株式会社ロフト 代表取締役社長 安藤公基
雑貨でエンタメ空間をお届けする
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株式会社ロフト 代表取締役社長 安藤公基(あんどうこうき)
■プロフィール
1981(昭和56)年3月 中央大学 法学部卒業
1981(昭和56)年 4月 株式会社西武百貨店 入社
1993(平成 5 )年3月 同社 商品部 趣味雑貨ロフト部 バイヤー
2004(平成16)年8月 株式会社ロフト 商品部 ホームファッション事業部 部長
2010(平成22)年 9月 同社 梅田ロフト 館長
2012(平成24)年 2月 同社 商品部 部長
2015(平成27)年 5月 同社 取締役 執行役員 商品部 部長
2016(平成28)年 8月同社代表取締役社長 執行役員社長(現任)
様々な生活雑貨を販売し、多くの人に愛されるロフト。そんなロフトの立ち上げに携わり、今もなお雑貨を通してお客様の生活を豊かにするため日々邁進するのが、現社長である安藤公基氏。ロフトはどのような想いの元立ち上げられたのか、安藤氏のロフト愛に迫る。
■何事も直向きに取り組んだ入社当時
学生時代は、遊んでばかりいましたね。法学部で司法試験をめざしていたので、就職活動もしていませんでした。しかし、よく渋谷に来ており、渋谷西武が好きでよく通っていたので、唯一、西武百貨店を受けたんです。そして、運よく合格し、縁あって西武百貨店に就職しました。
西武百貨店に入社して、渋谷西武の趣味雑貨部門に配属されました。しかし、若かったこともあり、趣味雑貨よりは、営業企画やファッション系の仕事に興味がありました。当時の渋谷西武の趣味雑貨部は百貨店の中で地味な売り場だったんですよ。その中でも、外れにある書籍の売り場で1年半働き、その後、当時、渋谷西武の7階の売り場に異動しました。7階では、文具などを担当していましたが、あまり楽しくはありませんでした。当時の渋谷西武は、伊勢丹と並んでおしゃれと言われており、ハイブランドのお店が多くあって、ファッションでは最先端のお店でした。一方で、趣味雑貨部門は魅力がなかった。しかし、これからは雑貨の時代だということで、新しい生活雑貨の専門大店を作るために、まずは7階をリニューアルすることになったんです。私も、小さな特選文具の売り場を任せてもらいました。そこで、システム手帳を差別化商品の中心として、それに合うように革製品や万年筆を置くようになりました。初めて、自分で自由に商品を選び、レイアウトもデザイナーと相談しながら、一つの小さな売り場を作り上げる経験をしたんですね。その際、自分がしっかりと商品知識をもっているものをお客様に販売することで、初めて百貨店にきて充実した時間を過ごすことができたと感じました。その後、渋谷西武がライフスタイル型のアパレルに特化したお店を作ることになり、合わせて雑貨の売り場も作るということで、フロアのテーマに合わせた雑貨選びの仕事を1年ほどしました。他のメンバーはアパレル担当で、私だけが雑貨担当だったので、そこでの経験は本当に辛かったですね。しかし、とても勉強になった期間でした。この時の経験がロフトを立ち上げる時に大きく影響してくるんです。
■「感性」を大事にする館
ロフトを立ち上げた時、目の前のライバルはハンズ(東急ハンズ)でした。いかにハンズを凌駕するか考えていましたね。最初はやはり、敵の一番強いところに勝たなければと思い、毎日のように素材と道具の売り場を見に行きました。しかし、様々な特殊な商品と出会い、どこからこんなもの仕入れているのだろうと思うと同時に、とてもじゃないけれどできないなと思ったんです。そこで、西武百貨店の強みを生かすことに着目しました。西武百貨店の強みと言ったら、やはり感性。これをテーマにしようと決めたんです。ハンズは、都市部型のDIYセンターで用途を分けた売り場づくりが特長です。一方で私たちは、目的購買型ではなく、時間消費型のエンターテイメントある空間を作りたいなと思いました。買い物をしなくても楽しい空間、そんなエンタメ空間を作ることで、差別化しようと決めました。また、ハンズは男性や年配層のお客様が多いのに対し、渋谷西武は若い女性のお客様が多くいらっしゃいました。そこで、25歳前後のお客様をメインのターゲットにしていこうと考えました。当時からロフトのコンセプトは「時(トキ)の器」です。自らの変化を恐れず、時代のトレンドをしなやかに切り取って、それを商品や売り場を通じて常に刺激的な情報を発信する。これは、定番的な用途だけの館ではなく、感性を大事にする館にしようというロフト立ち上げ時の思いから変わらないですね。
■雑貨の老舗ブランドロフトとこれから
最近は、コラボ商品も多く販売させていただいています。様々なクリエイターさんとコラボができるのは、渋谷ロフトができてから37年、雑貨店のブランドとして知名度が高くなったことが大きいと思います。そして、全国展開できるだけのパワーがあるのも大きいですね。また、クリエイターさんの中にはロフトのファンの方も多いのも理由です。
ロフトで一緒に働きたい人材は、コミュニケーション能力と素直さを持った人です。店頭で働くにしても、商品部や本部で働くにしてもコミュニケーション能力は非常に必要です。一番伸びていくのは、素直でフットワークの良い人です。だからこそ、私はそんな人たちと共に働きたいですね。
今後の目標は、標準店舗(売り場面積200~300坪前後)の多店舗化と大型店の構造改善です。展開当初、ロフトの標準店舗はあまり儲かりませんでしたが、ある時期から一気に効率があがり、逆に大型店が厳しくなってきました。この利益を上げる標準店舗が私たちの強みだと思うんです。だからこそ、この標準店舗を多店舗化することでしっかりと会社全体の利益を出していき、そして、大型店の赤字がその動きを阻害しないように、移転や面積の適正化で、構造改善、効率化を図っていこうと考えています。
■大学生へのメッセージ
若いうちは何でもやってやるぞという気持ちが大事だと思います。常に好奇心をもって、色々なところに顔を出してほしいです。そして、皆さんはこれからどんどん大人になっていきます。しかし、「young at heart」という言葉があるように、どうか今の若い気持ちはいつまでも忘れないでいてほしいです。
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学生新聞オンライン2024年11月14日取材 国際基督教大学2年 丸山実友
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後列左から 明治大学大学院2年 酒井躍/立教大学1年 松本美沙希/城西国際大学1年 渡部優理絵/慶應義塾大学3年 松坂侑咲/上智大学3年 吉川みなみ/国際基督教大学2年 若生真衣/武蔵野大学4年 西山流生
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