天海祐希 一度きりの人生、自分の夢を見つけて走り続けてほしい

俳優 天海祐希(あまみ ゆうき)
■プロフィール
1967年8月8日生まれ、東京都出身。1987年に宝塚歌劇団に入団。1995年に退団し、翌年から俳優として活動を開始。舞台、映画、ドラマ、CMと幅広い活動を展開。10月31日に映画『てっぺんの向こうにあなたがいる』が公開予定。2026年1月30日には、8年ぶりの声の出演となるアニメ映画『クスノキの番人』が公開予定。
凛とした佇まいと存在感で常に第一線を走り続けている天海祐希さん。自分を認めてほしければまず相手を先に認めること。そう話す彼女は周りへの感謝を忘れない。お芝居に丁寧に向き合ってきたからこそ紡ぐ言葉には説得力がある。人として、俳優として大切にしていること、若者へのメッセージなどをお話しいただいた。
■現場でのやり取りこそが芝居をつくる
人として一番大切にしているのは、自分の両親に顔向けできないようなことはしないということです。俳優としては、誰かに楽しんでもらいたい、幸せな気分になってもらいたいという気持ちもすごく大事ですが、まずは自分がその環境を楽しむことを大切にしています。設計図は台本に書いてありますが、肉付けしていくのに演技プランを考えます。しかし、ガチガチに固めてしまうと独りよがりのお芝居になってしまうので、相手の役者さんと向き合ったときに、方向転換できる程度に幅を持たせて撮影に臨みます。
私たちにとっては、台本を読んで考えてきたことを一斉に発表するのが撮影現場です。実際にお芝居をしてみて、「ここはこういう言い方をするのか」「これはこう受け取ってこういう答えになっているんだ」などと、瞬時に考えて理解することが大事になります。観てくれる方にはそうしたやり取りや提案を重ね、整理された状態をお見せしていますが、私たちにとっては自分のお芝居がまだまとまっていない状態やその場にしか生まれない空気感が一番面白いと感じます。
『緊急取調室』での取調べのシーンは、ゲストである被疑者役の方の独壇場であってほしいという意識があります。ゲストの方のやりたいようにやってもらうのが一番で、そこを私たちがサポートしつつ自分が考えている方向に持っていくことを特に大事にしています。
■12年間のありがとう『緊急取調室』
12年間、『緊急取調室』のチームを愛してくださり、楽しんでくださった方たちの想いが満たされるような終わり方にしたいという気持ちが大きいです。連続ドラマとしてもう一度見ていただけるチャンスが巡ってきたということは、待っていてくださったファンの皆様に、「お待たせしました」「ありがとうございます」という感謝の気持ちを表現できるのではないかと思っています。
『緊急取調室』は第1シリーズから親戚の集まりのような楽しい現場で、安心感と信頼関係があります。12年間で培われてきたキャストとスタッフのチーム力で皆様への感謝の気持ちがこもった放送になればいいなと思います。真壁有希子として正義を持ち、被疑者を追い詰めるというよりは、取調べで落とし、しっかり罪を償えるように、最後までぶれずに演じていきたいと思います。
私自身チームで動くときには自分の感覚を大事にしつつ、自分の我だけを通すようなことはしないようにしています。自分は認めてもらいたいけれど、自分以外の人のことが認められない、ということはあると思います。しかし、まず人を認めることが自分を認めてもらう第一歩になります。自分の好きなことを認めてほしければ、その人の好きなことも尊重することです。
みんなが自分のために動いてくれることを当然と思わずに、自分が誰かのために動くことで誰かが自分のために動いてくれる、ということを肝に銘じておけば、一つのチームになりやすいのではないかと思います。
■まずは自分の〝やりたい〞をみつけること
人生には期限があります。10代、20代の皆さんはこの先何十年も生きていかなければならないと考えると思いますが、年を重ねていくとゴールが見えてきます。このままグダグダしていてもやがて終わる、走り続けていてもやがて終わる。だったら一度きりの人生、一度は死ぬ気で努力してみることも必要だと思います。待っているだけでは人が何かしてくれることはありません。そして、せっかくこの世に生を受けて生きていくのなら大きな夢を持ってほしいです。私は5歳くらいのときからお芝居をしたいと思い続け、ありがたいことに今俳優という職業に就かせてもらっています。世の中にはたくさんの職業があり、たくさんの生き方があります。人が決めたレールを走るのではなく、自分がやりたい、やってみたいことを探すのがまず大切です。自分が決めた目標が自分のことを引っ張り上げてくれます。途中で目標が変わったとしてもいいんです。走り続けている間に、新たな夢や想いが生まれてきたことが重要です。寝て過ごしても1年、走り回っても1年。時間には限りがあることを認識し、やってみたいことに手が届くように走り続けてください。
そのためには今、いろいろな良いことに影響を受けてほしいです。自分のことは自分が一番分かっているようで実は分からないものです。テレビや映画、舞台、本、いろいろな人との会話などから刺激を受けてください。そして自分は何が好きなのか、何をしているときが楽しいのか、どんなときに嫌な思いをしたのかを自分に問いかけてみてください。さまざまな経験は全て自分の経験値になり、自分が何を大切にしてどこへ向かって行きたいかを決めるきっかけになるはずです。
学生新聞2025年10月号 東洋大学3年 越山凛乃

木曜ドラマ『緊急取調室』
2025年10月16日スタート
毎週木曜 よる9:00~9:54
“初回拡大スペシャル”
(テレビ朝日系)
劇場版 「緊急取調室 THE FINAL」
12月26日(金)公開予定

昭和女子大学2年 阿部瑠璃香/城西国際大学2年 渡部優理絵/東洋大学3年 越山凛乃/法政大学1年 渡辺碧羽
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