映画『雪風 YUKIKAZE』奥平大兼・當真あみ
映画『雪風 YUKIKAZE』を通して、心で受け継いだ戦争の記憶

■俳優 奥平大兼 (おくだいらだいけん)
2003年9月20日、東京都生まれ。映画「MOTHERマザー」(20)で俳優デビューし、第44回日本アカデミー賞新人賞などを受賞。近年の出演作に映画「か「」く「」し「」ご「」と「」(25)日曜劇場「御上先生」NHK夜ドラ「いつか、無重力の宙(そら)で」などがある。
■女優 當真あみ (とうまあみ)
2006年11月2日生まれ、沖縄県出身。2021年にCMでデビュー。翌年「妻、小学生になる」でドラマ初出演。アサヒ飲料「カルピスウォーター」の14代目のテレビCMキャラクターなどで注目を集める。他の出演作に「どうする家康」、「ケの日のケケケ」、「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」。2025年7月期日テレ系新水曜連続ドラマ「ちはやふるーめぐりー」で連続ドラマ初主演中。長編映画初主演となる「ストロベリームーン」が10月17日に公開を控える。
2025年8月15日公開の映画『雪風 YUKIKAZE』に出演している奥平大兼さんと當真あみさん。今、最も注目される若手実力派のお二人に、俳優という仕事の魅力から、作品に込めた想い、戦時中の人を演じるにあたって工夫したこと、そして映画『雪風 YUKIKAZE』の見どころまで、余すところなくお話を伺いました。
■歴史と向き合う決意
奥平:戦争をテーマにした作品に出演するのは初めてだったので、まずは“挑戦したい”という気持ちが強くありました。その後、監督や脚本家、プロデューサーと最初にお話しした時、その熱量に圧倒されて、“このチームでやりたい”と強く感じたのを覚えています。作品の背景にも惹かれましたし、自分自身が何を感じ、どう伝えられるかを見つめ直す絶好の機会になるんじゃないかとも思いました。
當真:最初に出演のお話をいただいたとき、「雪風」という艦のことを全く知らなかったんです。だから、まずは“知る”ところから始めました。戦時中に生きる人を演じるのは初めてで、怖さもありましたが、学びながら演じるという意識を持って、前向きに向き合えたと思います。
■経験していない時代を演じるということ
奥平:僕が演じた井上壮太は、お客さんと目線が近いキャラクターでした。だからこそ“自分だったらどう感じるか”という視点は持ち続けようと意識しました。台本を読み込んだうえで、実際に広島・江田島の旧海軍兵学校を訪れて、当時の訓練の様子や記録に触れたんです。言葉で学ぶのと“肌で感じる”のとでは全く違いました。あの場所に立ったことで、ようやく“本当にあったこと”として実感できた。その実感を軸にして、役と向き合うことができました。
當真:私は兄を戦地へと送り出す妹役でした。駆逐艦「雪風」には乗らない役柄だったのですが、戦場の空気感を想像するため、撮影では事前にいただいた映像資料を見たり、当時の手紙や家族の証言、戦争体験者の記録をたくさん読んだりしました。そんな風に“想像と記録”の間で、自分の役を育てていけたと思います。声を当てるシーンでも、映像と気持ちを丁寧に重ねながら臨んでいきました。
■映画が与えた変化と、伝えることの意味
奥平:正直、昔は歴史は“テストのために暗記するもの”くらいにしか思っていなかったんです。でも今回、作品を通じて当時の背景や人の思いを知っていく中で、“これは伝えていかなきゃいけないことなんだ”と強く感じました。戦争体験者が減っていく中で、自分たちがどう受け継ぐのか。若い世代としての責任もあるなと思いました。
當真:私は沖縄出身なので、沖縄戦などについて学ぶ機会は多かったです。でも「雪風」については知らなかったし、全国にはまだまだ知られていない歴史があるのだと痛感しました。学ぶ機会を“待つ”だけじゃなく、自分から知りに行くことが大切。そう思えるようになったのも、この作品に出会えたからだと感じています。
■作品の見どころについて
奥平:文字で学ぶ歴史はどうしても頭に入りにくいけど、映像として見ると違う角度から理解できる。『雪風 YUKIKAZE』はまさにそういう作品です。当時の人々の息遣いや葛藤が映像を通して伝わってくるから、今を生きる自分として“じゃあ自分ならどう感じるか”を考えるきっかけになる。戦争を知らない世代こそ、映像を通して知る意味があると思います。
當真:戦争映画と言われると、“ずっと張り詰めた空気が漂うもの”というイメージがあるかもしれませんが、この作品にはそうじゃない瞬間もあります。家族で過ごす時間や、ふと笑いがこぼれるような場面もある。その振れ幅があることで、より人間らしさが伝わるし、だからこそ身近に感じられる。“戦争を知る”って構えなくてもいい。あの時代を生きた人たちの姿を知ってもらえたら、それだけでも意味があると思います。
■俳優業の魅力とは
奥平:俳優という仕事はいろんな人の人生を体験できる仕事だと思っています。だから面白いし、学びがある。今回も普通に生きていたら絶対に知ることのなかった「雪風」のことを知ることができました。出会わなかったはずの世界に触れられるのが、この仕事の魅力だと思います。
當真:私は、もともと人前で話すのがすごく苦手で、取材などでも最初は全部答えを準備しないと話せないタイプでした。でも、この仕事をする中で、人と出会ったり、自分とは違う価値観に触れたりすることで、自分の中の変化を感じられるようになりました。“演じる”ことを通して、自分自身も成長していける。それがこの仕事の醍醐味だなと思います。
■大学生へのメッセージ
奥平:僕と同世代の大学4年生は、将来のことを真剣に考える時期だと思います。でも、“仕事だけが人生じゃない”ということも伝えたい。家庭を持つことや、友達との時間、小さな幸せの積み重ねも大事だと思う。就活のことばかりに縛られすぎず、肩の力を抜いて、自分らしい人生を選んでほしいです。
當真:私は大学1年生と同じくらいの年齢なので、新しい環境に戸惑う気持ちはよくわかります。でも、大学は“やりたいことにどんどん挑戦できる場所”だと思うので、不安があっても、一歩踏み出してみてほしいです。好きなことや支えになるものがきっと見つかるはずなので、焦らず、でも自分の心に素直に、いろんな出会いを大切にしていってください。
学生新聞オンライン取材2025年6月21日取材 東洋大学4年 太田楓華

8月15日全国公開中
出演:竹野内豊 玉木宏 奥平大兼 當真あみ
藤本隆宏 三浦誠己 山内圭哉 川口貴弘 中林大樹 田中美央
田中麗奈 益岡徹 石丸幹二 中井貴一
脚本:長谷川康夫 撮影監督:柴主高秀 VFX監督:オダイッセイ 音楽:岩代太郎 監督:山田敏久
主題歌:「手紙」Uru(ソニー・ミュージックアソシエイテッドレコーズ)
配給: ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント/バンダイナムコフィルムワークス
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昭和女子大学2年 阿部瑠璃香/東洋大学4年 太田楓華/城西国際大学2年 渡部優理絵/青山学院大学1年 松山絢美/中央大学1年 加藤眞優花
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