テリー伊藤 コラムVol.66 日本のテレビ局は海外進出しないと
テレビ局とスポンサーの関係を考えてみた。民放テレビの場合、番組のスポンサーになって貰い、放送時間に見合った放送料金をそのスポンサーから頂く事になる。スポンサーの手前、低視聴率の場合は局の判断で途中打ち切りをすることもあり得る。故に各局の視聴率戦争はし烈な争いとなる。恐らくこの図式はテレビ局開局以来変わっていない。NHKと言えどもスポンサーの代わりに国民から放送料金を頂いている以上、昔のように「良い番組を作っているので視聴率は気にしません」とはいかないのが現状。いつの時代もテレビ局はスポンサーの顔色をうかがっているのでは。
更に最近のスポンサーは視聴率よりも視聴者が番組を見た後の満足度や好感度に比重を置くようになってきた。「こんな素敵な番組をサポートしているのはどこの会社」となる訳だ。「企業イメージの向上」が大きな主題となる。そんな中、一番嫌がるのがスキャンダルなニュース。従って中居君のような女性問題のトラブルは完全にアウトになる。テレビ番組だけではなく、TBSラジオでの女子アナに対しての田原俊彦のセクハラは最初は大した事案ではなかったが、SNS批判が相次ぎ大きな問題となってしまった。こうなるとテレビ局は更に冒険的な番組を作る環境が無くなっていき、ドキドキ、ワクワクするものが作れなくなってしまう。結果として、当たり障りのない番組だらけになってしまう傾向に。この現状って、局がスポンサーからしか収入源が無いからでは。もちろん各局ともイベント、コンサート等を主催、開催はしているが、スケールが小さく世の中を動かすパワーにはなっていない。
そろそろテレビ局も真剣に海外進出してみては。トヨタ自動車始め日本の企業が各国に進出して外貨を獲得したように、日本のテレビ局も外貨獲得に動くべきでは。作戦は、海外のテレビ局の番組スポンサーになり「日本の音楽番組」を作る。フランス、イギリス、インド、アメリカ、台湾辺りが面白い。MCは現地の人気者とそれぞれの国の言葉が出来る日本のタレントを起用する。取り敢えず3年位は番組を続けたい。一国でも火がつけばラッキー!日本でも話題になるし、それがきっかけで観光客が増えるのも容易に想像出来る。
スポンサー探しとして、ドジャースの野球中継を観戦しているとずらりと並ぶ日本企業の看板、それも一流企業ばかりの凄い顔ぶれ、狙い目だ。クライアントは第二の大谷選手のような存在を待っているのでは。同じ様な番組ばかり見せられていては、いつか日本のテレビは衰退してしまう。勇気を持って海外進出して欲しいものだ。


テリー伊藤(演出家)
1949年、東京築地出身。早稲田実業中等部、高等部を経て日本大学経済学部を卒業。
2023年3月、慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了。
テレビ番組制作会社IVSテレビに入社し、「天才たけしの元気が出るテレビ」「ねるとん紅鯨団」などのバラエティ番組を手がける。
その後独立し、テレビ東京「浅草橋ヤング洋品店」など数々のテレビ番組の企画・総合演出を手掛ける。
著書「お笑い北朝鮮」がベストセラーとなり、その後、テリー伊藤としてメディアに多数出演。
演出業のほか、プロデューサー、タレント、コメンテーターとしてマルチに活躍している。
YouTubeチャンネル「テリー伊藤のお笑いバックドロップ」
LALALA USAでコラム連載中
https://lalalausa.com/archives/category/column/terry


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