株式会社エキスパート 代表取締役 七里信一

誰よりも早く行動するからこそ、勝負に勝てる

株式会社エキスパート 代表取締役 七里信一(しちりしんいち)

■プロフィール
株式会社エキスパート 代表取締役社長。東京都生まれ。
高校卒業後に自衛隊に入隊後、看板会社で大工を経験した。
その後、独立して内装業を営んだが、会社のサイトを作成したことをきっかけにインターネットのコンサルタントにシフトチェンジをした。
現在では、6500人以上の生徒が在籍している生成AIの学校「飛翔」で学長を務めている。

自衛隊、大工、内装屋など、多様な経歴をもつ七里信一氏。現在、彼は生成AIエンジニア養成学校「飛翔」にて学長を務め、生成AIプロンプト研究所を運営しており、日本の生成AI業界のトップを走っている。今回は、そんな彼に生成AI事業を始めるまでの経緯、これからの時代に必要なことや大学生へのメッセージを伺った。

小さい頃は、親が飲食店・手芸ショップ・生地屋などの店舗経営をしていたため、お店の手伝いをよくしていました。中学校の頃には、親の飲食店で店長も任されていましたね。何かを売って、感謝され、その対価としてお金をもらうというビジネスの基礎を、この時期から経験できたのは非常に良かったなと思います。今、独立しているのもこの経験があったからですね。
また、小学生の頃からパソコンにはかなり詳しかったです。小学校3年生の頃に父親が最新のパソコンを貰ってきたのが興味を持ったきっかけでした。その後すぐに、自分で本屋にいってプログラミングの入門書を買い、勉強を始めました。気づいた頃には、学校で先生に対してパソコンの使い方を教えていました。
そのような幼少期を経て、高校卒業後は自衛隊隊員になり、看板会社に務め大工を経験し、独立して内装屋を営むことになりました。
内装屋からインターネットの領域にシフトチェンジしたきっかけは、会社のサイトを作ったことです。
内装屋へ独立したのはいいものの、当初は顧客リストもないため仕事がない状態でした。そこで、もともとパソコンの知識があったので会社のHPを作ることにしたんです。2003年当時、インターネットを使えるのはお金持ちだけだったので、会社役員や会長などといった方からの依頼がたくさんきました。多い時には、1日5件も予約が入ることもありました。そして、無事に内装屋の仕事を獲得できたのですが、お偉いさんはあまりインターネットに詳しくなかったので、並行で彼らにインターネットコンサルも行うことにしました。そしたら、めちゃくちゃ儲かることに気づき、2005年ごろには内装屋の仕事をやめてネットコンサル一本に絞りました。現在は生成AI関連のサービスを取り扱う会社の代表をしています。

■誰よりも早く行動するから、結果が手に入る

生成AIを取り扱っているのは、今一番売れる商品だからです。
生成AIが出てきた時は本当に衝撃的でした。初めてChatGPTを叩いた時のことをいまでも鮮明に覚えています。「メルマガを書いてください」というプロンプトを打ち、出力され出した最初の20文字を見た段階で、私はこれを極めるために生まれてきたのだと思いました。その日中に直近数ヶ月の予定を全部キャンセルして、睡眠と会社以外の全ての時間はAIを触ることに費やしました(笑)。
私は、実はたくさんの「日本で初めて〇〇した人」という称号を持っているんですよね。今では当たり前になったメルマガに添付ファイルを付けたのも私ですし、日本で初めてコロナ融資コンサルタントをしたのも私ですし、SEO対策が出てきた時もほぼ1番乗りでやりました。先ほどお話しした内装屋さんのサイトを作ったのも、たしか日本で10番目くらいだった気がします。
このように私は誰よりも早く新しい領域を開拓するということを大事にしているのですが、これのメリットは、大きく2つあると考えています。
1つ目は、周りに知識がないことです。新しい領域というのは自分に高度な専門知識がなくとも、周りがもっと知識がないため比較的簡単にコンサルをすることができるのです。例えば、LINEが流行り出した時に、LINEの本を20冊買ってスライドにまとめコンサルをしたのですが、本の内容をまとめただけなのに非常に喜ばれました。
2つ目は、追い風が吹いているということです。新しい領域というのは市場がまだ未成熟で、これからどんどん拡大します。例えば、日本の生成AI市場は、いま大体1000億円規模の市場ですが、今後10年で1兆円規模の市場になると言われています。早いうちから市場のシェアを握っておけば、市場の成長に合わせて勝手に規模や売り上げも伸びていくという寸法です。
だからこそ私は、いいものを見つけたら、誰よりも早く学んで教える側に回るということを大事にしているのです。

■これからの時代を生き抜くためには、複数のことに手を出そう

今後、生成AIによって万人の技術レベルの差が縮まってくると私は考えています。例えば、昔は10〜20年修行してやっと一人前に家を建てられるのが当たり前の世界でした。しかし、いま道具がどんどん発展していて3年くらい修行すれば簡単に家を建てられるようになりました。これと同じことが生成AIでも起こります。ノーコードや画像生成AIなどの発展により、10年以上経験を積んだ人と2,3年経験を積んだ人の技術レベルが同じになってくるのです。結果、ホワイトカラーの仕事が激減したり、価格崩壊が起こったりするでしょう
だからこそ、読者の皆さんには、いろいろなことに手を出してみて欲しいです。いまはひとつを特化する時代ではありません。たとえ時間をかけて1つのツールや技能を極めたとしても、技術革新によって代替される可能性が高いためです。だから、一気に3つくらいのことを、本気で取り組むことを持って欲しいです。

■大学生へのメッセージ

大学生に伝えたいこととしては、2つあります。
1つ目は、とにかく誰よりも早く行動して欲しいということです。これに関しては今回の記事を通して伝わっていたら嬉しいです。 2つ目は、年配の人に好かれましょうということです。自分で言うのもなんですが、自分はかなり年配の方に好かれるタイプです。そんな僕が考える彼らから好かれるためのポイントは4つです。1つ目は、当然のこととして礼儀正しいこと。2つ目は、お礼をきちんとすること。僕は人と会う時は、どれだけ昔のことでも必ず感謝するということを大事にしています。3つ目は大袈裟に喜ぶこと。4つ目は、その人が喜ぶことを褒めること。特に、その人が自慢したいことや褒められたいことを引き出せるキラークエスチョンを投げかけると良いです。若いのだから、年配の方の力を借りていろいろ挑戦してみてください。

学生新聞オンライン2024年6月22日取材 法政大学4年 鈴木悠介

武蔵野大学4年 西山流生 / 昭和女子大学3年 竜澤亜依 / 国際基督教大学3年 中村悠琳 / 国際基督教大学2年 丸山実友 / 京都芸術大学1年 猪本玲菜 / 専修大学3年 増田音生 / N高等学校2年  石川輝 / 上智大学3年 網江ひなた / 國學院大學2年 寺西詩音 / 早稲田大学3年 湯浅克巳 / 法政大学4年 鈴木悠介 / 東洋学園大学4年 石原秀真

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