六甲バター株式会社 代表取締役社長兼CEO 塚本浩康

「おいしい」が人を幸せにする

六甲バター株式会社 代表取締役社長兼CEO 塚本浩康(つかもとひろやす)

■プロフィール
1975年生まれ、兵庫県神戸市出身。神戸学院大学卒業、関西学院大学大学院経営戦略研究科修了。2000年六甲バター株式会社に入社。2012年購買部長、2013年取締役稲美生産部長、2017年専務取締役、2018年取締役副社長 開発本部長などを経て、2021年に代表取締役社長に就任。2023年からは代表取締役社長兼CEOに就任し、現在に至る。

「おいしい」で人を幸せにしたいと語る六甲バター株式会社代表取締役社長・塚本浩康氏。学生時代のアルバイトや新聞を通じた学びを経て、現在は”健康で明るく楽しい食文化の提供による社会への貢献”を目指している。商品への思いや会社の未来について、そして学生へのメッセージを伺った。

私は大学時代、アルバイトにかなり力を入れていました。夏休みには一日中働くこともあり、飲食店のホールスタッフとして接客を担当していました。ホールのこともお客さんのことも全部わかるようになることで、次第に仕事の要領がわかっていくのが楽しかったです。来店されるのはサラリーマンの方も家族連れの方もいて、いろいろな人と話せることにやりがいを感じていました。
大学3,4年のころにはゼミにも所属していました。様々な新聞を読みながら、記事の背景にある経済や社会問題について調べ、発表する活動をしていました。当時の私は経済学部に在学していましたが、新聞を通じて、経済だけでなく、それを取り巻く社会全体について幅広く学べたことが大学時代の大きな経験だったと思います。
大学卒業後は、そのまま六甲バターに入社しました。入社当時、「社長になれるかはあなた次第です」と言われました。でも、私は、運と実力があって初めて社長になれるものだと思っていたので、自分から社長になりたいといったことは一度もありません。社長という立場は、従業員だけでなく、その家族や関係者の人生まで背負うことだと思います。何かあった時には自分が腹をくくらないといけません。自分が社長に就任することになったときは驚きましたが、自分が成長し、プレッシャーが大きくなるにつれ、責任の重さへの解像度も上がっていき、悩まずに対応できることも増えてきました。とはいえ、社長業は過酷だろうとは覚悟していた通り、やはり大変だと感じることも多いです。

■「小さく包む」技術が会社の強み

現在、六甲バターの売り上げの97%を占めているのがチーズ事業です。私たちの会社の強みは、「小さく包む技術」にあると思っています。六甲バターはもともと「平和油脂工業」というマーガリンの会社でした。学校給食向けの商品を作る中で、一つひとつの商品を小さく包装する必要があり、その経験が現在の商品づくりにも生かされています。昔から、小さいものを包んでお客様に届けることは得意な会社だったのだと思います。
また、働きやすい環境づくりにも力を入れています。例えば、出産した人や、子供が生まれた従業員にはベビー用品を贈ることをしています。普段から多くの人に支えられている分、その感謝を少しでも還元し、一緒に喜びを分かち合えればいいと思います。今後もより一層、社員一人ひとりがのびのびと働ける会社にしたいですね。

■「おいしい」を追求し続ける

私たちが商品づくりで大切にしているのは、「おいしさ」です。当たり前ですが、おいしくない商品は世の中に出しません。おいしさがないと人は商品に手を伸ばしていただけないからです。私たちは、生きる上で毎日ものを食べ、その食べたもので体や人生が作られていると思っています。だからこそ、ただ食べるだけではなく、「おいしい」と感じながら食べることが大切なのです。おいしいものを食べ、喜びをかじることが日々の豊かさにつながり、その積み重ねが人生そのものをより良くしていく。私たちは、商品を通してお客様の健やかな体と豊かな人生を作っていくことに、大きな意味があると思っています。
最近は、日本人と海外の方では「おいしい」と感じる基準が違うことも実感しています。だからこそ、この国の人たちが本当においしいと思えるものも追及してく必要があるとも感じています。
また、私たちの商品は比較的賞味期限が長いことも特徴です。ナチュラルチーズは賞味期限が短いものも多いですが、私たちの商品は冷蔵保存で長く楽しんでいただけます。より多くの人に、長く食べてもらえる可能性を持っていると思っています。
さらに、工場見学にも力を入れています。工場を見ていただくことで、商品そのものへの知識を得ていただくことはもちろんですが、「この会社はこういうことを大切にしているんだな」と感じていただけるとも思っています。工場を実際に見ることで、私たちの商品やお客さんへの思いなどを身近に感じてもらえたらうれしいですね。

■2030年へ向けた挑戦

現在、私たちは2030年に「高付加価値創造企業」になることを目標にしています。簡単にいえば、今まで以上に、お客様の人生や、その周りの人たちをより幸せにできる存在をめざすということ。そのためにはお客様により喜ばれる存在であり、そしてもっと頼りになる存在になることが重要です。また、日本国内だけでなく海外展開にも力を入れています。私たちが持っている価値は、日本だけにとどまる者ではないと感じています。それぞれの国の人がおいしいと思えるものを追求し、世界中の人に商品を届けていきたいです。

■大学生へのメッセージ

六甲バターには、その哲学をまとめた『六甲バターフィロソフィー』という本があります。その最後には「運と縁を生かす」という言葉が書かれています。私は、辛いことや逆風があった時に、それをただ「ついていない」で終わらせるのか、それとも次につながる機会だと前向きに考えるのか、その選択でその後の人生は大きく変わると思っています。
何事も前向きに受け止めて進んでいけば、必ずいい巡り合わせがきます。皆さんにも自分にとっての「運と縁」を大切にしてほしいです。

学生新聞オンライン2026年5月22日 神戸市外国語大学3年 森垣一椛

神戸市外国語大学3年 森垣一椛 / 関西外国語大学3年 石川遼

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