ファッションショー『透き間、仄めき』 早稲田大学繊維研究会
早稲田大学の学生服飾団体である繊維研究会は、2024年12月22日(日)に代官山ヒルサイドテラス内ヒルサイドプラザにて『透き間、仄めき』と題し、ファッションショーを開催した。代表の井上航平さんにお話を伺った。
学生団体 早稲田大学繊維研究会
代表 早稲田大学 文学部美術史コース 3年 井上航平 (いのうえこうへい)
https://sen-i.org/
https://www.instagram.com/seni_1949/
『透き間、仄めき』が伝える意味
早稲田大学繊維研究会は1949年に創立され今年で75年目となる歴史ある団体である。ファッションショーイベントを主に行ない、制作、演出、広報の3つの部隊に分かれ活動している。「ファッション批評」を軸とし、批評のためにショーを行うという活動趣旨である。現代社会では環境に適していない服飾の製造背景が問題となっている。その事実を知っていても、消費者は安いから買ってしまうという行動が起きている。この現状、ファッションの本質を再考すべきではと呈し、イベント等を通して提起している。
本年度は『透き間、仄めき』というタイトルをもとに、2024年12月22日(日)代官山ヒルサイドプラザにて3公演のファッションショーが開催された。「見えないものを見る」がテーマで、意図せず生まれた空間に価値を置く”余白の美学”を意識している。
デザインされた25着も一つ一つの作品が統一された世界観で製作されており、一体感のある舞台が生み出された。細かい構成やぢティールを施し、職人的なこだわりにスポットを当て作られている。コンセプトを軸にした演出作りがなされていて、イメージに沿った音楽を制作し、照明も考え、オリジナルなショーが作られている。楽曲はさざ波の音から始まり、だんだんと不穏な雰囲気も醸し出しつつ、さざ波で終焉というような構成でモデルたちが歩いた。
会場の舞台作りではモデルの正面を決めず、オーディエンスをモデルが取り巻くような立体空間を意識したショーとした。天井の高さがコンセプトである ”間”を生み出し、テラス部分に垂幕を飾りモデルのシルエットが映し出された。ルックブックにも淡い雰囲気を演出するためにトレーシングペーパーを使用したり、紙の素材や構成にこだわりを込めたという。
今後、より多くの方に存在を知って頂くために広報活動にも注力しつつ、伝統的な想いや軸は大切にしながら展開していきたいという。消費者である私たちが情報を受け取ってから服を購入するまでに、サステナブルを意識して自分の行動に責任を持ってほしいと願っている。
そして、デジタルでなくその場の空気感やその先を感じる感性を大切にして欲しい、ファッションに関わる学生がもっと増えてほしいと代表の井上氏が語ってくれた。
学生新聞オンライン2024年12月22日取材 国立音楽大学 4年 岡部満里阿
ファッションショーの感想
透き間、仄めき このタイトルの通り、会場の天井は高さがあり空間を意図的に生み出し、服だけでなく、会場の雰囲気までもがショーの一貫となっていました。現代社会の問題である大量生産・大量消費によって生み出される服に着目し、その服が制作されるに至るまでの経緯を消費者にも考えてほしいという井上さん率いる早稲田繊維研究会の願いが伝わってくる作品の数々でした。私は初めてファッションショーというものを実際に見ましたが、細部までこだわり抜かれたデザインや服それぞれに付けられた名前に思わず見入ってしまいました。多くの人がこの先服を買う時に、衝動的に買うよりも前に、再度何が今一番必要なのか考えてほしいと思います。
大妻中野高等学校 3年 加藤眞優花



この記事へのコメントはありません。