株式会社AlbaLink 代表取締役 河田憲二

「訳あり不動産」に、新たな役割を

株式会社AlbaLink 代表取締役 河田憲二(かわた けんじ)

■プロフィール
在学中にWebマーケティング事業を創業し、並行して空き家投資を開始。空き家市場の拡大に大きな可能性を見出し、Webマーケティング事業を売却後の2019年5月にルームセレクト社(現AlbaLink社)を買収。空き家の買取再販事業に専念。

空き家の買取再販と利活用を専門とする不動産IT企業、株式会社AlbaLink。47都道府県に対応し、WebメディアやSEO施策、広告運用を駆使して、累計相談件数は約5万件に上る。同社を買収後、事業を空き家・訳あり不動産領域へ展開した代表取締役・河田憲二様に、事業への思いや空き家問題への向き合い方を伺った。

大学時代、もともとは学校の先生になりたいと思い、教職課程を取っていました。ただ、教育実習を前に、自分には教壇に立つ覚悟がないと感じたのです。周囲が就職活動を始めたタイミングで、私も取り組みましたが、両親が経営者だった影響もあり、会社に勤め続ける自分の姿は想像できませんでした。どうせ数年で辞めて自分で事業をやるだろうと思っていたため、「商売のやり方を学びたい」という思いで就職活動をしていました。
しかし、そのような姿勢では当然うまくいかず、結果的に就職ではなく、自分で事業を始める道を選びました。とはいえ、お金も人脈もありません。そこで選んだのが、インターネットマーケティングです。ドメイン代やサーバー代があれば始められ、自分で記事を書き、情報を集めれば挑戦できる。起業というより、「それしかできなかった」という感覚に近かったと思います。
最初から分野を決めていたわけではありません。いろいろな商材を見ながら、単価や成約率を比べる中で、たまたま債務整理などのリーガル領域にたどり着きました。当時は検索エンジンの仕組みに工夫の余地があり、地域名ごとに記事を作ることでアクセスを集めることができたのです。メディアを立ち上げた結果、売上も出るようになりましたが、同時に「このままでは長く続かない」と感じていました。
そこで、弁護士や司法書士、実際に相談した方々に取材し、本当に悩んでいる人の役に立つ記事へと作り替えていきました。単に検索上位を狙うだけではなく、読む人にとって意味のあるメディアへと変えていったのです。やがてメディアは成長しましたが、Googleのルールが日々変化する中で、専門性や権威性がより重視されるようになりました。自分が運営し続けるより、より体力のある適切な方に引き継いでもらう方が、メディアの価値を生かせると考え、売却を決めました。

■眠る不動産に、もう一度価値を

不動産に関心を持ち始めたのは、インターネット事業だけに依存するリスクを感じたことがきっかけです。検索順位が変われば、売上が大きく落ちる可能性があります。そこで、資産形成のために不動産を買い始めました。レンタルオフィスや民泊、シェアハウス、戸建て再生などに取り組む中で、訳あり物件や古い空き家にこそ、大きな可能性があると感じるようになったのです。
安く買い、必要な手を加え、価値を高めて次の人へつなぐ。不動産には、そうしたひずみを解消する面白さがあります。その可能性について、共同代表となる内木場と話す中で、事業として本格的に展開していく構想が生まれました。そこから仲間とともにAlbaLinkを立ち上げたのです。
AlbaLinkの主な事業は、空き家や訳あり不動産を買い取り、再販することです。日本には多くの空き家があり、手放したくても手放せない方がたくさんいます。地方の古い家や、再建築が難しい物件、雨漏りしている物件などは、一般的な不動産会社では扱いにくい場合があります。仲介手数料が少なく、リスクも高いため、断られてしまうことも少なくありません。
私たちは、そうした物件を買い取り、個人投資家や活用したい方へつないでいます。仲介ではなく自ら買い取るからこそ、売主の方にとっては「本当に買ってもらえる」という安心につながります。そして、次に購入した方がリフォームし、賃貸や民泊などに活用することで、眠っていた不動産に再び役割が生まれるのです。
私たちが掲げているのは「2100年、空き家ゼロへ。」という目標です。もちろん、空き家を完全にゼロにすることは簡単ではありません。大切なのは、買い取った後にどう活用されるかです。人口や世帯数が増えにくい中で空き家を減らすには、二拠点生活や観光、民泊などを通じて、地域を行き来する人を増やすことも必要だと考えています。

■新たな4つのバリューを軸に、ともに働く

会社の人数が増えるほど、同じ方向を向くことは難しくなります。それぞれ育ってきた環境も、大切にしている価値観も違うからです。だからこそ、私たちは上場を一つの節目として、改めてバリューを整理しました。それが「Be Agile 速やかに、柔軟に」「Focus on Impact 本質に注力する」「Basics First 基礎はすべてに通ずる」「With Respect 常に対等に、誠実に」の4つです。
このバリューのもと、一緒に働きたいのは、自律性があり、同じ目標に向かって協働できる人です。誰かに依存するのではなく、自分の意思を持ち、自分の人生に責任を持とうとする人と働きたいと思っています。新卒の段階で完璧に自律できている必要はありません。ただ、「自分はどうしたいのか」から逃げずに考えられることは、とても大切です。自分の足で立ち、自分を律しながら、人のためにも動ける。そんな人が集まる組織でありたいですね。

■大学生へのメッセージ

社会に出ることに、不安を感じる人もいるかもしれません。けれど、私は社会に出てからの方が楽しいと感じています。仕事では日々違う問題が起こり、できることや関わる人も変わっていきます。その変化が面白く、飽きることがありません。
社会に出ると、学校のように明確な正解はありません。だからこそ、自分で考え、自分で意思決定することが大切です。「私はこうしたい」と思える方向に、自信を持って進んでみてください。正解は最初からあるものではなく、自分の行動でつくっていくものです。社会は思っているよりも面白い場所です。前向きに、楽しみながら挑戦してほしいですね。

学生新聞オンライン2026年5月14日取材 津田塾大学4年 石松果林

津田塾大学4年 石松果林/中央大学卒業 前田蓮峰/お茶の水女子大学2年 家田有彩/津田塾大学4年 山下さくら

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