iU(情報経営イノベーション専門職大学) 学長 中村伊知哉

イノベーションを起こして世の中を変える人材を育てる

iU(情報経営イノベーション専門職大学)学長 中村 伊知哉(なかむら いちや)

1984年、ロックバンド「少年ナイフ」のディレクターを経て郵政省入省。MITメディアラボ客員教授、スタンフォード日本センター研究所長、慶應義塾大学教授を経て、2020年4月よりiU学長。内閣官房、内閣府、総務省、文部科学省、経済産業省などの参与・委員を歴任。

iUではイノベーションを起こし、世の中を変えていく人材になってほしいと願い、「全員起業」を掲げて実践を通じた学びを提供している。社会の最前線で活躍する人材を育成するためには今何が必要か。世界で一番面白い大学になることを目指す中村学長に、iUのあるべき姿についてお話を伺った

◾️どんな学生時代を過ごして来られましたか

学生のとき学校に毎日通ってはいたものの、授業はそっちのけでバンド活動に熱中していました。当時はミュージシャンになろうと思っていたのですが、プロになった人たちを見ていると勝てるとはえず、表現者たちのプロデュースをする道に方向転換しました。そこでテレビ局や通信会社などの全てのルールを作っているところに行けば表現をする人たちの役に立てると考え、郵政省に行き、メディア行政の仕事をしました。その後、省庁再編を最後の仕事に郵政省を退職し、MITで客員教授、スタンフォードで日本センター所長を務めるなど、興味の赴くままに仕事をしておりました。

◾️大学をつくろうと思った理由をお聞かせください

MITやスタンフォードにいて思ったことは、“日本の問題点は大学にある”ということです。たとえば、MicrosoftもFacebookもアメリカのハーバード大学の学生が作りました。Yahoo!もGoogleもスタンフォード大学の学生が作りました。日本にはウォークマン、ファミリーコンピューター、初音ミクなど素晴らしいものがたくさんありますが、学生が作ったものは何もないのです。そこで素晴らしいものを作る学生を輩出する大学を日本でも作れないかなと思い、慶應義塾大学で新たに大学院を作るというプロジェクトをやりました。その後、新しいことができるような場を作ろうと思い、大学を作りました。それがiU(情報経営イノベーション専門職大学)です。

◾️大学の特徴について教えてください

iUの特徴は「全員起業」です。起業をすると、最初は訳が分からずほぼ間違いなく失敗します。しかし、失敗からは多くのことが学べます。当大学では、“在学中に全学生が起業にチャレンジする”ことを目標にしていますが、実は起業家を輩出することを目的とした大学ではありません。根底にある理想は、イノベーションを起こして世の中を変えていく人材になってほしいという思いがあります。世の中を
変えていくやり方はさまざまにあると思っています。また、今までは全員起業を目指す大学でしたが、これからはさらに一歩進めて“世の中を作っていく”ことを実現するために、さまざまなプロジェクトが行われている大学にしようと思っています。5年後には「eスポーツといえばiUだよね」や「ポップカルチャーといえばiUだよね」というように、そのプロジェクトで知られる学校になりたいです。そして10年後の目標は世界で一番面白い大学になることです。いわゆる普通の大学が目指すのは賢い大学や役に立つ大学ですが、iUは面白い大学を目指したいと思います。

◾️学生へのメッセージ

何が自分の能力で、その能力をどう活かしていけばよいのかわからない学生も多いのではないかと考えます。でもそれは世の中でコミュニケーションを続けていく中で少しずつわかってくると思います。これからはとても変化する社会になって行きます。ぜひその変化を楽しめる人になってください。

学生新聞2025年4月発刊号 城西国際大学1年 渡部優理絵

城西国際大学1年 渡部優理絵/法政大学3年 佐伯桜優

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