歌手 ・俳優 阿部顕嵐

不安な未来を楽しむか、悩むか。人生はその違いで大きく変わる

歌手 ・俳優 阿部顕嵐 (あべあらん)

■プロフィール
1997年8月30日生まれ、東京都出身。
俳優としての活動を中心に、映画、ドラマ、舞台と幅広い作品に参加。
また、「7ORDER」のボーカルとしての音楽活動や、自身のオリジナル映像やグッズの企画プロデュースなど、活動は多岐にわたる。

中学1年生から芸能活動を始め、舞台やドラマ、映画など俳優として活躍し、音楽活動では「7ORDER」のメンバーである阿部顕嵐さん。前向きでブレない姿勢が印象的な阿部さんに、仕事をする上で心がけていることや今後の展望、前向きでいられる秘訣などを伺った。

■活動していたからこそ、勉強に力を注いだ学生時代

僕が中学1年生だった2010年に、母が事務所に履歴書を送ったことがきっかけでこの業界に入りました。小さい頃は野球が大好きだったので、芸能界に興味はありませんでした。当時はスマートフォンが発売されたばかりの頃で、「これを買ってあげるから行ってほしい」とお願いされ、オーディションに行きましたね。結局スマートフォンは買ってもらえなかったのですが(笑)。元々勉強が好きな方で、活動しているからこそ勉強もしなくてはいけないなという思いが強くなり、より勉強をするようになりました。この活動をしていなかったら、奔放に遊んでいたかもしれないです。小さな頃から通っていた塾に加え、予備校にも通い、学校と活動と両立していました。学生時代から、勉強と活動といった二足の草鞋を履いている感覚がありますね。大学へ行くのは親孝行からだったのですが、勉強ができるとカッコいいという想いで頑張っていました。表彰や成績上位の掲示など、やった分だけ目に見えて結果が出たことが学生時代の自信に繋がりました。

■すべての経験は、いずれ繋がって活きてくる

音楽もお芝居もダンスも、すべてが繋がっていると感じます。それぞれにリズムや流れがあるので、繋がりが見えてきますね。たとえば、お芝居の仕事で相手とやり取りをする場面では、相手を感じて返すことが大切です。その呼吸はダンスや音楽のセッションと似ていて、両者にも活きているのかなと思っています。
演技は勉強に近いと思う部分もあります。作品一つひとつのシーンには、「こう見せたい」という目的がありますよね。どこが大事なのか理解した上で、ゴールから逆算して自分がどうアプローチするかを常に考えています。ただ、全部覚えても必要ないこともあるので、いらないことは省いて、効率よく作品にアプローチするようにしています。趣味として映画を観る時も、その映画のテーマを考えながら見ることが楽しいです。
中学1年生から芸能界に入りましたが、今思えば、いろいろな大人と遭遇し、まるで社会人1年目のようでした。僕はありがたいことに環境に恵まれていたので、とんとん拍子でここまでこられたのですが、常にライバルがいる厳しい世界で戦ってきた経験は、いろんな意味で現在に活きていると思います。

印象的な作品は16~17歳の時に初主演したドラマ『近キョリ恋愛~Season Zero~』ですね。主演をとして真ん中に立つのは簡単なことではないので、仕事に対してより一層の責任感を持つようになりました。勉強もかねて演技メソッドの本を読むこともありますが、お芝居については実際に経験することが一番の勉強だなと思います。常に学び続ける姿勢を大事にしていて、「自分は上手い」と思わず、常にビギナーズマインドで取り組んでいます。これは僕の好きな禅の考え方でもあります。真っさらな状態で挑むことで、新しい知識をスポンジのように吸収でき、上達に繋がるのではないかと思います。去年出演した舞台『ラビットホール』は現実的なお芝居をもっとしたいなと思うきっかけになりました。共演者の方や演出家さん、スタッフさんなど全員が刺激的で、純粋に楽しかったですね。悔しいことも楽しいこともありますが、もっと前向きになろうと思えた作品でした。
7ORDERとして活動し始めて、人のありがたみをより感じました。CDのシーリングスタンプを一つずつ自分たちでやって梱包したことも、直接は見えない相手だけど支えてくれている人たちを感じられたよい経験だったなと思います。

■自分らしく前向きに

僕は多方面で様々な活動をしていますが、「どこに行っても自分は自分だ」という気持ちが軸にあります。場所によって求められることは違いますが、素直な気持ちで取り組み、自分がわくわくできて、自分らしくいられることを重視しています。
この仕事のやりがいであり、僕自身の生きがいは、自分たちが良いと思うことを協力して作り上げて発信し、いろいろな人に反応してもらえること。いいものを作ろうという一心で集まれるのも素敵だし、それが形として残るのも良いなと思っています。
僕は常に前向きなのですが、10代の頃は一喜一憂することも多く、落ち込むこともありました。その経験があったからこそ今は「考えていても仕方がない」という考えに行きつきました。常に前が見えない中で歩き続けているような人生を、楽しくとらえるか、悩んでしまうか。僕の場合は前者のタイプで、どちらを選ぶかで人生の方向性が大きく変わると思っています。あと、体を動かすなど、自分がリラックスできるものを見つけることも大事だと思います。「これをしたら気持ちが前向きになる」という瞬間を増やすことがおすすめです。

■今後の活動拠点として「世界」を見据える

これからは、より俳優活動に力を入れていきたいと思っています。興味があるものは何でも挑戦してみたい。特に、古典的なドラマが好きなので、大河ドラマなどの時代劇に出たい思いがあります。尊敬する俳優は真田広之さんなのですが、ハリウッドと日本のチームが手掛ける『SHOGUN 将軍』のように、国内外の作品にも挑戦したいです。
海外で活動の場を得ることができたら、日本の文化を世界に発信していきたいですね。

■大学生へのメッセージ

自分が興味のあるものは、すぐに行動してほしいなと思います。僕自身も意識しています。思い立った時にすぐ動かないとその後タイミングを逃してしまうので、「明日ではなく今日やろう」と先延ばしにしないように心がけています。20歳の時に一人旅でアメリカを周ったのですが、良い意味で怖いもの知らずだった学生時代の経験は、今に深く活きています。「何に価値を見いだすか」という自分のものさしを大切に、先のことはあまり考えすぎず、今を全力で生きていきたいです。

学生新聞オンライン取材2024年3月15日 上智大学短期大学部2年 大野詩織

立花朱音/上智大学短期大学部2年 大野詩織/中央大学2年 前田蓮峰/駒澤大学4年 本多杏衣/國學院大學1年 寺西詩音

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