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舞台『フォールポイント』 梅津瑞樹さん主演 閉ざされた開発室で始まる“終わらない落下”

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2025年11月19日から博品館劇場にて、舞台「フォールポイント」が開幕しました。
舞台『フォールポイント』は独自の世界観と構成力により、現代演劇界で注目を集めるクリエイターの一人である広瀬格さんが作・演出するオリジナル新作舞台となります。
出演する方は梅津瑞樹さん、花栁のぞみさん、柳下大さん、今村美歩さん、加藤啓さんの5名です。虚構と現実、記憶とアイデンティティといったテーマを巧みに織り交ぜ、外界から隔絶された白いVR開発室を舞台にした新感覚サスペンスを生み出します。
開幕に先立ち、11月19日に博品館劇場で行われたゲネプロを取材させていただきました。

<出演者コメント>

【七沢直希役:梅津瑞樹(うめつ・みずき)】
これまで数々の落下を経験してきました。
階段から滑り落ち、志望校に落ち、馬から落ち、バイトの面接に落ち、何かしらから落ちる夢なんかはよく見ます。
舞台『フォールポイント』は落下がキーワード。七沢は様々な絶望へと落ちていきます。
観劇する皆様にはお手数ですが心にパラシュートをご準備いただきますよう。

【宇吹安那役:花栁のぞみ(はなやぎ・のぞみ)】
人生は選択の連続ですが、この作品はまさに“選ぶことで物語が変わる”舞台です。誰かの正義が他の誰かには正義でないこともある…その揺らぎを一緒に楽しんでいただけたら嬉しいです。
私は今回初挑戦が多く、毎日「できるかな…!」と自問しながらも向き合ってきました。まっすぐ向き合った時間ごと受け取っていただけたら。
きっと何度でも味わえる物語です。物語に巻き込まれに来てください。

【錦城壮吾役:柳下大(やなぎした・とも)】
今回の舞台は、現実と仮想が揺らぐ中で「何を信じ、何を選択するのか」が問われる作品だと思っています。
錦城を演じる中で、彼の表面的な強さ以上に、奥に抱えた脆さや孤独に何度も共感しました。
追い詰められた時、自分の限界を目の前にした時、抗いようのない相手に直面した時、人は何を選択するのか。
その苦しみや葛藤を、一瞬一瞬、大切に生き抜きたいと思います。
劇場で、その緊張と温度を受け取ってください。

【錦城花凜役:今村美歩(いまむら・みほ)】
感情のバロメーターがぐわんぐわんなりながら、最後には全身に稲妻が走り目がチカチカになる。そしてきっと誰かの生活にもっと豊かさをもたらすエッセンスを散りばめてくれる。
そんな演劇だと思うし、そう信じています。
わたくしもいい意味で皆さまを振り回し、貴方に演劇のトキメキを与えられるよう、花凛として真実の瞬間を産み出してゆけるよう頑張ります。

【乾英俊役:加藤啓(かとう・けい)】
手強い作品です。そこが面白い。何を聞いてもスラスラと裏設定を絡めて説明してくれる広瀬さんの描き込まれた世界を体現すべく、探求とトライの日々。今までの自分のやりかたでは、なかなか辿り着けず、ああでもないこうでもないと実験を繰り返しました。あるとき本能的にやったことを「良かったです」と言ってもらえたときに、嬉しさと同時に『これは挑み続ける作品だ』と覚悟しました。
本番も毎回挑戦します。お客さまにとっても、きっと面白い作品です。お待ちしております。

<スタッフコメント>

【作・演出:広瀬格(ひろせ・かく)】
 初日を迎え、本作をお客様に届けられることに興奮しています。
 高いところから下を眺めた時、自分が転落することを想像して心がざわめく。そんな不安感を作品に込めました。「フォールポイント」は転落し続ける男の目眩に襲われるような自分探しの物語です。実験的で挑戦的な部分もあるかと思いますが、そうとは感じずただ楽しめるように、俳優たちと丁寧に作り上げ、この世界へ観客を引きずり込む力を持った作品に仕上がりました。
 主人公とともに、足元が揺らぐ、目眩のするような感覚を体験してください。

次が予測できない吸引力のある作品 〜学生の観劇レポート〜

舞台「フォールポイント」は、現代人の息苦しさを鋭い刃物のように描いた印象を受ける作品でした。特に、主演俳優の梅津瑞樹さんが演じる、七沢直希の繰り返される時間の中で、追い詰められた人間の限界に迫る演技が、物語を緊迫感に包んでいたと思います。
皆が抱える社会から見えない部分に対する葛藤や孤独感が、演者さんの表現力によって痛々しいほどリアルに伝わってきました。また、展開を動かす鋭い照明・音響が、その場へより没入感を演出していました。そして、怒涛のラストで全ての真相が判明する所では、手に汗握る展開で目が離せませんでした。
情報経営イノベーション専門職大学1年 白石侑生

「ここからどうなるんだろう?」と緊張感を持ちながら考えて観劇してしまうほど吸引力のある作品でした。正義感を抱えて突っ走る七沢の姿はフィクションかもしれないけれど、誰もが心のどこかに持っている一面でもあると思いました。もし自分もこの人生が同じ一日を繰り返していたらどうなるのだろうと考え込んでしまいました。
舞台『フォールポイント』のキービジュアルそのままに、何度も落ちては痛みを味わい続ける姿が、観客の私は観ているだけのはずなのに苦しく、目が離せませんでした。
七沢の選択は一つひとつが重く、正解でもあり、間違いでもあり、その複雑さが積み重なってただの「ループもの」という言葉では片付けることのできない作品となっていたように思います。
観終わった今でも余韻が強く残る舞台でした。
城西国際大学2年 渡部優理絵

【公演概要】

舞台「フォールポイント」


作・演出 広瀬格

出演 梅津瑞樹 花栁のぞみ 柳下大 今村美歩 加藤啓

日程 2025 年 11 月 19 日(水)~ 11 月 30 日(日)

会場 博品館劇場(東京都中央区銀座8-8-11)

チケット(全席指定) 土日祝日全席指定 9,800円(税込)
平日全席指定 8,800 円(税込)
※未就学児入場不可
チケット販売 ・e+ (イープラス) https://eplus.jp/fall-point/
・ローソンチケット https://l-tike.com/fall-point/(L コード:36252)
・チケットぴあ https://w.pia.jp/t/fall-point/
公式HP https://toei-stage.jp/fall-point/
公式 X @Toei_stages(https://x.com/Toei_stages

スタッフ
音楽:こおろぎ
技術監督:寅川英司 舞台監督:松澤紀昭 舞台美術:野村真紀(東宝芸能)
照明:阿部将之(LICHT-ER) 音響効果:天野高志(RESON) 映像:荒川ヒロキ(stack pictures)
演出助手:齋藤有里(MIMOZA) 衣装:小田優士 ヘアメイク:古橋香奈子
宣伝美術・グッズデザイン:川本裕之 スチール:金丸圭 Web:田中ユウコ
制作:MIMOZA プロデューサー:中村恒太(東映)
企画・プロデュース:東映

学生新聞オンライン2025年11月19日取材 情報経営イノベーション専門職大学1年 白石侑生/城西国際大学2年 渡部優理絵

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