テリー伊藤 コラムVol.12  タータンチェックで公園に行こう

NHKラジオの園芸番組で面白い話をしていた。ゲストの女性園芸家が30年前に英国式庭園の勉強にイギリス留学をした時の話だった。日本ではその当時DCブランドの黒い服が大流行していて、彼女も得意気に全身真っ黒なファションで毎日庭園に行っていたらしい。ある日、顔見知りになった高齢の女性から声を掛けられた。「庭園に咲く草花と同じような明るい色の洋服を着てみたらどうですか?きっと花達はお友達と思って話かけてきますよ。」と言われ、改めて周りを見渡すと英国人はピンク色、水色、オレンジ色、淡いラベンダー色の服を着ていたそうだ。以来、明るい色の洋服に着替え、花と身近になったことを楽しく話していた。

確かに自然界に「黒い花」は余り見かけない。四季を通しても、梅、桜、コスモス、紫陽花、チューリップ、ひまわり、南の島に咲くハイビスカス等私の好きな花は皆色鮮やか。黒色の花が思いつかない。なので、花達は黒服に馴染みが無いかも。花好きのイギリス人らしいエピソードだが納得してしまう。

全身黒ずくめのファッションは今も大流行している。都会を歩いても、地方都市を訪れても、公園を散歩してもビックリするほど沢山の黒ファッションの方を見る。確かに黒でトータルすると失敗も少ないし着回しも出来る。着こなしをさほど気にしなくて済むし他人からオシャレに思われる。そんな理由からいつの時代も黒色が流行の中心にいるのも分かる。特に若い頃は黒で決めて見たくなるものだ。私も30代はお金も無いのに無理してヨージ・ヤマモトやコム・デ・ギャルソンの黒い洋服を着ていた。

とは言っても、最近見かける親が子供に黒を着せるのはどうなの。キャンパスに絵を描く絵具やクレヨンには、沢山の色を使ったり、馴染んだり、混ぜたりして「色の変化の面白さ」や「色彩と出会う大切さ」がある。色を知る事がどんなに楽しい事か。これって洋服にも言えるのでは。

私からのお勧めは、取り敢えず楽しい色を着倒すこと。同色系で合わせる必要も考える必要は無い。クリスマスシーズンもやって来る。色多彩なタータンチェック柄は絶対にお勧めです!タータンには沢山の種類があり、アウターに良し、パンツやスカートもOK、手持ちの黒服との相性も抜群。私、既に冬に向けて赤タータンチェックのパンツ購入済み。これで朝の散歩路、花達との会話は弾みます!気分が乗ったら一緒にラブソングを歌う事も予想されます。皆さんもどうですか、チャックのマフラーで公園に出掛けてみませんか。素敵な出会いが待っていますよ。

テリー伊藤(演出家)

1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。
2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。
テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。
その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。
著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。
演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。
YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ
LALALA USAでコラム連載中
https://lalalausa.com/archives/category/column/terry

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