山梨県北杜市長 大柴邦彦
広大な自然と国との絆で拓く、誰もが安心・安全に暮らせる北杜市
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北杜市長 大柴邦彦(おおしば くにひこ)
■プロフィール
1958年 山梨県北巨摩郡明野村(現 北杜市明野町)生まれ
亜細亜大学経営学部卒
2011年 民間企業を退社し、山梨県議会議員選挙に初挑戦し、当選
その後、山梨県議会議長を務めるなど、山梨県議会議員を3期9年にわたって務める
2024年11月から現職
日本一の日照時間と名水を誇る山梨県北杜市。東京23区に匹敵する広大な面積を持つこの街で、市長として陣頭指揮を執るのが大柴邦彦氏です。政治の世界へ飛び込んだ数奇な経緯から、少子高齢化を見据えた独自の教育・子育て支援、そして未来の日本を背負う若者への熱い思いまでを伺いました。
私は学生時代、東京の大学へ進学しました。昔から政治に興味があったわけではなく、単純に都会への憧れや、広い世界で人間関係を学びたいという思いからでした。学生時代はとにかくアルバイトに明け暮れ、数え切れないほどの友人を作りました。様々な背景を持つ人たちと接し、コミュニケーションの取り方を学んだ経験は、私の人生においてかけがえのない財産になっています。まさかその経験が、後に市長としての仕事に活きることになるとは、当時の私は夢にも思っていませんでした。
■父の背中と恩人の言葉で決意した政治への道
大学卒業後は地元に戻り、就職しました。社会人として4年ほど経った頃、父が周囲から推されて選挙に出ることになり、結果として明野村の村長を4期務めました。父の苦労を間近で見ていたため、私自身が政治の道へ進むつもりは全くありませんでした。 しかし、私が52歳になった時、周囲から「県議会議員選挙に出てほしい」と打診されました。最初は固辞し続けていたのですが、年を越した1月の終わりに、当時の白倉政司北杜市長が「あなたしかいない!」と熱心に説得に来られたのです。その時、生前父がよく口にしていた「期待された時に応えられなくては、男とは言えない」という言葉が脳裏をかすめました。ここで逃げたら男じゃないと決心し、会社を辞めて出馬し、当選を果たしました。 県議を3期務めた後、今度は「国や県とのパイプを持つあなたに市長を任せたい」と強い後押しを受けました。国と連携しなければ市は良くならないという強い危機感から、市長に就任することを決意したのです。
■日本一の自然環境とスピード感あふれる市政
北杜市の面積は東京23区とほぼ同じですが、人口は約4万5千人です。これだけ広大な土地を管理し発展させるためには、国や県との緊密な連携が不可欠です。 市の最大の魅力は、日本一とも言える豊かな自然です。日照時間は日本一長く、水もきれいでミネラルウォーターの生産量も日本一。さらに地盤が強固で、防災面でも安心・安全な環境が整っています。東京の素晴らしさを知っているからこそ、地元の魅力に改めて気づくことができました。 市政運営で大切にしているのは、人間関係と圧倒的なスピード感です。国と繋がることで、補助金などの情報をいち早くキャッチできます。情報を得たらすぐに準備し、真っ先に手を挙げる。このスピード感が市を発展させる原動力です。同時に、市民の皆さんとのコミュニケーションも欠かしません。高校生から直接「マクドナルドが欲しい」と意見を聞くなど、頭だけでなく体を使って生の声を拾うよう心がけています。
■移住者が集う街と子育て支援への強い思い
現在、北杜市は「住みたい田舎」ランキングで常に上位に入るなど、移住者から熱い視線を集めています。美味しい空気と水、健康的な食生活を求め、若い世代の移住が増えました。テレワーク普及に合わせた市内全域のWi-Fi環境充実も大きな追い風です。 また、花、山、水、お酒など観光資源も非常に豊富です。美術館を巡り、温泉に浸かるといった滞在型の観光を推進し、エリア全体に人を呼び込んでいきたいと考えています。 その上で、少子高齢化という課題に立ち向かうため、子育て支援には特に注力しています。給食費の完全無償化、保育料の支援、妊娠・出産までの手厚いサポート、子育て世代の住宅リフォーム補助、学童保育の充実など、切れ目のない支援を展開し、子育てしやすい街としての評価も着実に高まっています。
■子どもたちの「絆」を育む教育環境の再構築
教育面では、学校の統廃合が直面している重要な課題です。北杜市は8つの町村が合併して誕生したため8つの中学校がありますが、少子化により1クラスに十数人しかいない状況が生まれています。 少人数には目が行き届く良さもありますが、15人程度では野球やサッカーといったチームスポーツの部活動が成り立ちません。また、保育園から中学校までずっと同じメンバーのため、万が一いじめが起きた際に関係性が固定化される懸念もあります。 子どもたちには、より多くの人と接し、多様な価値観の中で「絆」やコミュニケーション能力を育んでほしい。そのため、中学校を再編し、一定の生徒数を確保して切磋琢磨できる活気ある教育環境を整える検討を進めています。
■健康長寿と安心・安全を次世代へ引き継ぐ
今後の展望として、まずは高齢者の皆様の健康維持があります。当市は高齢化率が約40%に達しています。私の両親も最後は長期間入院して亡くなった経験から、市民の皆様にはとにかく健康で長生きしてほしいと強く願っています。75歳以上の人間ドックへの補助やがんの早期発見への取り組みを強化し、80歳になっても元気に農業ができる生涯現役の街を目指します。 そして最も重要なのが「安心・安全」の基盤づくりです。観光客へのルール作りはもちろん、最低3日分の水と食料を確保できる体制づくりや、実践的な防災訓練を徹底していきます。現在、市役所は仮庁舎で業務を行っていますが、市民の安心・安全の拠点となる新庁舎の建設は、私の責任でしっかりとやり切りたいと考えています。
■大学生へのメッセージ
学生時代は、とにかく多くの人と触れ合ってください。それが社会に出るための何よりの基礎固めになります。たくさんの経験を積み、時には失敗しながら、様々な価値観を持つ人たちと「絆」で繋がってください。 そして、恐れることなくどんどん挑戦してほしいと思います。これからの日本を背負って立つのは、間違いなく若者である皆さんです。皆さんが安心・安全な場所で学び、やがて親となって子どもたちを育て、健康で豊かな人生を歩んでいけるよう、私たちも全力でより良い社会を創っていきます。機会があれば、ぜひ北杜市に2泊、3泊とゆっくり滞在して、この素晴らしい自然と空気を体感しに来てください。
学生新聞オンライン2026年2月12日取材 法政大学4年 島田大輝

法政大学4年 島田大輝/東京女子大学 2年 浮田梨紗


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