトプットの習慣を持ってほしいです。自分の考えは、言葉にしないとなかなか伝わりません。そのため、わかりやすく伝えることは、人への親切です。自分の考えや学んだことを、構造化や図形化、文字化し、整理して伝えることを意識してみてください。時間は平等です。アウトプットの質を意識してアップデートすることを若い時から繰り返し、10年経った時、何もしなかった人とは大きな差がついているはずですから。

学生新聞オンライン2024年4月11日取材 慶應義塾大学 3 年 塚紗里依

立教大学 4 年 緒方成菜 / 日本大学 1 年 大森雨音 / 慶應義塾大学 3 年 塚紗里依 / 中央大学 3年 亀井義和喜 / 上智大学 3 年 白坂日葵 /
慶應義塾大学 3 年 松坂侑咲

撮影協力:下田航輔

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