テリー伊藤 コラムVol.26 男子家を出ずれば七人の敵あり
ことわざに「男子家を出ずれば七人の敵あり」とあるが、敵とまではいかないが、毎日生活していれば試練はある。
夏日が増える中、街に日傘の女子が増えている。これが厄介なのだ。日傘の先端が丁度私の顔の位置。雨傘の場合はこちらも傘で防備できるが、私は日傘はさしていない。先日、話に夢中の日傘女子二人組が並んで向かって来た。私の存在に気付かず、傘先が私の顔に激突。痛いの何の。そのまま去って行った。ひどい話だ。試練は続く。東京駅で急にトイレに行きたくなり慌てて駆け込んだのはいいが、個室の方は順番待ち。やっと入ったら先客が流し忘れ…。何が悲しくて見なくちゃならないのか。世間は怖い。何処に怒りをぶつければいいのか。私は朝の公園を散歩するのが好きだ。早朝の爽やかな木漏れ日は気分を穏やかにしてくれる。しかし、ワンちゃんの糞を踏んだ日は辛い、辛過ぎる。突如一日がブルーな気分に。そのまま公園の水道で靴底を洗う。これは切ない。
ところで、最近の車、大き過ぎないか。車幅1900cmあるSUV車もざら。先日スーパーマーケットに行った時、空いていたスペースの両サイドに大型車が駐車してあった。やっと駐車出来ても車から出るのにひと苦労。食料を買って戻ってきてもドアが開けづらい。試練は続く。映画館での出来事。指定席の隣り合わせの女性の香水が強烈な臭いを放っていた。頭がクラクラ思考力が薄れる。気になり過ぎて映画にのめり込めず内容も途切れ途切れ。こんな時はどうしたら良いのか。試練は終わらない。帰宅時間の住宅街を走行していると、バスから降りた乗客が、バス前方から車線を超えて走り出し反対側の歩道に。これは怖すぎる。停車しているバスを右側から抜こうとした瞬間に突然飛び出してくるのだ。家に帰りたい気持ちは分かるがこれはやめて欲しい。最近のマナー違反の電動キックボードや自転車も、ドライバーにとって命が縮む思い。
最大の試練は。明らかにカツラだと分かる人と面と向かって話す時。本当に目のやり場に困る。しかもズレている。これはまずい。打ち合わせ中ず~っと見てしまう。「このカツラ何処で購入したのか。値段はどの位か。家族、友人のアドバイスはなかったのか。」妄想が止まらない。疑問は増すばかり。「いや待てよ、これって、先方さん自ら不自然なカツラを使って私の人間性を試しているのではないか。だったら大物過ぎる。」
世間には七人の敵が居ると言われるが…もっと多いかも。一瞬たりとも油断は禁物。伏魔殿のような世の中、気を引き締めて生きなくてはいけない。
テリー伊藤(演出家)
1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。
2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。
テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。
その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。
著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。
演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。
YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ」
LALALA USAでコラム連載中
https://lalalausa.com/archives/category/column/terry
この記事へのコメントはありません。