株式会社サクラクレパス 代表取締役社長 西村 彦四郎

過去の100年に負けない100年を築いていきたい

株式会社サクラクレパス 代表取締役社長 西村 彦四郎 (にしむら ひこしろう)

■プロフィール

1979年3月 成蹊大学法学部卒業、1980年4月 (株)サクラクレパスに入社。1996年9月より営業企画本部長に就任、2003年12月に常務取締役、2010年3月専務取締役 営業本部長を経て、2014年6月に代表取締役社長に就任、現在に至る。

クレパスやクーピーなど、誰もがみな幼い頃から触れてきたサクラクレパス。どのような意識のもとで魅力的な商品が生み出されているのか、100年以上の歴史を持つ企業の展望を西村社長に伺った。

大学時代は理系の学部ではなかったので、正直単位を取れたら良いという考えが強くて、スキー同好会の活動や、友人と遊ぶことが多かったです 。大学時代ほとんどなかった勉強意欲は、社会人になってから少し遅れて湧いてきました。 入社後、20代半ばで病気を患い数ヶ月間寝たきりが続いたのですが、この時期に1日1、2冊本を読むことが習慣に。それから「あれも知りたい」「これも知りたい」と知識欲がでてきて勉強に前向きになっていきました。実際に夜に社会人向けの講座を受けるようになり、学ぶ姿勢には興味が重要で、興味があると勉強は楽しく 、身に付くものなのだと感じましたね。   

■誇りある歴史を未来へ繋ぐ

サクラクレパスは1900年代前半、手本の絵を鉛筆でそのまま描きうつす臨画教育から、思ったこと、感じたことを自由に描く自由画運動が起こったことに合わせて、安くて品質の良いクレヨンを作り始めたことが会社のはじまりです。学校に出向いて、商品を勧めるのではなく自由画運動を広めることに力を入れ、子供たちが絵を描く文化を築いてきました。
私自身はアメリカに行ってみたい気持ちが強く 、卒業後はアメリカ留学に。アメリカで大学に通いながら一年過ごした後、親の勧めもあってサクラクレパスに就職しました。この時点で会社の歴史など、知識がほとんどなかったので入社後に学ぶことは多かったです。就職前から企業に対して熱意があったわけではないですが、今ではサクラクレパスの歴史を誇りに思っています。

■100年の歴史を持つ会社に就職して43年、社長を勤めて9年

私が社長に就任した時、社員には会社の使命について二つのことを伝えました。「人々の心を豊かに育み社会に貢献すること」、そして「社員のみんなが幸せになること」です。社会に貢献できる会社になるためには、それを実現させる社員が幸せで充実していなければなりません。経済的な幸せはもちろんのこと、仕事にやりがいを持って成長できる精神的な要素も非常に重要です。そのために、新入社員から社長の私まで参加する会議であっても自由で平等に意見を言い合える環境を作り、反対意見であっても積極的に発言するように常々伝えています。

■新しい価値を生み出す

商品やサービスを企画する上で、世の中にない新しい価値を作ることを最も大切にしています。これはある研究に基づいていて、この研究ではシェアトップの商品の半分が先発商品である、という結果が出ています。つまり最初に商品を出せば、二分の一の確率でシェアトップになることができ、後から類似商品を販売するよりも遥かにロングセラーを打ち出せる確率が高いということです。新たな価値を生み出すため、サクラクレパスでは「お客様のニーズを知ること」、「世の中に全くないものを開発すること」という二つの方向性から商品を作っています。特に後者は容易にできることではなく、社員には常日頃から意識的に考えるように言っています。例えば、文具以外の他業界に着目することも効果的で、事業者向け通販のアスクルを参考にして教育施設向けに始めた通販のエデュースは国内の売り上げの約半分を占めています。一見関連性のない事柄から着想を得られることも多くあるので、常に考えるということが発想力を鍛えることにも繋がります。
今後の目標は、筆記具におけるサクラブランドの確立です。サクラクレパスはどうしても子供向け画材のイメージが強くあると思います。実際には筆記具も同じくらいの売り上げを出していることから、今後は皆さんの印象にも強いサクラのロゴを大きく印字するなど、筆記具におけるサクラブランドに力を入れていきたいです。そして、大人の方の絵を描きたい、というニーズに応えた大人向けの趣味としての描画を広めていきたいですね。コロナ禍で油絵具セットがたくさん売れたように、大人の方からのニーズも多いと考えています。

■長期的な目で見ることの必要性

私が最終面接をする時に最も重視しているのは、誠実さと努力し続けられる力、この二つです。誠実な人は上司、部下問わず人望がありますし、良いことも悪いことも乗り越え、努力を続ける力がないと良い仕事はできないですよね。おとなしかったり、明るかったり、短所でも長所でも生まれ持った個性を排除することはありません。それぞれが適したところで個性を活かせることが重要だと思っています。

学生の間は是非色々なことを経験してください。私は病気を患った際、周りがバリバリ働いたり遊んだりしている中、思うように動けず、「どうして私だけ」ととてもネガティブになっていました。しかし今振り返ると本を好きになって読むようになり、あの時期は自分にとって本当にプラスになっています。どんな失敗も長期的な目で見れば必ずプラスに思える日が来るので、恐れずやりたいことに挑戦してください!

学生新聞オンライン2023年5月18日 取材 上智大学 3年 川端百桃

上智大学3年 川端百桃 / 立教大学3年     緒方成菜 / 法政大学2年  佐伯桜優 / 立教大学4年  須藤覚斗 / 成城大学3年  小笠原萌

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