株式会社ヒノキヤグループ 代表取締役社長・CEO 近藤昭
枠に囚われるな。何事にも興味と疑問を持とう
株式会社ヒノキヤグループ 代表取締役社長・CEO 近藤昭(こんどうあきら)
■プロフィール
1967年兵庫県神戸市生まれ。慶應義塾大学卒業後、大手生命保険会社や外資系保険会社勤務を経て、2001年に株式会社ヒノキヤグループの前身である株式会社東日本ニューハウスに入社。専務取締役、副社長を経て、2009年株式会社桧家住宅(現・株式会社ヒノキヤグループ)代表取締役社長に就任、現在に至る。
従来の概念を覆す住宅用全館空調システム「Z空調」を生み出した、ヒノキヤグループ。看板商品であるZ空調の魅力を世の中に発信し、多くの人に理想の家を届けている。現社長である近藤昭氏は、32歳のころ、全くの未経験で住宅業界に飛び込んだ。そんな近藤昭氏の学生時代から社長に就任するまでの経験、Z空調開発までの道のり、家づくりや仕事に対する思いについて伺った。
■全ての経験が今につながっている
学生時代はサークルやアルバイトに力を入れ、多くのスポンサーをつけたイベントも開催していました。このような経験を通して、自然とお金儲けやブランディングについて学んでいたのかもしれません。また、私の時代は、景気がよかったものですから、1ヶ月ほどアメリカにもいきましたね。そこで、見たものや感じたことは今でも鮮明に覚えています。
大学卒業後は、保険会社に就職しました。いわゆる日本の昔ながらの文化が根付いている会社で、その上司をみた時に自身がなりたい姿とのギャップを感じ、将来性も見いだせなくなり、2年ほどで外資系の保険会社に転職しました。名もなき会社でしたが、新製品を売ることにやりがいを感じて、7年間働きましたね。この会社に勤めている時に、結婚し、32歳の時、全くの未経験ではあるものの、義父の会社である当社に入社しました。入社当時から、管理職のような仕事を任されていましたが、前職でも人のマネジメント業務は行っていたので特に問題はなかったですね。当社で働き、勉強する中で、気づいたことがあります。自分では大手になればなるほど商品を安く売ることができると思っていたのですが、住宅業界は逆なんですよね。大きな会社ほど値段が高く、小さな会社ほど値段が安いことが多い。これに気づいた時は、面白いなと思うと同時に、自社では良い品質のものを良心的な価格で提供したいという思いが生まれました。
■常に変化、変革を求めている
やはり、当社の魅力はZ空調ですね。一年中家の温度を快適に保つことができ、玄関や脱衣場、廊下も温度が変わらないので、身体にも家計にもやさしい全空調です。特許も取得しています。Z空調を確立するまでには、約3−4年かかりましたね。私は、入社してからすぐ自分の家を建てたのですが、吹き抜けにこだわったところ、夏は熱く、冬は寒く、とても快適だとは言えない空間になってしまいました。どうして快適な温度に保たれないのだろうかと、ずっと考えるようになりました。
転機となったのは、現場発泡型(吹付)断熱材の会社(日本アクア)との出会いです。ちょうど、世の中的に地球温暖化が問題になり始めたころで、断熱材への注目度も高まっていました。そこで、「現場発泡型の断熱材を使えば、家の温度を快適に保ち、省エネも実現できるのではないか」と考えたんです。家を建てたこと、地球温暖化、断熱材の会社との出会いが偶然重なって、Z空調の開発に至りました。
新しいことを始める時、一番大切なことは、自分たちで考えて、こうあるべきだと思うことを実現することです。私も常に理想とする住宅を追い求めてここまで来ました。他社と差別化を図ったからアイデアが生まれたのではなく、理想の家を作ることを最優先にした結果が他社との差別化につながっていると思います。実は、これまでをふりかえってみて「大ピンチだったな」と思うことは、一度もないんです。その理由は、私が常に変化や変革を求めているからだと思います。
42歳の時、社長に就任したのですが、前社長である義父に次のように言われました。「50歳になる時、会社の売り上げを1000億、利益を50億にしてください」と。これを社員全員の前で言われたのには、びっくりしました。でも、今となっては言ってもらえてよかったと思います。当時の当社の売上は約160億円、利益は約7、8億円だったんですね。しかし、そこからがむしゃらに頑張り、経常利益50億円を達成ができ、直近では75億円になりました。これも、「理想の家を作る」という思いと、常に変化、変革を求めていたから達成できたのだと思っています。
■一緒に働きたいのは、実行力のある人
自分でよく考え、実行する人。そんな人たちと一緒に働きたいですね。日本人は、言われたことを言われた通りにやるというマインドで働いている人が多いように感じます。しかし、これでは会社が駄目になってしまうんですよ。例えば、ルールがあるならば、そのルールに意味があるのか考える必要があると思います。そこに意味があるのであれば、従う必要があります。でも、「昔からそうだから」「世の中がそうだから」という理由で、そこに疑問を持たずに従うのは違うと思うんです。思考停止に陥らず、何に対しても疑問や興味をもつ。間違っても、失敗してもいいから、とにかく考えて思いついたことはまず実行してみる。そういう人たちが会社をより良い方向へと導いてくれると信じています。
■大学生へのメッセージ
これからの時代、自分自身でしっかり考えなければいけない時代になってくると思います。日本はこれからどうなっていくのか、世の中はどうなっていくのか、どのような仕事が必要になってくるのか。このようなことについても考えなければいけません。自分が社会人になった頃は、言われたことを行えばなんとか生きてこられる時代でした。しかし、これからはそうはいきません。色んなことを考えて、どんどん実行していかないといけない時代なんです。繰り返しになりますが、何をやるにしても、思考停止に陥らず、常に様々なことに興味や疑問をもって、実行に移すことが大切です。これの積み重ねが、自分自身の成長に繋がり、新しい分野に可能性を生み出すきっかけになります。学生の皆さんには、このような姿勢を常に持ち続けてもらいたいです。
学生新聞オンライン2024年5月30日取材 国際基督教大学2年 丸山実友
立教大学4年 緒方成菜 / 国際基督教大学2年 丸山実友
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