株式会社 robot home 代表取締役CEO 古木大咲
好きなことの延長線に仕事がある。自分の「楽しい」を仕事にしよう

株式会社 robot home 代表取締役CEO 古木大咲(ふるきだいさく)
■プロフィール
1979年生まれ、鹿児島県出身。21歳の頃、福岡の不動産会社にて当時は今ほど注目されていなかったインターネット集客による販売手法を考案。アパート経営サイトの立ち上げから物件売買など多くの実績を積み、2006年、株式会社インベスターズ(現: robot home)を設立。「アプリではじめるアパート経営」という斬新かつ独自のビジネスモデルを確立。不動産業界における社会的問題を解決すべく、テクノロジーを活用した様々な事業を立ち上げる。
「テクノロジーで、住宅を変え、世界を変えていく。」というミッションのもと、不動産業界の最先端を走るrobot home(ロボットホーム)。同社の創業者である古木大咲氏は、これまで数々の目標を達成し、不動産業界に新しい風を吹きこんできた。そんな古木氏の会社創業までの道のりや仕事に対する思いについて伺った。
■「弱い自分を変えたい」という思いが起業の原点
私の実家は鹿児島で土木業を営んでおり、幼少期は何不自由ない生活をさせてもらっていました。しかし、中学校3年生の時に父が他界し、生活環境が大きく変わりました。その後、高校に進学したのですが、2回の停学により留年が確定したため、高校を退学して16歳から20歳までフリーターをしていましたね。熱しやすく冷めやすいタイプだったので、多くのアルバイトに挑戦しました。
20歳頃になると、周囲の同級生が就職活動を始めて、一流企業に内定を決める姿を見かけるようになりました。それまで将来の話を一切していなかった周りの友達が、急に進路の話をするようになり、自分の将来に危機感を覚えましたね。
また、私は何を始めてもすぐに辞めるタイプだったので、弱い自分を変えたいと思うようになりました。その時に、土木会社の社長であった父のことが思い浮かびました。幼い頃、父の姿を見て、経営者とは厳しい世界だと感じていました。そして、弱い自分を変えるには、父と同じように経営者になる道を目指せばいいのではないかと考えたのです。この気持ちが、起業の原点でしたね。
中卒である自分でも、ほかの人に勝てるものは何かと考えたとき、思い付いたのが「営業職」でした。かつ、営業で圧倒的に差をつけるには、大きい金額のものを売りたい。そこで、不動産の営業にしようと決めたのです。
■50億円の売り上げのうち、半分を自分が占めるように
20歳の時、三和エステートに入社しました。営業マンとして、入りたかったのですが、中卒だったので清掃係からのスタートでした。しかし、毎週水曜日が休みだったので、水曜日だけ営業をさせてくださいと打診して、活動をはじめました。
試行錯誤の末、三和エステートで初めてマンションの建築受注工事を受けることに成功したのです。これをきっかけに、晴れて営業マンとして働くことになりました。その後、新築アパートの事業部に転属し、働く中で、「インターネットで集客することで、より売上を上げることができるのではないか」と考え、インターネット広告を始めました。そして、25歳の時には会社の売り上げ50億円のうち、25億円は自分の事業部で作るほどの成果を生み出すことができました。
だんだんと自分に自信がつき、「この会社を徹底的に大きくしていきたい」という思いから、経営者目線で会社に様々な意見を出しました。しかし、そんなことをすると、多くの場合は上司とぶつかるんですよね。意見を言っても、予算の承認が得られなかったり、意思決定が遅かったりで、いよいよ「自分で会社をやった方が早いんじゃないか」と思い、独立を決めました。
■この仕事が楽しくて仕方がない
2006年の創業後、3年後には東京、名古屋に支店を出すほどになり、順調に規模は拡大していきました。しかし、2008年のリーマンショックで一度会社が倒産しかけましたね。大きな原因となったのは、借りていた資金の早期返済です。私は営業出身であったため、財務や経理などの資金繰りに弱いのだと気付きました。そこで、財務や経理について徹底的に勉強し、在庫を持たないアセットライトなビジネスモデルを作れないかと考えたんです。
やると決めたはいいものの、売上は2009年までの3年間ずっと20億円を推移して、ほとんど伸びませんでした。やはり新しいビジネスモデルを浸透させるのが難しく、お客様に説明することが大変だったんです。そこで、次の3年間を通して業務を楽にするシステムを作りました。このシステムのおかげで、2013年には売上が100億に到達し、2015年に上場を果たしました。
上場後も、IoTを活用したスマートホーム技術の開発や、不動産管理のプラットフォーム構築など、テクノロジー投資を積極的に行い続けました。これにより、単なる不動産ビジネスではなく、テクノロジーを駆使した住宅の未来を創る企業へと進化しました。これらを成し遂げられたのは、目標を課して、達成することがとても楽しかったからです。
今後の目標は、売上を1000億にすることです。さらに、IoTとAIを活用した賃貸住宅の自動化・効率化を推進し、不動産業界における新たなスタンダードを築いていきたいと考えています。
私の原動力は、この仕事が楽しくて仕方がないという気持ちです。実際、賃貸住宅の間取り作りがとても得意なんですよ。なぜ得意なのか考えた時に、親が土木業をやっていたこともあり、昔から間取りが好きだったからと気が付きました。だから賃貸住宅に興味があるし、部屋の間取りを見ていても飽きなかったりするんでしょうね。
一緒に仕事をするなら、同じように「この仕事が楽しい」と思える人と働きたいですね。オーナーさんと接する機会が多いので、人と接することが好きな人も良いかもしれません。不動産について詳しい必要はまったくありません。この仕事を楽しいと思って働いてくれる人、そんな人と共に働けたら嬉しいです。
■大学生へのメッセージ
学生の皆さんには、毎日思いっきり好きなことをして、遊んでもらいたいです。私自身も好きなことをやってきて、その延長線に今の仕事があります。それが仕事を見つける上でベストな方法だと思うんです。だからこそ、大学生の皆さんには自分の好きなことを徹底的にやりきることを大事にしてほしいですね。
学生新聞オンライン2024年10月28日取材 国際基督教大学2年 丸山実友

法政大学4年 鈴木悠介/早稲田大学1年 村上弥礼/国際基督教大学2年 丸山実友
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