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詩楽劇『八雲立つ』 ~2025年の終わりに日本の神々と出会う~

2025年12月29日から東京国際フォーラム ホールB7にてJ-CULTURE FEST presents 詩楽劇「八雲立つ」が開幕しました。
J-CULTURE FESTは“伝統と革新”をコンセプトに、日本文化に親しみ、新たな価値発見の機会を提供 することを目的に、日本古来の伝統芸能の良さを現代に生かす音楽や舞等の“公演プログラム”と、正月行事を中心に日本文化をさまざまな形で体感する“正月テーマパークを実施。2020年より、“公演プログラム”と“体験・企画展”を通して、日本文化を様々な形で体験できるイベントとして毎年開催しています。詩楽劇「八雲立つ」は公演を通して神々に触れることで、一年の穢れを祓い、新しい一年を寿ぐことをテーマに上演された作品です。知っているようで知らない古くから日本に伝わる神々の物語を本物の装束を纏い、日本のプロフェッショナル達が集結し、古典芸能と音楽が融合する舞台をお届けします。
本作の脚本は、歌舞伎脚本家の戶部和久さん。構成・演出は日本舞踊尾上流四代家元の尾上菊之丞さん。出演は、須佐之男(すさのお)役に尾上右近さん。岩⻑姫(いわながひめ)役に紅ゆずるさん、瓊瓊杵尊(ににぎのみこと) 役に佐藤流司さん、伊邪那岐命(いざなぎのみこと)役に和田琢磨さん、木花咲耶姫(このはなさくやひめ)役に梅田彩佳さんが名を連ねます。そしてヴァイオリンの川井郁子さんと和楽器が奏でる音色、石見神楽 万雷の大蛇の舞 が本作を彩ります。
今回は開幕に先駆けて2025年12月28日に行われた囲み取材とゲネプロを取材させていただきました。

■日本文化を極めた第一線の表現者たちが挑む詩楽劇 ~囲み取材~

尾上右近:須佐之男役の尾上右近です。各エンタメ業界の第一線を走っている実力者たちと、短いお稽古期間にグッと集中して形にしたこの作品がいよいよ幕を開けます。
非常にワクワクしている気持ちもあるのですが、少し公演期間が足りないです!
もっと長くやりたいと思っていますし、このメンバーでやらせていただけるのは本当に嬉しいです。楽しく和気あいあいとさせていただいてます。その上で、この年末のひとときをお客様に楽しんでいただけるように精一杯進めさせていただきたいと思っております。

紅ゆずる:岩長姫役の紅ゆずるでございます。今、右近さんが仰られたように、私の中では大変短く感じたお稽古期間で集中して頑張りました。この素晴らしい方々と共演させていただくことを大変嬉しく思っております。そして、年の終わりに大切な時間を皆様からお借りいたしまして、舞台に足を運びいただけることを大変嬉しく思っております。精一杯、力いっぱい頑張りますので、よろしくお願いいたします。

佐藤流司:瓊瓊杵尊役の佐藤流司と申します。…頑張ります!(記者の「佐藤さんもう一声お願いします」の声を受けて、)もう一声…わかりました。では、長くなってしまうんですけども、頑張ります!!笑 よろしくお願いします!

和田琢磨:伊邪那岐命役の和田琢磨です。先ほど右近さん方が仰られたように、公演期間が3日間と短い時間ではありまして、お稽古もあっという間に終わってしまいました。和気あいあいとしながら、締めるところは締めて、非常にいいものを皆さんにお届けできるのではないかなと思っております。年の瀬にふさわしいような華やかな舞台となっておりますので、ぜひ皆様に楽しんでいただけるように精一杯努めたいと思います。何卒よろしくお願い致します。

梅田彩佳:木花咲耶姫役の梅田彩佳です。大切に、そして責任を持って頑張りたいと思います。よろしくお願いします。

川井郁子:今回ヴァイオリンを演奏させていただきます。色々なジャンルの第一線の皆様とご一緒させていただいて、ワクワクした気持ちでリハーサルをさせていただいております。とても美しいステージなので本番も楽しみです。皆様にお楽しみいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

尾上菊之丞:天御柱、天照を演じます。尾上菊之丞です。演出もさせていただいておりますが、和楽器の演奏、洋楽器の演奏、そして石見神楽の皆さん、様々な者が結集しました。短い稽古期間の中でただ集まっただけではなく、関わりを持って、熱量を重ね合わせて積み上げられるというエネルギーを感じながらお稽古をさせていただきました。カンパニーの全員が集まったのは昨日です。昨日やっと全員が勢揃いしました。でもその中で、同志が集まって緊張感を持ちつつ、明日からお迎えするお客様に向かって、我々の芸能の存在意義や価値みたいなものを確かめながらやっていけると思っておりますので、明日からぜひ楽しみにしていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

Q.今回の演出面での見どころを教えてください。

菊之丞:普段はご一緒する機会が中々ないような皆さんと集まりながらも、互いの領域に踏み込みながら、歌も踊りも芝居も一緒に感じながらするというのが詩楽劇の醍醐味だと僕は思っています。
稽古をしながら生のその瞬間で感じるものを大事にして演出をつけさせていただきました。

Q.お稽古を通して感じた手応え、本作ならではの見どころがあったら教えてください。

右近:僕自身、個人のことで申し上げれば、前回の詩楽劇も精一杯やらせていただきましたが、前回は菊之丞先生に言っていただいたことや、自分なりに思いついたことを先生にぶつけるということに終わっていった感覚がありました。菊之丞先生とは幼い頃からお世話になっている、見てくださっているという間柄ということもあり、今回は自分の変化を感じて楽しんでいただこう、先生の求めているもの以上を目指そうという気持ちでお稽古に参加していました。そして今回も更に様々なジャンルで活躍されている皆様とご一緒しているという感覚が強いので…楽しいですね。基本的にお稽古なさってる人を静かに見なくてはいけないという暗黙のルールがあると思うんですけども、つい喋っちゃってね笑 なかなか僕も稽古に参加できなかったのですが、途中から来たくせに喋ってマイペースにやっていても皆さんが優しく受け入れていただいて、本当に楽しくやらせていただいています。

Q.装束を見た瞬間のお気持ち、着用された感想をお聞かせください。

紅:私がこの装束を拝見したときには「美しいな」と思ったのですが、実際着用してみますと”護られている”という感覚より”背負っている”という感覚を強く感じました。
この装束の一つ一つの所作も意味を持たせたいなと思いますので、丁寧に身を預けたいという気持ちです。
あと、お稽古中に右近さんに「お衣裳どうしよう、この袖をどうしたらいいんだろう」と言ったら「そういう気持ちではなくて、この衣裳を自分が操るんだと思わなきゃダメだ。」という素晴らしいお言葉を頂きました。私もその通りだなと思い、そこからは衣裳を自分が操ってやると思って頑張っておりますので、よろしくお願いいたします。

梅田:お衣裳を遠くからでも近くからでもじっくり見たいくらいとても綺麗なので、その衣装に負けないように頑張らないといけないなと思いましたし、今の紅さんと右近さんの話を聞くと本当に頑張ろうと思いました。

Q.本作、普段の演劇とは異なるお稽古だったと思いますが、お稽古をしてみていかがでしたでしょうか?

佐藤:個人的に、稽古に参加させてもらった日数は10日あったか、なかったかくらいの感じなのですが、こうして劇場に入ってみて、改めて場当たりを見させてもらったときにとても壮大で。自分が参加していない間の稽古でも、皆さん一人一人才能を遺憾なく発揮されて稽古されていたんだなと改めて思いました。

和田:今ここには7人並んでいるのですが、演奏者の方や、神楽の方、それから舞踊の方などたくさんの方が関わって、今回の作品が出来上がっています。
自分が出ているシーンは限られているのですが、出ていないシーンも非常に楽しく稽古場から拝見させていただきました。普段なかなかお会いしたりしないような方々とご一緒できるお稽古が私にとってはとても貴重でした。

Q.本作ならではの音楽面でのポイント等あったら教えてください。

川井:私は和楽器が大好きで、普段からコラボをやることが多いのですが、今回も和洋の融合のシーンもありつつ、それぞれが丁々発止するような音楽の躍動感が楽しめる構成になっているなと思います。
舞台上で躍動しているシーンや厳かなシーンなど様々ありますが、それを盛り上げているのが音楽チームのみなさんだと思うので、ぜひ音楽も楽しみにしていただけたら嬉しいなと思いました。

Q.公演を楽しみにしているファンの方に向けて一言お願いいたします。

右近:私たち舞台に立つ人間も2025年をこの作品で締めくくり、また新たな気持ちで新年を迎えるというところへ向かっていきたいと思っています。そのエネルギーを存分に詰め込んだ舞台にさせていただいておりますし、年越しそばに例えると「もうお腹いっぱい」と思うくらいにてんこ盛りの年越しそばを召し上がっていただけるような舞台です!まだ観劇されるか迷ってる方もいらっしゃると思いますので、ぜひ迷ってる方はお越しいただいて、存分にお腹いっぱい召し上がっていただく公演にさせていただきますので、何卒よろしくお願いいたします。

■お祓いとともに幕を開ける、日本神話の舞台世界 ~学生の観劇レポート~

実際に舞台上でお祓いを行ってからお芝居が始まるという経験が初めてだったのでとても新鮮でした。
舞台が始まると、歌や楽器の迫力で神話の世界に引き込まれていく感覚でした。
出演者の方々が各エンタメ業界の第一線で活躍している人たちということもあり、衣裳は和装でありながら、舞台全体の構成や演出がとても豊かで日本のエンタメをすべて詰め込んだ宝箱のような舞台でした!最後までジャンルを超えた表現が次々と展開されていて、楽しく観劇しました!
日本神話と聞くと少し難しそうな印象を受ける方もいらっしゃるかもしれませんが、音楽、舞、お芝居を通して楽しみながら知ることができます!
一年の終わりに、穢れを祓って新しい年を迎える準備ができるような素敵な作品でした!
城西国際大学2年 渡部優理絵

【公演概要】 J-CULTURE FEST presents 詩楽劇『八雲立つ』

公演日程:2025年12月29日(月)~12月31日(水)

会場:東京国際フォーラム ホールB7

構成・演出:尾上菊之丞
脚本:戸部和久

出演:
尾上右近、紅ゆずる、佐藤流司、和田琢磨、梅田彩佳、川井郁子(ヴァイオリン)、石見神楽 万雷/尾上菊之丞

出演者:
花柳喜衛文華、藤間京之助、若柳杏子、藤蔭慧、高橋諒

演奏:
吉井盛悟、田代誠(英哲風雲の会)、豊剛秋、藤舎推峰、住田福十郎、川野稜太/安部潤、齋藤順、北村聡

主催:TAILUP/井筒/井筒企画/東京国際フォーラム
企画:井筒與兵衛
後援:東京都/千代田区/東京商工会議所
協力:帝国ホテル、丸ノ内ホテル、東京ミッドタウン日比谷、日比谷OKUROJI、東京交通会館、三菱地所プロパティマネジメント株式会社、東京ステーションホテル
助成:アーツカウンシル東京【芸術文化魅力創出助成】
特別協力:風俗博物館/京都宮廷文化研究所/日本工学院専門学校
公式サイト:https://yakumo2025.com
公式X(旧Twitter):@yakumo__2025

学生新聞オンライン2025年12月28日取材 城西国際大学2年 渡部優理絵

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